教育広報「みらいドア」令和7年度第4号
更新日:2026年3月27日

令和7年度 松戸市教育広報 第4号(PDF:1,007KB)
文部科学省「リーディングDXスクール事業」の取り組み
それぞれのペースで学べる学校
デジタル技術を活用した「新しい学び」を推進するリーディングDXスクール事業。1人1台の端末やクラウド環境など、ICTを効果的に使い、子どもたちの主体的な学びを支援しています。
松戸市でリーディングDXスクールに指定された松戸市立上本郷第二小学校、松戸市立第六中学校の実際の授業の様子をご紹介します。


リーディングDXスクール事業とは
文部科学省が全国の小学校・中学校・高等学校を対象に公募し、採択された学校で、デジタル技術を活用した「新しい学び」を推進する事業です。1人1台の端末とクラウド環境、ソフトウェアを活用し、授業のデジタル化を通して先進的な学びを提供します。
主な取り組みの内容とは?
■「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実
一人ひとりが自分のペースや理解度に応じて学習を進める「個別最適な学び」と、クラスメイトや先生と一緒に考えて学ぶ「協働的な学び」の両方を端末とクラウド環境を活用して充実させます。
■校務のデジタル化
端末やクラウドを活用して教員・学校職員の事務作業や学校運営の効率化を図り、教員が子どもたちの学びにより専念できる環境づくりを目指します。
■先進的な実践への「モデル化」と全国への展開
指定校での成果や授業を「実践事例」としてまとめ、他校が参考にできるようにし、地域を超えてICT活用を広げます。
■児童生徒の「情報活用能力」の育成
今後の社会で必要とされるであろう、端末やクラウド環境を効果的に活用して情報を収集・整理・発信・共有する力を育てます。


松戸市の取り組み
上本郷第二小学校では令和7 年12 月12 日に、第六中学校では令和8 年1 月21 日に、それぞれ全国公開授業研究会を実施しました。子どもが自分に合った学び方を選択できるようにしたり、子ども同士で協力して学び合えるよう促したりと、学びの場の環境を整えることで、子どもたちの学びを支える教員のあり方を公開しています。

「個別最適な学び」と「協働的な学び」を行き来している様子

対話から生まれる豊かな気づき
授業における学びの流れ(授業の一例)
(1) 課題の設定
子どもたちは学習テーマに合わせて「何を考えたいか」「どのようなことを知りたいか」などの課題を決めます。
(2) 情報の収集
教科書やタブレット端末などを使ったり、友達と意見を交換したりしながら、課題を解決するために必要な情報を集めます。
(3) 整理・分析
集めた情報を比べたり分類したりしながら、わかったことや気づいたことをさらに深めていきます。
(4) まとめ・表現・ふりかえり
学んだ内容や自分の考えを発表したり、レポートにまとめたりします。最後に、学習を通して気づいたことや、始めに決めた課題などを振り返り、次の学びに繋げます。

上本郷第二小学校の授業の様子
子どもたちはタブレットで調べたことを床に広げた模造紙に書き込んだり、友達と話したことをホワイトボードに書き込んだりと、自分に合った方法を選び、学んでいます。タブレットはノートや筆記用具と同じように活用され、子どもたちは必要な情報の検索や記録、意見共有を行っていました。

要約文を書く国語の学習では、自分の書いた文章が読み手に伝わるかどうか、友達から意見をもらっています。その場ですぐ修正できるのもデジタルの良さです。

先生は子どもたちの個々の学習状況を手元のタブレット等を使って把握し、必要に応じてその子に合った支援を行います。

体育の授業でもタブレットが活躍します。友達の動きを動画で撮影し、アドバイスし合うことで、友達だけでなく自分の動きの振り返りにもつながります。
第六中学校の授業の様子
複数人で意見交換をしてその結果を書き込んだり、オンラインで外国人の先生と会話をしたりと、中学校でも授業の中で効果的にタブレットを活用して、学びを深めています。個人が各自のタブレットで入力した意見を、すぐに全体で画面を共有して示す例もあり、デジタル化のさまざまなメリットを活かした授業改善を進めています。

