脊椎脊髄センター
更新日:2024年5月24日
脊椎脊髄センターについて
脊椎脊髄センター長 宮下 智大
手術写真
当院ではこれまで30年以上にわたり数多くの脊椎脊髄疾患の専門的な治療を行っており、毎年120件から150件の脊椎脊髄手術が施行されております。また、千葉県東葛地区の基幹病院としての性格上、難易度の高い手術や長時間手術の割合が高いという特徴があります。また、3次救急医療機関であることから、重症脊椎骨盤外傷を扱うという一般病院にない特色もあります。各科の専門分科が進む中、2011年に当センターが開設されました。当センターでは、これまで蓄積された豊富な症例の経験から、それぞれの患者さんに最も適した治療を考えています。当センターの基本方針は、(1)まず保存的な治療で症状の改善を目指す、(2)手術が必要な場合、患者さんにとって合併症が少なくできるだけ安全な方法で、長期的に安定した成績が得られる術式を選ぶ、(3)可能な限り低侵襲手術(MIST)で行う、というものです。
脊椎脊髄疾患の診察には非常に時間がかかり、外来ではお待たせする時間が長くなってしまっているのが実情です。受診に際しては、近隣の整形外科の先生にこれまでの治療経過を書いた紹介状と撮影されたレントゲンやMRI等の画像CDを準備いただいた上で、予約をお取りいただくことをお願い申し上げます。
受診案内(完全紹介予約制)
脊椎脊髄センターの診療につきましては完全紹介予約制とさせていただいています。
受診される際は、近隣の医療機関からの紹介状と診療予約をお取りくださりますようお願いいたします。
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脊椎脊髄外科 | 午前 |
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脊柱側弯症専門外来 | - | - |
月1回 |
主な対象疾患
腰部脊柱管狭窄症
加齢により背骨が変形したり靭帯がたるんで厚くなったりして、腰の神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることによって起こる病気です。
症状は主に下肢の痛み・しびれで、歩いているうちに症状が出現し、徐々に症状が重くなって歩けなくなり、座ってしばらく休むと症状が和らいでまた歩けるようになるというのが典型的です(間歇性跛行)。また、カートを押して歩くなど腰を曲げていると比較的症状が軽くなることが多く、自転車ならいくらでも乗れるという患者さんも多くいます。通常安静時には症状がほとんどありません。また腰痛はあったりなかったりします。
腰部脊柱管狭窄症は加齢により徐々に進行する病気であり、自然に治るということはあまり期待できません。比較的症状が軽い場合は、薬である程度和らげることが可能です。しかし、重症な場合には、薬ではほとんど効果が期待できません。
症状が強く、薬の治療を続けてもあまり効果がない場合は手術を行います。手術にはいろいろな方法がありますが、大きく分けて2つの方法があり、1つは背骨の一部と靭帯を切除して狭くなった脊柱管を広げる手術、もう1つはその手術にスクリューなどの金属で固定を追加する手術です。手術法は患者さんの腰の状態に合わせて選択します。
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板が傷んで亀裂が入り、中身が飛び出して神経を圧迫することによって起きる病気です。症状は主に下肢の痛み・しびれです。保存的な治療でほとんどの患者さんは良くなるため、手術となる患者さんはそれほど多くはありません。
手術が必要な場合、当センターでは顕微鏡視下に手術を行います(病態により適応にならない患者さんもいます)。同様の手術を内視鏡で行っている病院もあり、マスコミ等で取り上げられることが多くなっていますが、どちらも傷の大きさは変わりません。当センターが内視鏡ではなく顕微鏡で手術を行う最大の理由は立体視ができるという大きなメリットがあるからです(内視鏡はテレビモニターを見て行うため、立体視はできません)。
頚椎症性脊髄症
加齢により背骨が変形したり靭帯がたるんで厚くなったりして、頚の神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されることによって起こる病気です。頚椎の椎間板ヘルニアや後縦靭帯骨化(脊柱管を支える靭帯が骨に変わる病気)でも同様の症状が起こります。
症状は手足のしびれや動かしにくさ(お箸が使いにくい、ボタンがはめづらい、歩きにくい、転びやすい)で、痛みが出ることはあまりありません。排尿障害や便秘がみられることもあります。神経の圧迫部位によっては手の筋肉が強く萎縮することもあります(頚椎症性筋萎縮症)。症状は徐々に進行することが多く、自然に治るということはあまり期待できません。
症状が進行する場合は手術となります。大きく分けて、頚の前から行う方法と後ろから行う方法の2つがあり、患者さんの病態に応じて判断します。
