リウマチ膠原病センター
更新日:2024年6月18日
リウマチ膠原病センター について
リウマチ膠原病センター長 海辺 剛志
昨今の医学の進歩とともに様々な分野で新たな医療技術が臨床応用されてきています。そのなかでもリウマチ性疾患は診断、治療両面において著しい変遷を遂げています。次々と新薬が登場し、20年前では考えられないほどに病気をコントロールすることが可能となってきています。その反面、医療は高度になり、一般の医師が対応することが困難な疾患となってきたのも事実です。当院は東葛北部地区では唯一の内科系、外科系のリウマチ専門医が常勤している施設であり、そのメリットを生かして2011年にリウマチ膠原病センターを開設しました。現在、内科医5名、整形外科医1名の体制で診療を行っています。
診療案内
リウマチ膠原病センターの外来担当医表をご確認ください。
診療体制
初診の患者様の診療は、平日受け付け時間内であれば以下の表で示すようにリウマチ、膠原病を専門とする医師が担当できる体制を整えました。(各曜日で診療場所、医師は異なります)また重症例、急な状態の変化のため入院が必要な患者様に対してもほとんどのケースで対応が可能です。(慢性期のリハビリや社会的入院に関しては対応しかねます。)効率的な診療をするため、可能であれば前医からの診療情報を持参していただくようお願いいたします。
曜日 | 内科 | 整形外科 |
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月曜日 | 海辺/松木/富川 |
河本 |
火曜日 | 海辺、高橋 | |
水曜日 | 海辺、高橋 | 河本 |
木曜日 | 阿部 | |
金曜日 | 松木 |
主な診療
リウマチとは
リウマチは慢性的に関節が痛んだり腫れたりする原因不明の病気で、関節の滑膜という場所に炎症が生じることが病気の主体です。炎症が長く続く結果、軟骨や骨が壊れると関節が変形し、日常生活を送るうえで様々な障害が生じてきます。
薬物治療の進歩
従来から用いられてきた鎮痛剤やステロイド剤に加えて抗リウマチ剤という薬を上手に使用することで、多くの患者様の症状をコントロールすることが可能となってきました。また約20年前から生物学的製剤とよばれる薬剤が登場し、それまではコントロールできなかった重症の患者様も治療が可能となり、ほとんどの症例において痛みや腫れを抑え込み関節の破壊を防ぐことが可能となっています。また分子標的薬という新たな薬剤も登場し、治療の選択肢も増えてきました。患者様の病状や併用薬の状況によってこれらの薬を使い分けていきます。このようにリウマチの治療は着実に進歩していますが、いくつかの問題点があることも事実です。まず第一は感染症、アレルギー反応といった副作用が出ることがあります。細心の注意を払いながら投与しても避けられないこともあるため常に万全の備えのもとで治療をおこなっています。次に大変高価な薬が多いことです。患者様の体重、使用する薬剤、加入している保険により支払額は異なりますが、薬剤費のみで平均して月に2-4万円の負担となることがあります。さらにその治療をいつまで続けるかわからない事も不安材料です。中には治療が非常に良く効いて治療を中止できるケースもありますが、その後再燃して再度治療を始めなければならない方もいます。また初めは効いていても徐々に効果がなくなり他の薬剤に変更しなければならないケースもあります。個々の症例ごとに対応が異なるため患者様やご家族と相談のうえで方針を決めさせていただきます。
外科的治療
上記の薬物療法でも徐々に関節の変形が進行し日常生活に支障をきたす場合には手術による治療が必要になります。
これらの手術により障害された関節の機能を回復し問題ない日常生活に復帰することが可能となります。
手
手の関節はリウマチで最も大きく影響を受けますが、初期の場合は滑膜切除術、手関節では手関節形成術、指では人工関節置換術などで関節機能回復を図ります。また腱断裂を合併すると縫合術が必要となります。
肘
初期では滑膜切除術、進行した場合は関節形成術、関節破壊まで悪化すると人工関節置換術などが必要となります。
膝
薬物療法に抵抗する膝関節腫脹には10年前までは滑膜切除術施行が適応でしたが、近年の生物学的製剤の効果により滑膜切除術が激減し、現在では人工関節置換術が主に行われております。
前足部(足の指の付け根)
リウマチの高度進行例では外反母趾や他の指の変形により足の裏に魚の目ができ、歩行痛をきたします。歩行時痛が高度の場合は関節形成術や人工関節置換術で疼痛、機能の改善を目指します。
足関節
まずは装具療法の適応ですが、場合により関節固定術もしくは人工関節置換術を行います。
肩、股関節
高度に関節破壊が進行し日常生活に影響がでた場合に人工関節置換術により機能回復を目指します。
脊椎
リウマチが高度に進行すると頸椎の関節にも影響が出ます。特に第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)の靭帯の緩みによる環軸椎亜脱臼も時にみられ、そのための脊髄圧迫症状を合併すると固定術が必要となります。
診断方法の進歩
より早い段階で治療を開始することがリウマチのその後の経過に重要であることがわかってきました。そのために当院では可能な限り早期に超音波やMRIを用いて関節が破壊される前の段階でリウマチの診断することを目標にしています。
膠原病治療の進歩
膠原病の治療は従来ステロイド剤が中心でした。しかし最近は免疫抑制剤や生物学的製剤を併用して、可能な限りステロイドの減量を目指す方向に変わりつつあります。(病気の種類や重症度、合併症の有無によって使う薬の種類が異なります。)免疫抑制剤や生物学的製剤には副作用があるため、注意深い対応が必要です。特に感染症は頻度の多い合併症ですが、診断の進歩、抗菌薬の進歩、患者様への周知の徹底により、以前と比較すると重篤な感染症は減ってきている印象があります。また従来リウマチにのみ適応があった薬剤が今後、他の膠原病に適応拡大される予定のものもあり着実進歩している分野です。
スタッフ紹介
海辺 剛志(リウマチ膠原病センター長 兼リウマチ科部長 兼アレルギー科部長 兼総合診療科部長、昭和63年卒)
専門分野 | リウマチ・膠原病・アレルギー |
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資格 | 医学博士 |
河本 泰成(診療局副局長 兼整形外科部長 兼人工関節センター長、平成2年卒)
専門分野 | リウマチ・関節外科 |
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資格 | 日本整形外科学会専門医 |
高橋 健太郎(内科部長代理 兼アレルギー科、平成15年卒)
専門分野 | リウマチ・膠原病・アレルギー |
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資格 | 医学博士 |
松木 彩子(医長、平成20年卒)
専門分野 | リウマチ・膠原病・アレルギー |
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資格 | 医学博士 |
病院広報誌に掲載中
病院広報誌ペアレターVol.3に掲載中です。ぜひご覧ください。
お問い合わせ
松戸市立総合医療センター
千葉県松戸市千駄堀993番地の1
電話番号:047-712-2511 FAX:047-712-2512
