地域の水道を支え続ける貴重な近代遺産「栗山配水塔」
更新日:2018年2月21日
空に向かってしっかりと立つ美しい姿。身近なところに貴重な近代遺産が!
「千葉県水道局栗山配水塔」が、平成29年(2017年)10月27日付で国登録有形文化財(建造物)に登録されました。
平成29年6月に登録された古民家「旧齋藤邸」の主屋に続き、松戸市内2件目の登録有形文化財です。
平成30年2月4日(日曜)、これを祝して、登録証の授与式と記念イベントが行われました。
栗山配水塔とは
名称
千葉県水道局栗山配水塔
所在地
松戸市栗山198
所有者
千葉県水道局
構造
鉄筋コンクリート造、内径15メートル、高さ32メートル、基礎土塁及び階段4基付
建築年代
昭和12年(1937年)
特徴
美しいドーム状の屋根と塔頂部のパーゴラ風の通気口
創設当時の原型が良く保たれている県営水道および地域のシンボル
歴史
- 昭和12年 旧古ケ崎浄水場の施設の一部として建設
- 昭和15年 旧古ケ崎浄水場が給水を開始
- 昭和33年 栗山浄水場の施設として給水を開始
- 平成18年 土木学会選奨土木遺産に認定
- 平成29年 国登録有形文化財(建造物)に登録
太平洋戦争時には、攻撃目標とならないように、塔全体を黒ペンキで塗って戦禍を逃れたとも!
登録記念イベント
普段は入れない浄水場の敷地の一部が解放され、さまざまなイベントや展示が行われました。
登録証授与式
松戸市教育委員会の伊藤純一教育長から、千葉県水道局の伊藤稔局長に登録証が手渡されました。
伊藤水道局長は、「古くから働き続けている大切な施設です。約80年使ってきましたが、これからも大事に使っていくつもりです。今日はこの配水塔や水道の仕組み・役割のことを知ってほしいです」と施設や水道についての思いを話されました。
伊藤教育長は、「貴重な遺産が松戸市にあるのはすばらしいことです。地域の給水はもとより、文化的な遺産でもあります。登録おめでとうございます」と祝辞を送りました。
キャラクターたちもお祝いに
お祝いに駆けつけた、千葉県水道局マスコットキャラクター「ポタリちゃん」、まつど応援キャラクター「松戸さん」は、子どもたちにも大人気。写真撮影コーナーには行列ができていました。
吹奏楽
市立柿ノ木台小学校、市立矢切小学校の皆さんによる演奏も会場を盛り上げました。息のそろった演奏、素敵でしたよ。
展示や写生会も
会場では、地震に強い水道管や、非常用給水袋の展示・体験も。
非常用給水袋は、バックパックのように担ぐことができます。容量も6リットルとたっぷり。
いざというときに備えて体験しておくのはとても大切ですね。
配水塔が間近に見える浄水場の敷地。思い思いの構図で絵を描きました。
いよいよ配水塔の中へ
この日は、普段は入ることができない配水塔の中も見学することができました。
ヘルメットをかぶって、急な階段を上っていきます。上った先にあったのは…
絶景です。いつもの学校・公園・駅はもちろん、東京スカイツリーもばっちり。条件のいい日には富士山や筑波山も見えます。
抜群の展望の理由のひとつは、この配水塔が高台にあること。高台からの水圧を生かして、配水を行っているんですね。
スカイツリーも見えます
なみなみと水をたたえた水槽も圧巻
栗山配水塔は現役の水道施設です。普段は入ることができないため、この日は見学待ちの行列が長く延びていました。
次に見学できるのは、桜の季節の見学会。
平成30年4月8日(日曜)午前10時から午後2時の予定です。(変更・中止になる場合もあります)
栗山配水塔周辺のおすすめスポット
矢切斜面林
栗山配水塔は高台にあります。その高台から斜面を降りていくと、江戸川のほとりに出ることができます。
この斜面に広がる林が最初のスポット。斜面に沿って帯状に広がる「矢切斜面林」では、季節ごとに林の木々や鳥のさえずりを楽しむことができますよ。
柳原水閘(やなぎはらすいこう)
坂川と江戸川が合流する地点にあるのが「柳原水閘」。4連アーチのレンガ造りが美しい水門です。
明治37年(1904年)に作られたこの水門は、明治時代のレンガ積み工法を伝える土木史上の貴重な建造物です。
松戸市指定文化財に指定されている他、2004年には土木学会選奨土木遺産、2007年には近代化産業遺産(経済産業省)に認定されました。
栗山配水塔を望む
柳原水閘の辺りから見た栗山配水塔です。2つの貴重な近代遺産がこんなに近くにあるんですね。
小高い土地にすっと建つ配水塔は、まさに地域のシンボル。これからも活躍してくれることでしょう。