平成24年度施政方針
更新日:2013年11月25日
平成24年度の施政方針を以下のとおり掲載いたしました。また、一番下のPDFファイルからダウンロードして見ることもできます。なお、当日の演説と表現その他に若干の違いがあることをご了承ください。
平成24年度施政方針
本日、ここに、平成24年度予算案及び関連諸議案を提出し、ご審議いただくにあたり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べ、市民並びに議員の皆様のご理解を賜りたいと存じます。
始めに
まず、はじめに、昨年の3月11日に発生いたしました「東日本大震災」で被害に遭われた方、御家族、御親戚を失われた方、現在も避難先で不自由な生活を余儀なくされている被災者の方々に対しまして、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
本市は、この地震により、震度5弱の揺れを記録し、軽傷の方12名の人的被害と、8棟の全壊を含む約1,600棟の住宅被害があったほか、交通機関の乱れから多くの方が帰宅困難な状態に陥りました。また、この震災による地震と津波は、東京電力福島第一原子力発電所の重大な放射能漏れ事故を引き起こし、事故直後には、広範囲に高い線量の放射能汚染が発生し、福島県などから多くの被災者が関東方面に避難されました。本市では、震災の直後から「被災者を助けたい」、「温もりを感じてもらいたい」という市民の皆様の熱い思いに支えられ、延べ400名近くの避難者を受け入れました。
その後、5月頃より、東葛飾地域は、関東地方の他の地域と比べ高い空間放射線量が計測されることが分かり、市民の皆様には大変な不安を抱かせる事態となりました。
また、昨年、12月には、下校途中の小学生が不審者に刺される痛ましい事件が発生し、多くの保護者、児童が不安な生活を送る事態も発生いたしました。
こうした事態への対応こそ、本市を取り巻く喫緊の課題であることから、市政を預かる身といたしまして、市民の皆様の命と健康を守ることを最優先に考え、24年度は、放射能対策はもとより、防災・防犯対策など、安全・安心のまちづくりを中心に、市民の皆様とともに、全力を尽くしてまいる所存でございます。
まちづくりに対する基本的な考え方
次に、まちづくりに対する基本的な考え方について述べさせていただきます。本市の人口は、本年2月1日現在で、482,317人と、22年10月の国勢調査時と比較して、2,140人減少しており、昨年7月以降は毎月連続して減少しております。
また、以前から本市の人口動態の特徴として、子育て世代の人口が流出しており、今後さらに少子・高齢化の影響が現れることから、特に30代、40代の市民にとって、本市の価値を高める必要があると考えております。その象徴が、「子育て、教育、文化を軸とした都市ブランドづくり」であります。
子育て施策、教育施策、文化施策に関する具体的な取り組みを積極的に行い、松戸の魅力や可能性を高め、市内外に発信していくことで、子育て世代を中心とした若い世代がこのまちに住むことに、ステイタスや楽しさ、面白さ、潤いを感じられるようにしてまいります。
24年度は、「安全・安心のまちづくり」と「子育て、教育、文化を軸とした都市ブランドづくり」を2本の大きな柱とし、具体的に事業を推し進めるとともに、「元気なまちづくり」として、活気あるまちを取り戻すため、地域経済の活性化やまちづくりの見直しと、高齢者をはじめ、全ての市民の皆様にとって住みやすいまちにしていくための、「人と人との結びつきを大切にするまちづくり」を実践してまいります。
まず、一つ目の柱である「安全・安心のまちづくり」に向けてでございますが、放射能対策といたしましては、今後の基本的な本市の除染方針として、23年度に引き続き、子どもたちの健康維持と安全安心を最優先に、8月末日(夏休み終了まで)を目途に子ども関係施設や学校施設の除染を行い、放射線量を国の指標値である、毎時0.23マイクロシーベルト未満にすることをめざしてまいります。
また、本市は、放射性物質汚染特別措置法に基づく、「汚染状況重点調査地域」に指定されており、調査測定の結果に基づき、除染実施計画を本年1月に設置した放射能対策室を中心に取りまとめている最中です。具体的な除染方策といたしましては、まず、幼稚園、市立保育所、民間保育園、放課後児童クラブ、小学校、中学校、高等学校、こどもの遊び場、樹林地や植栽を除いた公園などで、市営、民営の如何にかかわらず、子どもが過ごす施設等については、除染計画が国に承認され次第、計画的に除染を実施いたします。
