令和7年度施政方針
更新日:2025年2月21日
令和7年度の施政方針を以下のとおり掲載します。また、PDFファイルのダウンロードも可能です。
施政方針
本日、ここに、令和7年度予算案及び関連諸議案を提出し、ご審議いただくにあたり、施政の基本方針とともに概要を申し上げ、市民の皆さま並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
はじめに
昨年は、長引く緊迫した世界情勢とともにエネルギーをはじめとした物価上昇が続き、食料品、日用品、公共料金等のあらゆる物やサービスの値上げが相次ぎ、近年稀にみる物価高騰の影響で家計の負担が増加し、市民生活を圧迫しました。
また、昨年元日の能登半島地震にはじまり、自然災害の多発は、日頃から災害に備えることの必要性を改めて強く認識させられました。
加えて、電話・SNSによる特殊詐欺事件のほか、首都圏で「トクリュウ」と呼ばれる「匿名、流動型犯罪グループ」による闇バイト強盗事件などが発生し、市民の不安を招いています。
本市は、このような状況の中、昨年6月7日に人口が50万人に到達し、現時点で全国792市の中で27番目の人口を抱える都市となりました。令和2年に人口49万9千人に到達しましたが、その後、コロナ禍で若干人口が減少し、全国的には人口減少社会を迎える中で引き続き、東京近郊の都市で少しずつ人口の増える自治体があり、本市はそれを体現する都市となっています。
引き続き、予測困難な時代の変化に対応し、基礎自治体として市民生活を守り、まちの活力を維持していくために、次世代につながる新しいまちづくりに取り組んでまいります。
市民・市ゆかりの方々の活躍
さて、昨年も多くの市民、本市ゆかりの方々の活躍があり、たくさんの感動と勇気をいただきました。
スポーツ分野では、パリオリンピック・パラリンピックにおいて、羽賀理之選手が車いすラグビーで初の金メダルを獲得し、須崎優衣選手(※「崎」の字は「たつさき」が正式表記です。)は女子レスリング50kg級で銅メダルを獲得しました。陸上男子110mハードルでは、村竹ラシッド選手が日本勢初の5位入賞を果たしました。
大相撲では、大関に昇進した佐渡ケ嶽部屋の琴櫻関が、11月場所で悲願の初優勝を果たしました。
「松戸市ふるさと応援大使」で格闘家の那須川天心選手は、WBOアジア・パシフィック・バンタム級王座決定戦で勝利し、ボクシングで初のチャンピオンベルトを手にしました。
昨年10月に行われたプロ野球ドラフト会議では、本市出身の立松由宇選手が「千葉ロッテマリーンズ」から6位指名され、市立松戸高等学校3年の広瀬結煌選手が「福岡ソフトバンクホークス」に育成4位で指名されました。今後のプロの世界での活躍を期待したいと思います。
全国中学生野球大会においては、本市の中学生選抜野球チームの「松戸BC」が全国優勝しました。その他にも、栗ケ沢中学校の弓道部男子の佐藤汰樹さんが全国大会の個人の部で優勝、技能優秀賞をダブル受賞し、第一中学校の男子バレーボール部も全国大会に出場するなど、市内の数々の学校が団体種目や個人種目において活躍しております。
また、「古希松戸シニアスターズ」の75歳以上のチームが、千葉県還暦軟式野球大会で初優勝し、今年5月の関東大会に出場予定です。
一方、文化面においても、音楽の分野では、小金南中学校が「東日本学校吹奏楽大会」に出場し金賞を受賞しました。さらに、第六中・小金南中・小金中学校が「日本管楽合奏コンテスト全国大会」で最優秀賞や審査員特別賞を受賞するなど、市内の数々の小中学校が優秀な成績をおさめました。
市民活動では、本市の東松戸ゆいの花公園と金ケ作育苗圃で活動する市内の2つの市民団体が第35回「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞しました。
まちづくりに対する基本的な考え方
