臨床検査科
更新日:2025年7月28日
臨床検査科へようこそ
臨床検査科は、部長以下、総勢55名で勤務にあたっています。
当科の目標は、精度の高い検査データを迅速に提供することです。
診察前検査などの迅速検査、救命救急センター、小児医療センター等の救急医療体制にも対応した24時間稼動の検査室として、市民の皆様が安心できる地域医療を目指しています。
また日々の内部精度管理はもとより、全国レベルで実施されている日本医師会、日本臨床検査技師会等、各種外部精度管理に参加し、正確な検査データの提供に努めています。
輸血室には輸血認定技師を配し、血液製剤の管理と輸血関連検査を一元化しています。チーム医療として糖尿病療養指導士による療養支援、細菌検査室からは院内感染対策委員会に参画し、院内感染の防止及び啓蒙普及活動にも積極的に関わり、患者さんの早期退院にむけ貢献しています。
当科では将来にわたり次の世代を担う臨床検査技師の育成のため、実習施設としての学生の教育にも努めています。
専門分野・特色
1.中央採血室
外来を受診され血液検査をされる患者さんの採血を主に行っている部門です。
担当職員一同、患者さんにとって「安全」・「安心」な採血を行うため、日々研鑽に努めています。
【採血室の業務時間】
月曜から金曜日
(土曜・日曜・祝日を除く)
8時30分から17時まで
2.生理部門
(1) 一般生理検査
生理検査は患者さんの体の情報を画像や数値・グラフとしてとらえ、体の状態を調べる検査です。
当検査室では心電図検査・聴力検査・呼吸機能検査・脳波検査・誘発電位検査など幅広く実施しています。
また、技師のスキルアップ向上のために講習会・各種学会に積極的に参加し、検定試験や認定技師の資格取得に向け学習に励んでいます。
スタッフ一同、患者さんに安心して検査を受けていただけるよう心がけておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
【 心電図検査 】
心臓の電気信号を波形として記録し、心臓の状態を把握する検査です。
不整脈や虚血性心疾患などの病態把握に役立ちます。
その他、24時間心電図を記録するホルター心電図や、2週間程度の心電図を記録するイベントホルター心電図を実施しています。
心臓に負荷をかけて心電図変化をみる運動負荷心電図検査(トレッドミル・心筋負荷シンチグラフィ)なども行っています
【 聴力検査 】
自覚的聴力検査としてオージオメータを使って、様々な周波数での音の聞こえのレベル(dB)を調べる純音聴力検査や、言葉の明瞭度を調べる語音聴力検査、音圧を増減させ難聴の種類を調べる自記オージオ検査を行っています。
他覚的聴力検査として、チンパノメトリー、耳小骨筋反射検査、DPOAE検査、新生児難聴スクリーニング検査として自動ABR(A-ABR)検査を行っています。さらに、聴力検査をすることが難しいお子さんや難聴の精査には聴性脳幹反応(ABR)検査も行っています。
【 呼吸機能検査 】
スパイロメーターという機械を使い肺活量を測定し、呼吸器疾患の診断や治療効果の評価、手術前の肺機能の確認をします。
また、精密検査として機能的残気量や肺拡散能を検査しています。
喘息などの気道炎症の程度を評価する呼気中の一酸化窒素濃度測定も行っています。
【 脳波検査 】
頭皮上に数十個の電極を貼り付け、微弱な電気を波形として記録し、脳の状態を把握する検査です。脳の働きを調べることで、てんかんなどの診断に役立ちます。
ICUやPICUなどの集中治療では、意識障害を主体とした患者さんの持続脳波モニタリング(critical care EEG)を記録しています。
また、新生児から大人まで検査をしており、年間約1,400件実施しています。
【 術中神経モニタリング 】
手術中に神経障害が発生するリスクのある手術において、運動誘発電位(MEP),体性感覚誘発電位(SEP)、球海綿体反射(BCR)などをモニタリングし、手術の安全性を高めることを目的としています。
主に、小児脳神経外科では脊髄係留症候群・整形外科では脊髄症の手術において実施しています。
また、術中は手術医・麻酔科医・看護師と情報共有などの連携をとることでより安全なモニタリングになるよう努めています。
(2) 腹部超音波検査
超音波検査は安全性の高い検査です。検査時間は検査の種類によって異なりますが大旨20分前後です。主に5台の超音波診断装置を使用して腹部、乳腺、甲状腺、下肢静脈、関節、腹部造影超音波検査などを幅広く行っています。
リアルタイムで画像が映し出されるので、組織の採取や治療の支援にも使用しています。
日本超音波医学会認定検査師と各科医師を中心として検査を実施しています。
(3) 心臓超音波検査