家庭や事業所等については、除染基準を設け、計画的な除染を24年度中に開始いたします。中でも子どもがいる住宅については25年3月を目途に除染してまいります。
さらには、自主的に除染した結果、発生した除染物についても引き取り基準を設け、必要に応じ引き取りが出来るよう、一時仮置場や、中期的な仮置場を確保いたします。
なお、除染を中心とした放射能対策にかかる費用は、新年度予算で31億8882万4千円を計上いたしております。
また、23年度から市民の皆様に貸し出しを行っている空間放射線の測定機器については、24年度も引き続き貸し出しを行ってまいります。
次に、防災対策といたしまして、マグニチュード7クラスの地震が南関東で発生する確率が高いといわれる中で、現在、市内の小中高等学校については、合わせて103棟の耐震改修工事が必要となっております。そこで、子どもたちの命を守ることを最優先にするとの思いから、「耐震化整備プログラム」の見直しを図り、27年度の完了をめざして、24年度は16棟の耐震改修工事を実施いたします。
また、県域を越えた広域的な自治体間での応援体制の確立と、さらなる防災対策の強化を目的として、愛知県小牧市、富山県高岡市、鳥取県倉吉市と防災協定を締結いたしました。今後は、大規模災害の発災時に相互に助けあうことができるよう、平常時から情報交換を行うなどの連携を図ってまいります。
また、災害時に被災者の受け入れを行っていただくほか、学生ボランティアとの協力体制の構築をめざし、先般、流通経済大学と防災協定を締結しております。さらに、老朽化の著しい防災行政無線につきましては、機器の再整備を行うとともに、デジタル化し、子局の増設も行うことで、市民の皆様への情報伝達の強化を図ってまいります。
また、本市の大きな課題であります大規模災害にも耐えられる市立病院の建替えについては、現在、市議会において集中的にご審議をいただいておりますが、今後の計画の推進について市議会をはじめ市民の皆様の理解を深め、早期建設に向けた方針を示してまいりたいと考えております。既存病院の1号館については、安全性の確保と機能を損なわないよう、効果的な修繕を行ってまいります。
次に、防犯対策につきましては、地域ぐるみの安全安心策のひとつとして、ネットワーク型ハイビジョン防犯カメラを市内8箇所に27台を設置いたします。この防犯カメラは、25年度以降も過去の犯罪発生状況に応じて各地域に設置を進め、さらに防犯力の強化に努めてまいります。
また、全国ワースト1位でありました千葉県のひったくりの発生件数は、本市でも防犯キャラクターによる啓発活動による取り組みや、青色回転灯装備車両によるパトロールの強化などの結果、前年に比べて発生件数が半減しておりますので、24年度も引き続き、啓発活動等を行うとともに、町会、自治会、防犯活動団体が行う防犯活動を積極的に支援してまいります。
次に、二つ目の柱である「子育て、教育、文化を軸とした都市ブランドづくり」に向けてでございます。
本市の子育て支援につきましては、地域子育て支援拠点の充実や、社会福祉法人やNPO法人との連携による多様な子育て支援策の充実した取り組みにより、民間団体の自治体を対象とした調査において、全国でもトップクラスであるとの評価が得られております。
このような充実した地域の子育て環境を活かし、さらに高めていくためにも、保育所の待機児童解消を最大の課題と捉え、24年度には松戸駅及び東松戸駅の周辺に、新たに2か所の民間保育園が開設されます。これにより 23年度開設した新松戸地区の民間保育園と併せまして、市内の主要な乗り換え駅周辺に、3か所の民間保育園が設置されます。 さらに、25年の開設にむけて、東部地区と常盤平地区の2か所に民間保育園の建設支援を行ってまいります。
また、保育所の一時・特定保育の充実に加えて、市内3か所目となる、理由を問わずに利用のできる「乳幼児の一時預かり」を開始し、子育ての負担が軽減できるような事業を進めてまいります。さらに、多様なニーズに応えるために、市内の私立幼稚園の利用時間を延長し、朝は7時半から、夕方は6時半までの「預かり保育」を行うモデル事業を実施いたします。
