小児心臓血管外科
更新日:2025年1月9日
小児心臓血管外科 について
小児心臓血管外科部長代理 滝口 信
当科は先天性心疾患の外科治療を行う診療科です。当院での心臓血管外科手術は、1971年の動脈管開存症閉鎖術に始まり、第1例目の開心術は1972年に心室中隔欠損孔閉鎖術が施行されています。現在までに施行した先天性心疾患手術は開心術、姑息術併せて約2,000例になります。成人症例を併せると心臓血管外科手術としては4,000例以上なります。
小児心臓血管外科は、2009年4月、その専門性をより高める目的で心臓血管外科より分離し、小児医療センター内の診療科として新たに開設されました。当科は東葛地域で唯一の小児心臓血管外科を専門とする診療科であり、また当院は日本心臓血管外科専門医認定機構の関連施設に認定されています。
受診案内
診療について
当科の対象疾患は生まれつき心臓に異常がある先天性心疾患で、その外科治療(=手術)を担当しています。先天性心疾患は約100人に1人の割合で生まれてきます。多くの人が手術を必要としますが、最も良い時期に、効果的な手術をすることが大切です。したがって、私たちの対象患者さんは生まれたばかりの赤ちゃんから成人に達した方まで、多岐にわたっています。現在は胎児エコーによりお腹の中にいる時(出生前)から心疾患の診断が可能で、場合によっては周産期母子医療センター(産科、新生児科)と協力し生直後から手術介入をおこなうこともあります。また生後すぐに何らかの症状で心疾患が疑われた患者さんはNICUあるいはPICUに収容し小児循環器医が精査し治療を開始します。そして必要があれば適切な時期に手術をおこないます。手術前には麻酔科医、小児集中治療医、臨床工学技士、看護師などと合同検討会をおこない、万全の態勢で手術に臨みます。また、術後は小児循環器医、小児集中治療医と協力して術後管理をおこないます。また、下に示すように先天性心疾患以外にも治療対象になる病気がいくつかあります。
対象疾患
- 先天性疾患
心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症、先天性弁膜疾患、心内膜床欠損症、ファロー四徴症、完全大血管転位症、両大 血管右室起始症、大動脈縮窄症、離断症、総肺静脈還流異常症など - 不整脈(完全房室ブロック、洞不全症候群など)に対するペースメーカー植え込み術
- 急性心不全(心筋炎、心筋症など)に対する補助循環治療
治療の特色
丁寧な手術説明
丁寧な手術説明を心がけ、患者さんが納得のいくまでおこないます。難解な専門用語が多い分野ですので、なるべく平易な言葉でわかりやすく説明するようにしています。
無輸血手術
可能な限り輸血を避けるように心がけています。しかしながら過度の貧血は遠隔期脳高次機能に影響が出ることが指摘されていますので、充分な配慮が必要です。
自己組織による手術
できる限り異物を使用せず、将来に成長の見込める自己組織による手術を行うことで、体の成長に伴う再手術の回避を目指しています。
低侵襲手術
麻酔時間、手術時間、体外循環時間の短縮に努めています。術後血行動態が安定している症例では早期抜管、早期離床を目指し、入院期間の短縮を実現しています。
皮膚小切開手術
皮膚の切開線を短くする等、術後の美容にも注意しています。
成人先天性心疾患手術
幼少時に手術を受け、成人になり再手術あるいは追加手術が必要とされる患者さんが増えています。このような患者さんの外科治療はその特殊性から非常に難しく限られた施設でしか行われていませんが、当院では小児科、循環器内科と連携し治療にあたっています。
診療実績
手術件数内訳
先天性心疾患(成人先天性心疾患も含む)、小児血管手術
(2023年度)
開心術 | 22 |
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心房中隔欠損閉鎖術 | 6 |
部分肺静脈還流異常症修復手術 | 0 |
心室中隔欠損閉鎖術 | 7 |
房室中隔欠損修復手術 | 1 |
右室二腔症手術 | 1 |
ファロー四徴症手術 | 4 |
両大血管右室起始症手術 | 2 |
右室流出路再建術 (肺動脈形成術含む) | 1 |
総肺静脈還流異常症修復手術 | 0 |
非開心術 | 6 |
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動脈管閉鎖手術 (未熟児症例含む) | 3 |
肺動脈絞扼術 | 1 |
ブレロック短絡術 | 0 |
大動脈縮窄・離断症手術 | 0 |
動脈形成手術 | 0 |
心膜切開・ドレナージ術 | 0 |
その他 | 2 |
手術件数 | 28 |
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死亡例 | 0 |
NCD事業参加について
当院は、一般社団法人National Clinical Database(NCD)が実施するデータベース事業に参加しています。この事業は、日本全国の手術・治療情報を登録し、集計・分析することで医療の質の向上に役立て、患者さんに最善の医療を提供することを目指すプロジェクトです。趣旨をご理解の上、ご協力を賜りますようよろしくお願い致します。
NCDに登録する情報の内容
当院(外科、心臓血管外科、呼吸器外科、泌尿器科、脳神経外科、形成外科、小児外科、小児心臓血管外科、小児脳神経外科)で行われた手術と治療に関する情報、手術や治療の効果やリスクを検証するための情報(性別、年齢、術式名、手術の詳細、術後の経過など)を登録します。なお、この事業に対しては、名前、住所、電話番号等の個人を特定できる情報は提供しません。
登録する情報の管理・結果の公表
登録する情報は、それ自体で患者さん個人を容易に特定することはできないものですが、患者さんに関わる重要な情報ですので厳重に管理いたします。当院及びNCDでは登録する情報の管理にあたって、情報の取り扱いや安全管理に関する法令や取り決め(「個人情報保護法」、「疫学研究の倫理指針」、「臨床研究の倫理指針」、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等)を遵守しています。データの公表にあたっては、NCDが承認した情報のみが集計データとして公表されます。
登録の拒否や登録情報の確認
データを登録されたくない場合は、登録を拒否して頂くことができます。当院のスタッフにお伝えください。なお、登録を拒否されたり、閲覧・修正を希望されたりすることで、日常の診療等において患者さんが不利益を被ることは一切ございません。
NCD担当者の訪問による登録データ確認への協力
当院からNCDへ登録した情報が正しいかどうかを確認するため、NCDの担当者が患者さんのカルテや診療記録を閲覧することがあります。当院がこの調査に協力する際は、NCDの担当者と守秘義務に関する取り決めを結び、患者さんを特定する情報を院外へ持ち出したり、口外したりすることは禁じます。
本事業への参加に関してご質問がある場合は、当該科のスタッフにお伝えください。また、より詳細な情報は下記に掲載されていますので、そちらもご覧ください。
一般社団法人National Clinical Database(NCD)ホームページ(外部リンク)
臨床研究
臨床・研究(オプトアウト)のページにて、小児心臓血管外科で行われている臨床研究を掲載しています。
スタッフ紹介
滝口 信(部長代理、平成4年卒)
専門分野 | 心臓血管外科 |
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資格 | 医学博士 |
主な所属学会 | 日本胸部外科学会 |
石原 和明(非常勤医、昭和52年卒)
専門分野 | 心臓血管外科 |
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資格 | 日本小児循環器学会特別会員 |
新川 武史 (非常勤医、平成8年卒)
専門分野 | 心臓血管外科 |
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資格 | 医学博士 |
その他 | 東京女子医科大学心臓血管外科教授 |
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お問い合わせ
松戸市立総合医療センター
千葉県松戸市千駄堀993番地の1
電話番号:047-712-2511 FAX:047-712-2512
