「教育はみんなで」をお願いします
更新日:2023年4月7日
松戸市教育長 伊藤純一
戸定邸の梅の花の様子
令和5年が幕を開けたと思いましたら、既に一月どころか、立春が過ぎ、温かさを心待ちにする時節になってしまいました。コロナ禍がどのように落ち着きを見せるのかを窺っている間に、ホームページの更新が疎かになり申し訳ございません。
まさにVUCA(Volatility:変動性 Uncertainty:不確実性 Complexity:複雑性 Ambiguity:曖昧性)の略語で表されているように混沌とした世の中で、社会の在り方が様々な揺らぎを見せています。
新型コロナウィルス感染症対策としてのマスクが日常となっている今、それを如何にして非日常としての意識に戻すか、が難題となっています。マスクを外した素顔を友人に見られたくない、と訴える児童に困惑する保護者の方からの声を何度か伺いました。あるいは高校生に人気の、友人たちの居場所が同時にわかるというアプリの機能には驚きました。既にそのアプリも次のステップに進んでいるそうで、コミュニケーションの在り方が大きく変貌しようとしていることに当惑しています。
また、ICT化が急激に進展しています。松戸市教育委員会としては、GIGAスクール構想等が児童生徒に、果たして、どのような影響を及ぼしているか、現在、東北大学との連携事業として検証を進めているところです。
グローバル化、ウクライナ問題等様々な事象による変化が私たちの身の回りにあり、まさに多様化が進んでいます。その多様化した社会から派生する課題もさらに多様化する中で、その一つ一つに対応し、対策を打つためには、やはり多様性が求められます。教育に関しては、それぞれの環境や求めるものの違いにより、その在り方はもともと千差万別であり、その一つ一つに正しさが含まれています。
その中で、大きな課題となっている「部活動の地域移行」は、現在の子どもたちの環境の中で最も大きな変化を生むものと捉えています。これまでの日本の文化・スポーツ環境は、諸外国と違って、その中心の一つに「学校の部活動」がありました。しかし、これからは、地域社会の諸団体と学校が児童生徒の活動時間を共有し、一人一人の児童生徒が自分にとって相応しい活動を探し、取り組むことができる、という新しい環境を求めていく動きに進んでいくと考えています。子どもたちを巡るベクトルは定まっておらず、様々な方向からの「在り方」が生まれていくと期待します。
「部活動の地域移行」を例にしましたが、異なる表現をすると多くの活動が、これまでの一律的なものの見方から多様な方向からの活動の在り方を探るように社会が動いています。「多様性」というキーワードに処する私達の動き方が新しい社会の可能性を決めることになります。これまでの一様な在り方に生きてきた私達にとっては難しい課題です。その対応には多くのエネルギーが必要になります。異なる価値観や考え方を持つ者同士が一緒に力を合わせていくことも必要になります。
先日、松戸青年会議所の2023年度の取組を紹介していただきました。教育の面の一つに「青少年をたくましくかつ柔軟に育てるための教育手法を学ぶ事業の開催」とありました。大変心強く、有り難く思いました。
今、多様化、複雑化している中にあって、未来を担う子どもたちを地域の皆様と力を合わせて、育てていくことがより大切になりました。今こそ、「教育はみんなで」をさらに進めなければならない時だと感じています。
これまでのご理解とご協力に改めて感謝申し上げますと共に、教員不足という深刻な要因もありますが、より多くの皆さんのお力をお借りして教育行政を展開させていただきたいと強く思っております。宜しくお願いします。
関連リンク
生涯学習部
学校教育部