近年、不妊に悩み、実際に不妊治療を受けるご夫婦が増加する傾向がございますが、この治療は身体的、精神的な負担に加え、経済的な負担が大きいことが課題となっております。そこで、新たに不妊治療の助成制度を創設し、県の助成事業に加えて市の助成を受けられるようにいたします。
次に、教育施策につきましては、JR武蔵野線と北総線が交差する東松戸駅周辺の紙敷土地区画整理事業の進捗により、増え続ける東部小学校の児童数への対応といたしまして、28年4月に新たな小学校の開校をめざし、24年度は基本設計を実施いたします。
また、本市の小中学校は、地域の特色を活かした特別な教育課程を実施できる「教育課程特例校」として文部科学省から指定を受けております。本市では、この制度を活用し、日本語分野・英語分野から成る「言語活用科」を実施し、論理的・批判的思考力やコミュニケーション能力を身につけ、グローバル化する社会で活躍できる児童生徒の育成をめざしております。
次に、文化施策としましては、昨年、戸定が丘では、「戸定アートプロジェクト」が実施され、多くの作品展示を行ったほか、戸定邸において、著名な音楽家による演奏会が開催され、大変好評を博しました。
また、松戸駅西口地域を中心とした地域では「松戸アートラインプロジェクト」が実施され、多くのアーティストが作品展示やパフォーマンスを行うなど、大変大きな反響をいただいております。
24年度については、常盤平団地で、UR都市機構との連携により、地元の関係団体を中心に、地域活性化の具体策を検討する組織を立上げ、その中で「団地の魅力」を醸成させるため、アートイベントの開催を含め、地域活性化の検討を進めるとともに、「戸定アートプロジェクト」、「松戸アートラインプロジェクト」の内容の充実、エリアの拡充を図ってまいります。
このようなイベントを年間を通じて実施することにより、クリエイティブシティとしての都市ブランドの価値を高めていくとともに、市内外から人を惹き付けるまちづくりに取り組んでまいります。 さらには、これらのイベントを担う地域や関係者を積極的にサポートすることにより、地域情報の提供機能、民間企業と地域のコーディネート機能などを併せ持った、まちづくりの中核となるまちづくり団体やまちづくり会社を育成してまいります。
また、文化芸術の振興を図るとともに、歴史・文化の視点から地域の活力や魅力を高めていくための基本的な方針の策定に引き続き取り組んでまいります。そのため、市内在住の芸術家や学識経験者等からなる市民会議を設置するとともに、市民意識調査を実施し、本市における文化芸術振興に関する現状や、市民ニーズ等について把握してまいります。
経済状況
さて、わが国の経済情勢は、東日本大震災により深刻な打撃を受け、さらには、昨年夏以降に欧州の債務危機の顕在化による急激な円高が発生し、日本の景気の持ち直しの懸念材料となっております。物価についても穏やかなデフレ状態が継続し、消費者物価は3年連続の下落となっております。国政においてもこの影響を受け、24年度予算案は、3年連続で税収を上回る国債を発行する状況となっております。
そのような中、地域主権改革に関しましては、「大阪都構想」など、地方から既存の自治体の枠組みを見直そうとする動きもあるものと認識しております。今後も、国政や他の自治体の動向を注視するとともに、前向きにとらえてまいりたいと考えております。
次に、雇用状況については、今春卒業予定の大学生および高校生の就職内定率は、国などのさまざまな支援施策によって、調査開始以来最低であった前年よりも改善の兆しが見えてきたものの、依然として予断を許さない状況にあります。また、有効求人倍率は、緩やかに改善しているものの、完全失業率については、横ばい状態が続いております。
平成24年度松戸市当初予算
次に、本市の24年度予算についてご説明申し上げます。
一般会計予算規模は、特に放射能対策に要する経費として約32億円を計上したことから、前年比18億8千万円増の1278億3千万円となり、過去最大となります。 歳出の構成割合は、民生費が44.7%と最も大きく、次いで衛生費が 10.2%、3番目が教育費で9.7%となっております。
民生費は、生活保護費等の扶助費が全体の3割を占めており、常盤平老人福祉センターの耐震化に伴う建替え工事や介護保険特別会計繰出金の増額を計上しております。
