教育広報「みらいドア」令和7年度第2号
更新日:2025年8月8日
令和7年度 松戸市教育広報 第2号(PDF:2,359KB)
連携特別展まつど×とくがわ 昭武・武定の生きた明治・大正・昭和
戸定歴史館と市立博物館、初めてのコラボレーション展示が実現!水戸徳川家のお殿様だった徳川昭武が松戸に新しい家を建てたのは今から約140年前。昭武とその息子である武定の目を通して、明治・大正・昭和の“まつど”を見てみましょう。
※画像説明欄に記載している(博物館)・(戸定歴史館)は展示されている施設を表しています。
今回の展示を企画されたお二人の学芸員に見どころを聞きました。
松戸市戸定歴史館学芸員 大沼 大晟(おおぬま たいせい)さん
松戸市立博物館学芸員 林 幸太郎(はやし こうたろう)さん
昭武・武定の興味深い暮らし
徳川昭武・武定親子について教えてください。
明治時代の戸定邸(博物館)
林さん「昭武は水戸徳川家のお殿様の息子として生まれ、13歳でパリ万国博覧会に派遣されます。ヨーロッパの国々を巡った あとは11代目のお殿様となり、29歳のときに隠居しました」
大沼さん「昭武は隠居した翌年から松戸の戸定の新しい家に住み始めました。息子の武定ら家族とともに隠居後の暮らしを楽しんだのが松戸だったんです。武定は戸定邸で生まれ華族となり、『松戸徳川家』の初代当主となりました」
東京から近く、自然豊かな"まつど”の地
昭武は隠居後の生活を送る場所として、なぜ松戸を選んだのでしょうか。
水戸街道の地図
大沼さん「松戸は江戸(東京)と水戸を結ぶ水戸街道沿いにあり、今の墨田区にあった本邸との交通の便がいいというのが理由のひとつと考えられます。昭武は華族だったため、儀式や行事に参加するために東京で暮らさなければいけないというルールがあり、本邸と戸定邸を頻繁に行き来していました」
林さん「今の私たちと同じように“東京から近く、自然が豊か”という魅力が昭武を惹きつけたのではないかと思います。昭武は趣味である釣りや狩りを松戸で存分に楽しんでいましたから」
写真や日誌など、当時の資料が豊富に残っているのはかなりレア
当時の暮らしぶりが資料として今も残っているのですか。
戸定邸の事柄を記した「戸定邸日誌」(博物館)
林さん「写真が趣味だった昭武は、カメラで庶民の暮らしを撮影していました。当時カメラは高級品だったので、このような写真が残っているのはとても貴重です」
大沼さん「戸定邸には徳川家の人々のお世話をする職員が働いていて、毎日のできごとを日誌に書くことも彼らの仕事でした。昭武自身も日記を書いていて、この時代の記録がここまで詳しく残っているのはかなりレアなんですよ」
当時は松戸市でも狩りや漁ができました
昭武はどのように松戸を楽しんでいたのですか。
大沼さん「昭武は狩りや釣りも好きで、いつどこで何を狩ったり釣ったりしているかを細かく記録しています。外国製の鉄砲を使い、猟犬を連れて狩りをしていました。明治時代にはたくさんの種類の鳥や動物が松戸に住んでいたんですね」
林さん「昭武は古ヶ崎や矢切を流れる坂川や江戸川で釣りを楽しんでいました。江戸川ではウナギやコイ、坂川ではフナ、ヤマベ、エビなどが釣れました」
実際に使われていた漁の道具(博物館)
昭武が撮影した古ヶ崎での釣りの風景(戸定歴史館)
松戸町の人々との関わりも注目ポイントです
周囲の住民とも関わりがあったのですか。
昭武が撮影した秋葉神社のおみこし(戸定歴史館)
大沼さん「徳川家は学校や神社にお金を寄付したり、徳川家が持っている土地を寄付したり売ったりしています。松戸は徳川家に協力してもらいながら発展してきたといえるでしょう」
林さん「昭武は秋葉神社の子どもみこしや、戸定邸の庭園を見学に来た小学生の写真を撮っていて、子どもへの優しい視線が感じられます」
松戸の梨づくりと戸定邸
松戸覚之助(博物館)
二十世紀梨を発見したことで有名な松戸覚之助が、梨づくりのアドバイスをするために戸定邸に来ていたという記録が残っています。覚之助のアドバイスを受けながら育てた戸定邸の梨は、昭武の親戚や友人にプレゼントされたそうです。松戸の梨づくりは江戸時代から行われ、60年ほど前からは観光梨園も始まっています。
特別展ではココを見てください!
今回の特別展の見どころは?
大沼さん「資料を研究して新たにわかったことも含め、初めてのコラボ展示でより包括的に松戸の歴史を見ていただけたらと思います」
林さん「写真の中で使われている農具を実際に展示したり、昔の写真を地図に重ねたりとコラボして初めてできた工夫をしているので、昭武・武定が生きた明治・大正・昭和の“まつど”にタイムスリップしたような感覚で見ていただきたいですね」
-本日は貴重なお話をありがとうございました!
松戸町の地図に当時の写真を重ねた展示(博物館)
戸定邸で使われていた陶器の椅子(戸定歴史館)
実際に使われていた農具(博物館)
松戸市戸定歴史館・松戸市立博物館連携特別展(イベント概要)
まつど×とくがわ-昭武・武定の生きた明治・大正・昭和-
開催期間 2025年7月12日(土曜)~8月31日(日曜)
開館時間 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日 毎週月曜日(ただし祝休日の場合は開館し、翌日休館)
観覧料 『戸・博まるごとチケット オリジナルネックストラップつき』
一般620円 高大生300円 中学生以下無料
※その他個別のチケットもあります。
※ネックストラップはなくなり次第終了します。
関連イベント『スタンプラリー』
戸定歴史館・戸定邸・市立博物館の3ヵ所に設置されたスタンプを集めよう。すべて集めた方には、トートバックをプレゼントします!
※景品がなくなり次第終了します。あらかじめご了承ください。
※申し込み不要
後援・協力
後援:(公財)松戸市文化振興財団、(一社)松戸市観光協会、
北総線沿線地域活性化協議会、チバテレ
協力:京成電鉄株式会社、流鉄株式会社
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