頚椎症性神経根症
加齢による背骨の変形や椎間板ヘルニアにより、脊髄から枝分かれした細い神経が圧迫されて起きる病気です。症状は腕や手の痛みやしびれです。
多くは保存的な治療で良くなり、手術になることはあまりありません。
脊髄腫瘍
脊髄にできた腫瘍で、その腫瘍によって圧迫された神経により様々な症状が出ます。腫瘍の部位により、上記四疾患の症状が出る可能性があります。
腫瘍の多くは良性ですが、神経症状が進行する場合は手術となります。手術は顕微鏡を使用して腫瘍を摘出します。摘出した腫瘍を検査に提出して、最終的に良性か悪性の診断がつきます。
スタッフ紹介
宮下 智大(脊椎脊髄センター長、1999年卒)
専門分野 | 脊椎脊髄外科 |
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資格 | 日本専門医機構認定整形外科専門医 |
加藤 啓(副部長、2004年卒)
専門分野 | 脊椎脊髄外科 |
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資格 | 日本専門医機構認定整形外科専門医 |
弓手 惇史(医長、2013年卒)
専門分野 | 脊椎脊髄外科 |
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資格 | 日本専門医機構認定整形外科専門医 |
小谷 俊明(非常勤医)
専門分野 | 脊椎外科 |
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資格 | 日本専門医機構認定整形外科専門医 |
飯島 靖(非常勤医)
専門分野 | 脊椎外科 |
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資格 | 日本専門医機構認定整形外科専門医 |
専門領域別外来のご案内と担当医のご紹介
宮下 智大 脊椎脊髄外科(月曜・金曜日午前)
当院を含む千葉大学関連病院で研修後、千葉大学大学院で基礎研究を行い博士号を取得。
2008年より当院に戻りました。頚椎から腰椎まで脊椎脊髄疾患を専門としております。
詳細な診察で、患者さんの病態を正確に把握することはもとより、患者さんが納得・安心できる医療を心がけています。
これまでの脊椎手術は執刀1,220例、第一助手760例で、頚椎症性脊髄症、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどに対する一般的な手術の他に、スクリュー固定などのインストゥルメンテーション手術や脊髄腫瘍などの顕微鏡手術、最小侵襲手術(MIST)も多数行っております。2012年にはオーストラリアRoyal Adelaide Hospitalに8ヵ月間の臨床留学を行っております。
また、当院救急部に1年間勤務していた経験を生かして救急医療に関わることも多く、日本DMAT(災害派遣医療チーム)隊員として登録されています。
加藤 啓 脊椎脊髄外科(月曜・金曜日午前)
千葉大学関連病院での研修の過程で、大変ながらもやりがいのある脊椎脊髄疾患に興味を抱き、同大学院で3年間脊椎脊髄疾患についての研究にて博士号を取得した後、2013年4月より赴任となりました。今までの経験を活かし、丁寧な診察で患者様の病態を適切に把握した上で、最善の治療法を提供できるように心がけています。
弓手 惇史 脊椎脊髄外科(月曜・金曜日午前)
千葉大学関連病院で研修後、千葉大学大学院で頚椎外傷の研究で博士号を取得しました。
2023年4月より当院に赴任する事となりました。不安で当院に訪れた患者様が少しでも安心できるように、適切な診断と最適な治療法の提供を行うように心がけております。
小谷 俊明 脊柱側弯症専門外来(月1回)
千葉大学整形外科側弯症グループに所属し、これまで千葉大学病院にて多くの側弯症患者さまの専門的治療を行ってきました。また、千葉大学大学院では側弯症患者さまの呼吸機能や画像診断について研究を行ってきました。側弯症の中には別の疾患を合併していることもあり専門的な医学的知識や正確な診断が必要です。治療方針の決定にあたってはメリット、デメリットをわかりやすく説明し患者さま、ご家族の意見を尊重致します。現在は聖隷佐倉市民病院に勤務し月に一度当院にて側弯症外来を行っています。
飯島 靖 脊柱側弯症専門外来(月1回)
千葉大学関連病院で研修後、千葉大学大学院で脊椎脊髄疾患の研究にて博士号を取得しました。現在は聖隷佐倉市民病院で主に診療に従事し、月に一度当院で側弯症外来を行っております。診療では、分かりやすく丁寧に説明を行い、患者さま、ご家族が納得できるような医療を提供できるように心がけております。
お問い合わせ
松戸市立総合医療センター
千葉県松戸市千駄堀993番地の1
電話番号:047-712-2511 FAX:047-712-2512