また、衛生費は、和名ヶ谷クリーンセンターの基幹整備費を計上してまいります。
教育費については、23年度補正予算で耐震化工事を前倒しで実施するため、この部分を当初予算から減額していることから、構成比で3番目となっております。
続きまして、後期基本計画の政策展開の方向に沿って、24年度の主要な施策について、ご説明申し上げます。
第1節 連携型地域社会の形成
はじめに「連携型地域社会の形成」をめざす施策について申し上げます。
まず、地域の新たな仕組みづくりとして、地域の問題は地域で解決できる松戸版地域の仕組みの実現をめざし、引き続き、松戸の特性にあった制度の検討を進めてまいります。また、「(仮称)町会・自治会と市のパートナーシップのあり方検討委員会」を設置し、市政協力委員制度などの検証、検討を進めてまいります。
市民の利便性の向上を目的に、松戸駅東口構内に設置している行政サービスセンターにつきましては、市民の皆様がさらに利用しやすくなるよう、平日に加え、新たに毎週土曜日、窓口を開庁してまいります。
協働のまちづくりを推進する協働事業提案制度では、引き続き、パパ手帳を使った父親のための育児支援事業など7団体に負担金を交付いたします。また、市民活動助成事業では、園芸のスキルをもった学生による園芸活動を基盤とした地域福祉活動事業など9団体に対して、助成金を交付いたします。
住民自治の振興のため、町会・自治会が行うコミュニティ活動の拠点施設として、上本郷第2町会の集会所建設事業に対して、補助金を交付いたします。
市民センターのバリアフリー化および耐震化整備として、稔台市民センター本館の耐震化および本館・別館のエレベーター設置工事、五香市民センターのエレベーター設置工事、梨香台保育所との複合施設である東部市民センターの耐震化およびエレベーターの設計委託、松飛台市民センターのエレベーターの設計委託を実施いたします。
第2節 豊かな人生を支える福祉社会の実現
続きまして、「豊かな人生を支える福祉社会の実現」をめざす施策について申し上げます。
子育て支援策といたしましては、先に申し上げました施策のほか、利用者が多様な子育て支援サービスを活用できるよう、これまで地域子育て支援の拠点として市内全域に整備してまいりました18か所の「おやこDE広場」と「地域子育て支援センター」の運営に携わる職員を、全国に先駆けて、「子育て支援コーディネーター」として育成してまいります。
また、これまで、両親のどちらかに無料交付してまいりました「子育てみらいカード」につきましても、新年度から、父母両方を対象にいたします。
さらに、小学生の放課後の居場所づくりとして、小学校の教室を活用して子どもの遊びや学習支援を行う「放課後KIDS(キッズ)ルーム」につきましては、既に実施している4校に加えて、新たに3つの小学校で実施するとともに、開催日を週4日に拡大いたします。
放課後児童クラブについては、引き続き法人運営の安定化を支援するとともに、2か所を移設整備いたします。
健康増進・疾病予防につきましては、子宮がんの早期発見と早期治療を促進するために、子宮がん検診の無料クーポン券対象者で未受診者に対しコールリコール事業を新たに開始し、検診の受診勧奨と未受診理由の調査と分析を行ってまいります。
高齢者に関する施策といたしましては、第6期高齢者保健福祉計画・第5期介護保険事業計画に掲げる「地域包括ケアシステムの推進」「予防重視型システムの推進」「認知症対策の推進」を図るため、地域包括支援センターの拡充に向けた準備を行います。また、介護保険料につきましては、財政安定化基金等を活用するとともに、きめ細かい保険料段階の設定を行い、基準額の上昇を抑制します。さらに、2月よりスタートしている「介護支援ボランティア制度」につきましては、元気な高齢者に多数参加していただき、介護予防につながればと考えております。
常盤平老人福祉センターにつきましては、耐震化に伴う建替え工事を行い、25年4月より新たな施設として再開すべく準備を進めてまいります。
国民健康保険につきましては、新年度より外来診療に係る高額療養費の現物給付化など制度の改正がございますが、保険料は据え置きます。