続きまして、新年度のまちづくりに対する基本的な考え方を述べさせていただきます。
松戸を取り巻く環境変化
物価高騰
総務省によると昨年12月の生鮮食品を含む消費者物価指数は前年同月比で3.6%上昇し、生鮮食品が17.3%上昇と最も上昇幅が大きく、中でもキャベツが2倍超となったほか、みかんも25.2%上昇しました。
また、光熱・水道が11.4%と生鮮食品に次ぎ上昇し、電気代が18.7%、ガス代が7.8%とそれぞれ上昇しています。生鮮食品以外の食品も4.4%上昇し、中でもコメ類は64.5%と、比較可能な1971年以降で最大の上昇幅となりました。こうした物価上昇の水準が3年連続で続くのは約30年ぶりの状況です。
社会構造変化
日本社会は急激な人口減少の入口に立っており、超高齢社会を迎える中で出生数の減少は続いていることから、労働市場では人手不足が深刻化しつつあります。新卒採用の売り手市場が激化し、人材を確保するために賃上げや労働条件の改善、生産性の向上が求められています。
広域的な取り組み
江戸川を挟んで隣の東京都では、その豊富な財源を生かして、経済的に非常に手厚い独自の子育て支援サービスなどが展開され、都と県の間で大きな格差が生じております。特に本市は、都内に通勤・通学する市民が多いことから、こうした行政サービスの格差が拡大していくことは由々しき事態と捉えております。
このような居住する地域にとらわれない施策の実現に向けて、国や千葉県に働きかけていくとともに、インフラの整備など広域的な観点からのまちづくりや、共通の行政課題に広域的な取り組みが求められています。
安全・安心
また、安全安心や経済成長、持続可能な地域社会の形成を支えるために、老朽化が進行するインフラを維持管理し、更新して行くことへのハードルは高くなっています。
先の能登半島地震の震災を教訓として、喫緊の課題である防災体制の強化等、災害に強い、安全で安心なまちづくりの必要性も高まっています。
解決すべき本市の課題
こうした環境変化は、本市にもさまざまな課題をもたらしています。
物価高騰対策
まず、急激な物価上昇に賃上げが追い付いていくまでの間は、その影響を大きく受ける市民を支援するために、松戸市独自の施策を緊急で実施していくことで、市民生活を守っていく必要があります。
社会構造変化への対応
さらに共働き世帯の増加や核家族化の進行に伴い、社会構造が変化した現代においては、これまでに家庭で担ってきた子育てや教育を、社会全体で支えていく必要があります。
一方で、単身世帯の増加、少子高齢化の進行により、介護や障害者福祉においても、地域の支え合いや相談支援が不可欠です。
また、持続可能な開発目標「SDGs」の達成に向けた取り組みについては、経済、社会、環境の3つの側面からバランスよく推進することが責務となっており、さらに、社会におけるデジタルトランスフォーメーションが加速する中、市民サービスと行政運営におけるデジタル化を速やかに推し進めることが必要です。
インフラ整備・更新等
本市は、利便性の高い住宅都市として急速に発展し、一早く都市基盤や大規模住宅団地・マンションが整備されてきたことから、施設の老朽化等の課題が顕在化しつつあり、大規模な災害への備えも急務です。
東京に隣接する首都圏の人口50万人を有する都市として、インフラの整備・更新等、共通の行政課題を解決するために、国や千葉県をはじめ他自治体などとともに広域的なまちづくりを推進することも重要です。
本市の魅力や可能性
解決すべき課題がある一方で、本市は多くの魅力や可能性を備えています。
交通利便性
本市は、千葉県の北西部に位置し、都心へのアクセスが良好であり、成田・羽田両国際空港からの利便性が高く、外環自動車道と成田空港を最短に結ぶ北千葉道路の整備が進んでいます。
加えて、JR東日本による常磐線方面から羽田空港へのダイレクトアクセスに向けた整備も着手されるなど、利便性がさらに向上することが期待されています。