英語の授業では、外国人の先生とオンラインでひとりずつ会話の練習をします。自分の伝えたいことが伝わり、生徒たちは嬉しそうでした。

美術の授業では、粘土と針金で作った作品について、写真や工夫したことなどの文章を入力してシートにまとめます。

地理の授業では、「南アメリカ州の開発と環境保全の両立をどのように実現すべきか?」というテーマで討論。意見の変化を分かりやすく表しました。
教職員も主体的・対話的に学びを深めていきます!
公開授業の後には、担当教科に分かれて教員が意見を交わす「協議会」と、参加教職員全体に向けた講師による講義を行う「全体会」が開かれました。

協議会では、公開日の授業や、これまでのデジタル技術を活用した「新しい学び」にまつわる取り組みについて、多様な視点から話し合い、課題や学びを共有しています。

全体会では、これからの学びや教職員のあり方について、講師の平井先生から貴重なお話をいただきました。講義で得た学びを、各先生方が日々の教育に活かしていきます。
授業に参加している子どもたちの声を聞いてみました
- 友達と協力しながらできるから楽しい
- わからないところがあったら友達に聞けたり、友達と話し合ったりしながらできてわかりやすい。難しい問題も解けるようになった
- 発表の機会があったり、みんなで議論ができたりして楽しく感じる
- 自分の課題を自分のペースで進められるのでやりやすい
- あきらめずに問題を解こうとする意識が芽生えた
- わからないまま進んでしまうことがなくなり、安心感がある
子どもたちの学びを支える先生方の思い
上本郷第二小学校 研究主任 廣瀬 真実 教諭
リーディングDX スクール事業を通して、子どもたちが課題を“自分事”として捉え、自ら学びを進めようとする姿が増えてきました。ICT の活用により、児童一人一人の学習状況をリアルタイムで把握でき、即時に支援へつなげられる点に大きな効果を感じています。
実践に取り組むなかで、「自分が最善だと思っていた方法が、必ずしも全ての子どもにとって最善とは限らない」ということに改めて気付かされました。児童一人一人の意思や選択を尊重する場面を授業の中に意図的に位置付けることが重要であると感じています。
子どもたち自身が探究サイクルを意識しながら学びを進め、目標を達成できる授業づくりをさらに深めていきたいと考えています。
第六中学校 研究主任 曽我 駿 教諭
今回の公開授業では、資料の読み取りや意見整理を個別に行った後、ICT を活用して考えを表現し、他者の意見と比較・再構成する時間を設けました。
個別最適な学びと協働的な学びを往還する中で思考を深め、「自分の考えをつくり、他者と関わりながら調整していく力」の育成を目指しました。
取組を進めてきたことで、「学びの主語」が生徒に移ってきたと感じます。特に印象的だったのは、生徒が過去の自分のスライドや記録を見返し、より良くするために主体的に修正していた場面です。生徒が自分の学びを振り返り、調整する姿が生まれています。
今後は日常の授業の中で自然にICT や生成AIの活用ができる学校文化をさらに広げていきたいと考えています。
文部科学省 学校DX 戦略アドバイザー インタビュー
平井 奉子さん
・文部科学省 学校DX 戦略アドバイザー
・静岡県吉田町教育委員会 学校教育課 課長補佐

教員は「学びの設計者・伴走者」へと変わっていきます。
これからの教育に必要なことは、自分の学びを「自分で」進め、調整できる力の育成です。教育DX はそれを支える「学びのインフラ」であり、これを進めていくことにより子どもたちは「教えられる側」から、自ら問いを立て、学びを構成する「学びの主体者」へと、教員は「知識の伝達者」から子どもの学びを支える「学びの設計者・伴走者」と変わっていきます。
本事業の取組において、松戸市の子どもの姿で印象的だったのは「一人一人違う」ことを前提に、子どもが学び方を自分で選び、対話の中で考えを更新していたことです。小学校・中学校ともに、見通しと振り返りを軸に学びを調整する自己調整が、学年段階に応じて確かに育っていました。
関連リンク
松戸市立小・中学校 リーディングDXスクール事業 特設サイト(外部リンク)
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