障害者に関する施策についてでございますが、現在、国では、内閣府に障がい者制度改革推進本部が設置され、集中的な制度改革が進められております。その基本的な考え方は、障害者があらゆる分野において、社会から分け隔てられることなく、地域で暮らすことを柱に据えた施策を展開することとされております。こうしたことを踏まえ、本市といたしましては、24年度において、市民参加の下、新たな障害者計画を策定し、施策の基本的な方向性を明らかにしてまいります。
地域生活を支えるための施策といたしましては、新たに訪問型の相談支援事業を実施し、障害や病気により、相談窓口の利用が困難な方には、ご自宅を訪問し相談をお受けするなど、相談支援体制の充実を図ってまいります。 また、本年10月から障害者虐待防止法が施行されることから、虐待に関する通報や相談等の窓口となる障害者虐待防止センターを設置し、虐待対応に関する体制整備を図るとともに、事業者に対する研修や市民への虐待防止に関する普及啓発に取り組んでまいります。
次に、健康福祉会館(ふれあい22)におきましては、児童福祉法の改正により、本年4月より、障害児通所サービスの再編と機能強化が図られるところでございますが、10年度のオープン以来、障害の早期発見・早期療育に取り組んできた強みを生かしながら、地域の児童デイサービス事業者と連携し、障害児支援の更なる充実を図ってまいります。
市立病院につきましては、精神科医師の1名確保、救命救急センターの医療器械の更新及び医師4名の確保、HCU(ハイケアユニット)の設置などを進めてまいります。併せてPICU(小児特定集中治療室)の開設準備のため備品購入等を進めていき、引き続き、病院機能の充実を図り、東葛北部医療圏の中核病院として高度で良質な医療を提供していけるように、必要な人材を確保するとともに、経営の健全化に取り組んでまいります。
次に、東松戸病院につきましては、現在休床中の緩和ケア病棟の稼働に向けて、緩和ケアの専門家を招聘し、緩和医療・ケアの充実に取り組んでまいります。
また、両病院に関わることとしましては、患者さんの早期退院・社会復帰を実現していくために、リハビリテーション医療の充実をめざして、医療スタッフの増員、施設の拡充などに取り組んでまいります。
第3節 次代を育む文化・教育環境の創造
次に、「次代を育む文化・教育環境の創造」をめざす施策について申し上げます。
本施策につきましても、先に述べました施策のほか、まず、国際交流についてでございますが、オーストラリアのホワイトホース市と、姉妹都市提携を結んでから40年が経過いたしました。昨年の震災の影響で延期となっていました姉妹都市提携40周年記念事業を実施いたします。これまでの交流の歴史を再確認し、将来にわたっての友好を深めるため、ホワイトホース市民を含む公式訪問団をお迎えし、記念式典を実施いたします。この式典では、ホワイトホース市長などに特別名誉市民の称号を贈呈する予定であり、今後とも、ホワイトホース市民との友好親善を深めてまいります。
地域間交流については、一昨年、松戸市名誉市民であり元宇宙飛行士である山崎直子さんとともに宇宙を旅した松戸白かぼちゃの種を東日本大震災で被災された全小中学校に山崎直子さんのメッセージとともに「希望のたね」と題して早期の復興を願い贈らせていただき、被災地との交流を進めてまいります。また、宇宙かぼちゃを使ったイベントを実施し、まちの活性化を図ってまいります。
次に、平和事業につきましては、24年度も引き続き、中学生を平和大使として、長崎市で開催される「青少年ピースフォーラム」に派遣いたします。戦後67年を迎え、戦争を体験した人が少なくなる中、平和語り部や戦中戦後の市民生活等に関する資料を収集するなどの保存・継承事業を通して、次の世代に平和の大切さや戦争の悲惨さを伝えてまいります。
第4節 安全で快適な生活環境の実現
続きまして、「安全で快適な生活環境の実現」をめざす施策について申し上げます。
まず、防犯対策では、先に述べました施策のほか、町会・自治会が維持管理する防犯灯の整備につきまして、地域の安全・安心の確保を進めると共に電気料金および二酸化炭素排出量の削減を目的に、LED灯の新規設置、既存の水銀灯や蛍光灯の切り替えに対する補助を実施してまいります。
市内の一般廃棄物等の焼却施設である和名ケ谷クリーンセンターは、稼働開始から18年目を迎え、施設の基幹部分の老朽化が進んでいることから、3年間をかけて大規模な整備工事を行います。これにより、41年度まで稼働できるよう、施設耐用年数の延長を図ってまいります。
