教育広報令和6年10月30日号
更新日:2024年10月30日
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宇宙飛行士 山崎直子の天文教室
~これからの、宇宙のお仕事~宇宙のお仕事ってどんなお仕事だろう?
2024年8月27日、松戸市民会館で、松戸市内在住の小学生とその保護者を対象に、宇宙飛行士 山崎直子さんの講演会「宇宙飛行士山崎直子の天文教室~これからの、宇宙のお仕事~」が開かれました。知的好奇心を満たす90分間の講義の内容を紹介します。
山崎直子さんってどんな人?
2001年に日本人として8人目の宇宙飛行士に認定される
山崎直子さんは松戸市出身の宇宙飛行士です。平成22年4月5日から4月20日まで、地球の周囲を回る人工衛星である国際宇宙ステーション(ISS)に滞在しました。小中学生の期間のほとんどを松戸市内で過ごし、その頃から、宇宙が舞台のSFアニメ・映画に親しみ、宇宙に対する想像をふくらませていました。山崎さんが小学生の頃、松戸市民会館にプラネタリウム室ができました。それからは、季節ごとに家族でよく通うようになり、宇宙への思いをさらにつのらせていきました。
「NAOKO SPACE PLANETARIUM」って?
天文教室にて講演を行う様子
山崎直子さんが宇宙から帰還したあと、山崎さんの名前にちなんで名付けられた、プラネタリウム室の名前です。松戸市民会館には、山崎さんがスペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗したことを記念する記念碑があったり、山崎さんの功績を紹介する展示コーナーが設けられていたりと、宇宙飛行士になる夢を叶えて松戸市から宇宙に飛び出した山崎さんのことを、今の子どもたちに伝えています。
『宇宙飛行士山崎直子の天文教室」講演内容の紹介 ※一部抜粋・要約
これからはもっと みんなが宇宙に行けるように
これまで、世界ではおよそ600人、日本人では14人が宇宙に行っています。
宇宙飛行士というと、健康な人しかなれないと思うかもしれませんが、ヨーロッパでは「パラストロノート」と呼ばれる、体にハンディキャップを持つ宇宙飛行士が誕生しました。現在は多様
な人が宇宙に行って活躍できるよう、みんなで考える時代になりました。これからはもっと多くの人が宇宙に行くようになっていきます。
「宇宙飛行士」という言葉は いつかなくなるかも……!?
アルテミス計画という、日本も参加している国際的な計画が進んでいます。これは、ただ月に行くだけでなく、月面に基地を造り、もっと月に行きやすくしようというものです。月に人が滞在するようになれば、車を運転する運転士やロボットの世話をする技術士が必要になったり、今では想像もつかないお仕事が生まれるかもしれません。
宇宙で活躍する専門家がいっぱい出てきて、これからは単なる「宇宙飛行士」という言葉がなくなるくらい、いろんな「宇宙○○士」というお仕事ができるかもしれませんね。
山崎さんへの質問コーナー
宇宙食で一番好きなものは何ですか?
カレーライスが一番好きです。宇宙は重力がないので、地球にいる時よりも顔に血液が集まって鼻づまりのような感覚になります。そうすると味の感覚がにぶくなるので、カレーなど味のはっきりしたものがおいしく感じます。
お風呂はどうやって入るのですか?
宇宙では水が浮かんでしまうので、お風呂に入ることはできません。濡れたタオルで体をふいたり、水がなくても使えるシャンプーを使ったりしてきれいにしています。
月に行ったら何をしたいですか?
月に行ったら小さな学校を造って、そこで先生になるのが夢です。あとは、月の小さな重力でスポーツもやってみたいですね。
宇宙から戻ってきた時、体はどんな感じですか?
最初に思うのは「重い」です。自分の手や頭が重く、中には自分の舌が重くて、しゃべるのがおっくうだったという人もいます。半年間宇宙にいる人は感覚が完全に戻るまで、なんと45日間かかるそうです。
宇宙にはコロナ(新型コロナウイルス感染症)はありますか?
宇宙に行く前は約10日間隔離空間で過ごして、コロナウイルスに限らず、ウイルスを持ち込まないように気をつけています。でも、宇宙でカゼをひくことは結構あります。そんな時は薬を飲んで過ごします。
宇宙では朝と夜はどうやって見分けるんですか?
ISSは90分で地球のまわりを一周するので、45分ごとに日の出と日の入りを繰り返します。外の景色からは時間がわからないので、イギリスの世界標準時という時間に合わせて生活しています。標準時が午前6時なら、外が暗くても朝と決めています。
山崎さんから皆さんに
この広大な宇宙にはまだまだ未知で不思議なことがいっぱいです。英語のwonder(不思議)とfull(いっぱい)をつなげるとwonderful(すばらしい)という言葉になります。未来は一つではなく、未知の可能性は自分で広げられるという意味がこめられていると思っています。わからないことで不安になった時はこの言葉を思い出してください。
私が小学生の頃は、日本人が宇宙飛行士になれるなど想像もできませんでした。今は夢物語でも、世の中は変化していきます。だから、そんな夢も大切にしてください。これから皆さんが、わからないことにも恐れず挑戦し、まわりに感謝しながら、やりたいことを見つけるのを楽しみにしていますね。
天文教室へ参加した方へインタビュー
「宇宙ではお風呂に入れないのにびっくり!」
「宇宙に行って、月で遊んでみたい!」
「質問もできて楽しかった!」
山崎さんも通った! 松戸市民会館のプラネタリウム室に行こう!
地元に愛される、変わらない癒やしスポット
1978年の開業から同じ投影機を使用。山崎さんが見た星空と同じ空を今も映し出している。
現在、山崎さんが名誉館長を務める松戸市民会館のプラネタリウム室。解説はスタッフによるライブ解説で、子どもだけでなく、大人でも楽しめるプログラムもあります。リピーターも多く、数世代にわたって通う利用者も。季節に応じて内容も変わるため、だれでも、何度でも楽しむことができます。
- プラネタリウム室に続く廊下にも宇宙が広がる!
プラネタリウム室までの廊下には宇宙をテーマにしたウォールアートが。記念撮影する人も多い人気スポット。
- 観望会で実際の星を見てみよう!
月に一度、屋上で星空観望会を実施。さまざまな天体を望遠鏡で観望する。参加無料。要事前申込。
松戸市民会館 プラネタリウム室 スタッフ 梅井さん
投影される星空はもちろん、山崎さんにかかわる展示なども当プラネタリウム室の魅力の一つです。第2、第3の山崎さんを松戸から誕生させたいという思いを込めて、子どもたちに宇宙のお話をしています。当プラネタリウム室で、宇宙や天文を少しでも身近に感じてくれたら、とてもうれしいです。
松戸市民会館 プラネタリウム室
住所 松戸市松戸1389-1 電話番号047-368-1237
アクセス JR常磐線・新京成電鉄松戸駅東口から徒歩約7分
投影日 土・日曜、祝日
定員 各回80名
料金 中学生以下無料 大人50円
(65歳以上、各種障害者手帳・療育手帳をお持ちの方とその付き添いの方1名は無料)
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