小児循環器外来をはじめ循環器内科・心臓血管外科等を設けている当院において、心臓超音波検査は先天性心疾患や心筋梗塞、狭心症、弁膜症等の診断に欠かせない重要な役割を果たしています。また動脈硬化の早期診断の一助となる頚動脈超音波検査も実施しています。
3.検体部門
多項目自動血球分析装置
(1) 血液検査
血液検査室では、自動分析装置を使用し、採取した血液の白血球・赤血球・血小板の数や白血球の種類の割合や網状赤血球数の測定、血液凝固機能に関する検査を担当しています。自動分析装置より算出した各検査データは臨床検査技師が目で視て確認し医師に迅速に報告、場合によっては正確な診断のために追加の検査を提案しています。
医師のオーダーや検査データより何かの異常が疑われる場合には、血液をスライドガラスに広げ染色した標本を作成し顕微鏡で確認する目視検査、血液疾患が疑われる場合には骨髄検査の報告書作成など、熟練を要する用手法検査も担当の臨床検査技師が数多く手がけています。当院には血液内科があるため、軽度の貧血から悪性リンパ腫・多発性骨髄腫、緊急度の高い白血病などの幅広い血液疾患に対する検査をできる限り院内で行い、迅速に医師へ報告することで早期診断・治療・経過観察につなげています。
全自動尿分析装置
(2) 一般検査
一般検査では尿検査を中心に、髄液、穿刺液、関節液、精液などの検査を行っています。
尿検査:全自動尿定性分析装置を用いて尿中の糖・蛋白・潜血などの成分を測定しています。また、尿沈渣検査では尿中の細胞や結晶を顕微鏡で観察し、腎臓から尿道までの尿の通り道にある病変を捕まえていきます。(下の写真は尿沈渣の例です。)
(左・赤血球と白血球、右・上皮円柱)
髄液一般:髄液という脳や脊髄を守るための体液の成分を調べる検査です。髄液中の細胞の数や蛋白・糖を測定する事により、髄膜炎を起こしているかどうかを知ることが出来ます。
穿刺液一般:胸水や腹水の性状を調べて、これらの体液がどのような原因で溜まってしまったのかを推測するための検査です。
尿は健康のバロメータ。腎臓の機能だけでなく、全身の状態を反映する大切な検査の一つです。もし、「ちょっと変だな」と感じたら早めに病院に行って相談してみる事をお勧めします。
(3) 生化学検査
生化学検査室では、血液や尿などの体液を用いて、体内の化学的な変化を調べる検査を行っています。肝機能・腎機能・糖代謝・脂質代謝・電解質バランスなど、さまざまな項目を迅速かつ正確に測定することで、患者さんの病態の把握や治療効果の判定に重要な情報を提供しています。
当検査室では、検体検査前処理装置(搬送システム)を導入しており、採取された検体は遠心分離後、自動的に識別・分注され、分析装置へとスムーズに搬送されます。このシステムにより、検査工程の効率化と省力化を実現し、検査結果の迅速な提供とヒューマンエラーの低減につなげています。
また、日々の精度管理にも力を入れ、信頼性の高いデータの提供を心がけています。医師や他部門との連携を大切にし、患者さん一人ひとりの診療に貢献できるよう努めています
生化学自動分析装置
検体検査前処理装置
(4) 細菌検査
細菌検査室は、患者さんから採取された検体(血液、尿、痰など)の顕微鏡検査、培養を行い感染症の原因となる微生物を検出してどのような抗菌薬が有効かを調べます。
質量分析装置の導入により、微生物の同定結果を早期に報告できるようになり、感染症診療の迅速化の一端を担っています。
一部の微生物に関しては遺伝子検査を実施しています。
その他インフルエンザウィルス、A群溶連菌、肺炎球菌、レジオネラ菌など数種類の迅速検査を行っています。
また感染対策チーム(ICT)の一員として院内感染制御活動にも取り組んでいます。
全自動細菌検査システム
全自動血液培養検査装置
(5) 情報システム(兼務)
患者さんの検査結果がいつも正確に迅速に医師のもとへ届くよう、検査システムを駆使し日々業務が行われています。このシステムがいつも最適なコンディションを保つよう、またトラブル時には迅速な復旧をすべく管理運用を行っています。
4.輸血室
輸血室は、厚生労働省・輸血細胞治療学会の指針に従い、輸血検査と血液製剤管理の一元化を構築して血液型検査(亜型の同定、その他の血液型など)や不規則抗体検査(抗体同定)・交差適合試験などを実施しています。そして最新の機器(ビジョン)や輸血システム、電子カルテの導入により、ミスの無い、安全で速やかな輸血医療と血液製剤の管理や適正使用に取り組み、管理が難しいと言われる輸血管理料Iを取得しています。
また、千葉県と千葉県赤十字血液センター主催の千葉県合同輸血療法委員会の委員でもあり、千葉県内の病院における血液製剤の適正使用を指導する立場の病院(認定輸血検査技師)として貢献しています。
お問い合わせ
松戸市立総合医療センター
千葉県松戸市千駄堀993番地の1
電話番号:047-712-2511 FAX:047-712-2512