また、老朽化した小金消防署の移転建て替えにつきましては、基幹的消防署として、松戸市北部地域における大規模災害時の拠点機能の充実・強化を図るため、25年度の開署に向けて、引き続き建設工事を進めてまいります。
消防救急無線のデジタル化にあわせ、大規模災害への対応力を強化するために、千葉県北西部6市における消防指令業務の共同運用を予定しており、25年度からの運用開始に向けシステム改修に着手してまいります。併せて消防支援車を整備し、広域派遣における緊急消防援助隊の充実を図るとともに、市内で発生した災害の後方支援体制の強化を図ってまいります。
また、火災における初期消火協力体制を推進し、被害の軽減を図ることを目的に、初期消火に協力してくださった市民の方が使用した消火器の詰め替えや買い替えに対して、一定額の助成をする制度を設けます。
第5節 魅力ある都市空間の形成と産業の振興
続いて、「魅力ある都市空間の形成と産業の振興」をめざす施策について申し上げます。
中小企業支援・商店街の活性化、工業団地のあり方につきましては、現在、それぞれのプロジェクトにより検討を行っているところでございますが、現況やニーズを把握し、課題を抽出するために23年度に実施したアンケートの調査結果に基づき、24年度は、新たに関係団体の方々を交え、具体的な支援策などについてのプランニングを行います。これにより、地域商工業の活性化をめざしてまいります。
また、若者の雇用対策として 個別就職相談窓口と職業能力向上講座を実施しておりますが、今後も、より多くの若者が就労に結びつくよう、継続的に事業を実施してまいります。
観光に関する取り組みといたしましては、この度、矢切地域の観光資源を活かすうえで、念願でありました京成バス旧矢切高校線が矢切の渡し船着き場前まで延伸される予定です。矢切の渡し周辺地区と松戸駅が公共交通機関により結ばれ、矢切の渡しをモチーフにしたラッピングバスを走らせることで、市外からの来訪者、特に、柴又側から来られた方々を松戸駅周辺に誘引し、ひいては、松戸地区の賑わいの創出にも大きく寄与するものと期待しております。
さらには、松戸市の観光を支える人材育成として、「大学のあるまち」という本市の特色を活かし、学生を中心とした観光サポーター養成事業を実施します。若い感性を持つ学生との講義やワークショップを通して、「おもてなしの心」のさらなる醸成を図り松戸を観光の視点からプロモーションしてまいります。
松戸駅周辺地域活性化プロジェクトでは、本市の玄関口に相応しい、ソフト・ハード両面のまちづくりを進めるため、街のビジョンや活性化戦略などを含めた独自性の高いグランドデザインの策定に取り掛かります。また、街の魅力づくりに向けた環境整備として、松戸駅西口の主要地方道 松戸停車場線の緑化を進めてまいります。
続いて、交通バリアフリーの関係でございます。重点整備地区である松戸地区につきましては、道路のバリアフリー化が特定経路を中心に計画的に進んでおりますが、24年度以降は、松戸駅西口の松ノ木通り、高砂通りの電線の地中化およびバリアフリー化を進めてまいります。
松戸駅のバリアフリー化を含めた駅改良につきましては、JR東日本において基本設計の最終段階にあり、その後、実施設計にとりかかると聞いております。また、数年後にはJR常磐線の東京駅乗り入れも予定されるなど、いずれも本市の発展に大きく寄与する事業となりますので、JR東日本を含め関係機関との十分な協議を進めてまいります。
また、多くの市民の皆様から要望が寄せられております松戸駅西口のエレベーター設置につきましては、駅舎の改良に合わせて取り組んでまいります。 それまでの間は、ボックスヒル松戸のエレベーターを活用して、早朝の営業時間外も使用できるように、協議を進めてまいります。
他の鉄道駅のバリアフリー化につきましては、懸案のJR武蔵野線「新八柱駅」において、24年度には実施設計と並行し、準備工事が始まる予定です。また、新たに、新京成線「五香駅」のホーム、流鉄流山線「馬橋駅」の改札外についても、エレベーター等の整備が予定されております。これら鉄道事業者によるバリアフリー化事業を支援するとともに、新京成線「常盤平駅」南口のバリアフリー化につきましても、基本調査の結果を踏まえ次の段階へ進めてまいります。
