メッセージ「教育はみんなで-能力の育成(序章)」
更新日:2018年4月18日
松戸市教育長 伊藤純一
桜の開花があまりにも早く訪れ、蘂(しべ)の賑わいにも気付かないうちに、年度始めの喧噪が始まり、新しい緑が爽やかな風を運んでくれる時節になりました。平成30年度も新しい気持ちで一日一日を積み重ねていきます。宜しくお願いします。
さて、3月議会の教育施策方針で述べましたように本年度も様々な施策を講じる予定ですが、例えば、「グローバル化」や「英語教育」という視点では、オーストラリアの英語教育を参考にした「仮称松戸TESOL」や「シンセティック・フォニックス」の導入により松戸市独自の「言語活用科」の再構築を目指します。
また、「市立松戸高校の改革」や「市立中学校夜間学級の開設」は31年度からのスタートに向け、最終準備に入ります。あるいは戸定邸庭園のリニューアルオープン、スポーツ環境の整備、東松戸図書館の開設準備にも力を入れて取り組みます。
さらには、小学校と保育園、幼稚園が連携する活動、福祉との連携のスクールソーシャルワーカーの増置、地域との連携による「松戸版コミュニティスクール」の開始など、以前から申し上げているように多くの皆様と力を合わせて各施策の実現に向けて努力していきます。
やはり、前述の「松戸版コミュニティスクール」の開始を例に考えてみましても、改めて「教育はみんなで」というキーワードについての思いを強く感じます。しかし、平成18,19年に教育再生会議で「社会総がかりで教育再生を」と議論されていた時分とは意味が変わってきていると感じることが多くなりました。
子育てについては、みんなが初心者という難しさがありますから、もちろん各家庭を基礎にはしながらも、地域あるいは親戚が力を発揮してくれて、子供たちの教育がなんとかなっていたものだと考えています。
そのそれぞれが弱体化している状況下では、地域、企業、団体、メディア、行政が総がかりで「教育はみんなで」を具現化していくしかないと考えます。
松戸市全体で申しますと、地域、社会教育団体、企業、メディア等にも力を発揮してもらわないといけません。ですから「文化の教育的な部分を」という意識を共有していただき、私たち大人が、それぞれのできることを通して、子供たちにこれから必要な力を培っていくことが大切だと思います。宜しくお願いします。
さて、では、これから自立する子供たちにはいったいどのような能力が必要なのでしょうか。
例えば、私の一日は、土日も含めて、朝の情報の整理から始まります。私の仕事の基礎はこの情報整理の時間によって作られていると感じます。朝に限らず、隙間の時間があれば、新聞等のメディア情報や書籍等の知見の整理という作業に明け暮れています。
この作業は以前に比べて、その必要性や重要性が高まっていると感じています。AIやスマホなどの発達により高度な情報社会が形成されていますから当然だと思われます。その中で、メディア等からのあまりにも多くの情報の中には誇張や間違いや嘘(フェイク)もありますので、それらを確認し、正しい議論をするための元となる情報を整理することが欠かせなくなったと思います。
このことは、現在そしてこれからの生活には欠かせない能力であり、これからを担う児童生徒には重要な能力の1つとしてその育成に努力しなければならないと考えています。このようにその時々の状況の進歩や変化により、私たちが身につけなければならない能力が変化しています。
AI、グローバル化等により、社会の在り方が目まぐるしく変貌し、予測もつかないほどの先行きの中で、必要な能力についてはいろんなことが言われています。
一方で、便利なもの、合理的なものを追求し、我慢の必要なこと、面倒なことをできるだけ避けて生活できることを目指してきた私たちにとって、例えば、非認知能力が弱くなっているという主張が多くなっています。コミュニケーション能力も同様です。文化の進展によってダメージを受けているために、改めて培うべき能力もあります。
次回の更新では、学校教育、社会教育等で培うべき、あるいは意識すべき能力について引き続き述べさせていただきたいと思います。
次回 「教育はみんなで -能力について(1)-」
関連リンク
生涯学習部
学校教育部