続いて、都市計画につきましては、見直しの検討に向け、昨年から実施しております基礎調査及び土地利用課題検討調査の結果を詳細に解析いたします。また、長期未着手となっている都市計画道路につきましては、必要性を検証するガイドラインを策定し、将来の道路交通網の見直しを進めてまいります。
次に、景観形成推進業務としましては、身近な地域の景観づくりを地域住民が主体となって取り組めるよう、景観づくり活動に必要な情報の提供・組織づくり・勉強会や検討会へ専門家を派遣するなどの支援を行い、地域独自の景観形成のルールづくりを進めてまいります。
住宅団地等の整備、再編につきましては、梨香台団地を対象にUR都市機構による団地再生の先進事例などを地元の意見を聞きながら研究してまいります。また、市営住宅につきましては、ストック総合活用計画に基づき、三矢小台住宅の外壁改修を実施するとともに、計画的にエレベーターをリニューアルいたします。
市民団体との協働による樹林地の保全活動につきましては、活動団体13団体、活動フィールド15ヶ所を数えるまでになっておりますが、こうした里山に、より多くの人が親しんでもらうイベントとして、樹林地を一般開放する「オープンフォレスト イン まつど」を、5月に開催いたします。
また、矢切地区の斜面林は本市を代表する緑地であり、対象面積約5ヘクタールのうち、栗山約2.0ヘクタールと矢切約0.8ヘクタールを都市緑地法の特別緑地保全地区に都市計画決定しており、残りの約2.2ヘクタールの一部指定をめざしてまいります。
公園整備といたしましては、平成25年の一部開園に向けて、胡録台地域の拓野公園の整備を進めてまいります。また、戸定が丘歴史公園につきましては、公園を拡充させることで、戸定が丘一帯の魅力アップを図るため、隣接する福島県学生寮跡地を取得いたします。
近年の社会情勢の変化により、地域の公園においても、防災機能やバリアフリー化などの、地域のニーズに対応する整備が求められております。このことから、今後の地域公園のあり方などの指針となる公園整備ガイドラインを、策定いたします。
また、松戸駅周辺には、徒歩圏内で「江戸川」、「ふれあい松戸川」、「坂川」といった水辺空間がございます。これら貴重な自然資源をより多くの市民や来訪者に親しんでいただくため、河川管理者および関係機関との意見交換を踏まえ、良好な水辺環境づくりに向けて取り組んでまいります。
広域幹線道路の整備につきましては、外かく環状道路が27年度の千葉県区間の開通に目処が立ちつつあります。このことから、成田方面から整備が進められている北千葉道路につきましても、極めて重要な幹線道路でありますので、早期事業化に向けて国や県に働きかけてまいります。
都市計画道路3・3・7号の整備につきましては、幸谷・二ツ木区間における新たな市道の建設により、小金と馬橋を結ぶ市道と国道6号区間の開通を今年の夏頃に予定しております。開通に伴う新松戸東側地域の今後のまちづくりの方向性策定に向けて、引き続き調査検討を行い、それぞれの地区の特性に合った整備手法の検討に取り組んでまいります。
道路の機能管理事業としましては、道路の表面調査を完了させ、損傷度等をシステム化し、計画的な補修等を図ってまいります。
JR東日本の車両基地である小山電車庫を跨ぐ道路については、歩行者の安全の確保のため、新たに地下歩道の整備に着手いたします。
秋山及び二ツ木幸谷の両土地区画整理事業につきましては、都市計画道路事業等との連携を図りながら、良好な市街地の造成に向けて、引き続き支援してまいります。
水道事業といたしましては、安全な水を安定的に供給するために、石綿管更新事業を25年度の完了を目標に継続して実施してまいります。
下水道事業につきましては、約36ヘクタールの面整備を実施するとともに、既存施設の機能及び市民生活の安全を確保するため、計画的な調査・点検に基づき、適切な改築及び修繕を実施してまいります。また、20年度から実施しております、液状化によるマンホールの浮上防止対策や、公共下水道を利用した水洗式仮設トイレを小中学校に設置する下水道地震対策緊急整備につきましても、引き続き実施してまいります。
次に、浸水対策といたしましては、23年度に引き続き、春木川中流の高暮橋から爽やか橋までの区間の改修事業を、26年度を目途に完了をめざします。紙敷川につきましては、下流部に加えて中流部においても改修を進めてまいります。また、排水路の整備事業につきましては、上富士川上流や上矢切地区などを引き続き整備してまいります。
第6節 都市経営の視点に立った行財政運営
続きまして、「都市経営の視点に立った行財政運営」をめざす施策について申し上げます。
本市財政状況につきましては、依然として予断を許さない状況が続く見通しでございます。従いまして、歳入については、引き続き、自主財源の確保に向けた努力を続けるとともに、歳出の削減を図ってまいる所存でございます。 職員人件費については、10%削減を行財政改革等の取り組みにより、おおむね24年度で達成される見通しでございます。
外部の視点から事業の見直しや、組織風土改革を図る事業優先度評価につきましては、新年度におきましても引き続き実施してまいります。さらには、放射能対策や地域防災など危機管理体制の強化とともに、戦略プロジェクトをはじめ、複雑化、多様化する行政課題の解決に向けて、職員が自律的に動きながら、お互いが支援しあえる組織の構築をめざしてまいります。
また、本市の人口急増期に整備を進めた公共施設につきましては、老朽化が進み、一斉に更新時期を迎え、多額のコストがかかることが予想されております。そこで、公共施設の実態を把握するために、公共施設白書を作成してまいります。その中でも、市役所本庁舎につきましては、今後の市庁舎のあり方を検討するための資料となる基礎調査を実施してまいります。
学校跡地につきましては、現在検討中の「新松戸地域学校跡地有効活用基本計画」に基づき、公募型プロポーザルの準備、事業展開をめざしてまいります。
次に、広報につきましては、既に、新しいメディアを活用した情報発信、情報収集を始めておりますが、さらに、フェイスブックや動画などを活用し、広聴も含め積極的に進めてまいります。また、若い世代をターゲットとした新たな情報誌も発行してまいります。
市民参加による都市ブランド創りにつきましては、まちづくりファシリテーターを養成し、松戸市の魅力や可能性について皆で考える話し合いを経て、松戸らしさを表すスローガンやロゴマーク等の作成に着手いたしております。今後は、その成案化をめざしてまいります。
また、映画やテレビ撮影などを誘致するフィルムコミッションの立ち上げ準備を行うなど、こうした取り組みをシティ・プロモーションにつなげてまいります。
24年度は、総合計画第5次実施計画の策定に着手する年となってまいります。まずは、スタートして2年目となる後期基本計画につきまして、めざそう値の現状をアンケート調査により把握するとともに、市民とともに、計画の進捗状況を確認するための会議を開催してまいります。そして、多くの市民の皆様の声に耳を傾けながら、本市行政の課題、めざす方向を再確認し、第5次実施計画が、選択と集中を明確にした、より良い戦略計画となるよう努めてまいります。
以上、24年度の主要な施策について、その概要を申し上げました。
結び
さて、私は、就任以来、本市の人口動態の特徴を最大の課題と捉えており、引き続き、「子育て、教育、文化を軸とした都市ブランドづくり」に取り組んでまいります。
一方で、冒頭にも申し上げましたとおり、本市の人口は、昨年夏以降、若干ではございますが減少の方向を示しております。そのためにも、福島第一原子力発電所の事故を起因とする放射能の影響を心配する市民の皆様の不安を取り除くことを重要な使命と考え、新年度の予算編成に臨んでまいりました。
今後、早急に除染を進めるうえでは、市民の皆様との信頼関係を確固たるものとし、互恵の精神により進めなければならないものと考えております。
私は、「人こそが松戸の最大の財産である」と考えております。
本市には多くの街づくりの専門家や福祉関係者、芸術家、教育関係者、あるいは地域コミュニティの中で重要な役割を担っている方など、様々な分野で活躍されている方々がお住まいになっております。
松戸を魅力ある街にするため、また、様々な課題を乗り越えていくためにも、そのような方々と対話を重ねながら、力を結集するとともに、人と人との結びつきを強くする中で、市民一人ひとりが夢を描き、心豊かに暮らすことが出来るまちとなるよう、一歩、また一歩と市政を進めることにより、48万市民の負託に応えてまいります。
最後に、市民の皆様をはじめ、議員各位のご支援、ご協力をお願い申し上げ、24年度の施政方針とさせていただきます。
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