生活環境
また、市全体で、日常生活の商業、医療、福祉などの利便性はおおむね充足しており、若者や子育て世帯も含め、今後も多くの人々が本市に住まい、学び、働き、訪れ、市民活動などの人の交流が期待できるものと捉えております。
さらに、本市は、都心に近いながらも生活に潤いをもたらす豊かな自然や歴史があり、自分に合う暮らし方を日々の生活で実感でき、幅広い層を惹きつける魅力もあります。
50万人の市民
本市の原動力は50万人の市民の皆さまであり、「人」が「人」を呼び、「人」と「人」との出会いから、新しい価値やにぎわいが生まれ、地域の活性化につながっていきます。
課題解決につながる施策
こうした強みを生かして、未来への可能性を広げつつ、課題の解決につながるような施策を展開してまいります。
未来への投資
まず、未来への投資としては、子どもたちが元気に心豊かに育つことのできる環境づくりを進め、子どもの育ちを社会全体で支えていけるよう、妊娠、出産から子育てまで切れ目のない支援をさらに充実させるとともに、教育施策の充実に取り組みます。
まちづくりへの投資
人口急増期に整備された都市基盤の更新や市街地の再整備を進め、高経年化した集合住宅の再生を促進するとともに、ハードとソフトの両面から駅周辺等のにぎわいを創出し、住宅地としてはもちろん、商業地としての魅力向上にも努めてまいります。
地域共生社会
団塊ジュニア世代が65歳を迎える2040年を見据え、地域の人々がみんなで助け合うことや、充実した相談体制を構築することで、世代を問わず安心感や希望を持てる社会、「地域共生社会」の実現に向けて取り組みをさらに進めてまいります。
公民連携推進
また、小規模の地域を支える「かゆいところに手が届くような」事業や社会活動は、経済活動にも波及し、地域の発展につながりますので、多様な主体による公民連携のまちづくりを推進してまいります。
広い視野から将来を予測し、また、優先順位をつけながら、まちの活力を維持し、持続可能な「やさシティ、まつど。」の実現に取り組んでまいります。
子育て・教育・文化を軸とした都市ブランドづくり
ここからは、松戸市総合計画の着実な推進に向け、令和7年度に取り組む主な施策について、総合計画における6つの基本目標の視点に沿って順次、説明いたします。
1つ目の視点は、「子育て・教育・文化を軸とした都市ブランドづくり」として、若い世代の結婚、出産、子育てに対するライフプランを支援するとともに、子育て世代にも魅力的な「子育てしやすいまち」として選ばれるまちづくりを進めています。
子育て・教育
まず、物価高の影響が大きい子育て世帯に対しては、全ての市立小・中学校給食費の完全無償化に加え、これまで支援の対象となっていなかった長期欠席の児童・生徒及び私立小・中学校等就学者への昼食費支援や幼稚園児・保育園児への給食費の支援、フリースクール等を利用する不登校児童生徒の利用料の一部の支援と併せ、それぞれ緊急に1学期のみ実施します。その後の対応については、市民生活を守る観点から国の動向等も注視しながら検討してまいります。
さらに第3子以降の保育料を本年9月から完全無償化するなど、安心して子育てができ、子どもが健やかに育つ環境づくりに向けて、乳幼児期の教育・保育環境の充実、家庭での育児支援、子どもと子育て家庭を地域全体で応援する施策に引き続き取り組んでまいります。
具体的には、児童虐待や、DV、子どもの貧困対策といった子どもの命を守る施策に重点的に取り組んでいくほか、育児の負担が大きい双子等がいる多胎児世帯への支援の充実や、未就園児の育ちを支える「こども誰でも通園制度」の拡充、幼稚園教諭への「松戸手当」の支給などの施策を推進してまいります。
このような取り組みのもと、本市は「共働き子育てしやすい街」として日本経済新聞社関連の調査において、長年にわたり高い評価をいただいておりますが、子ども・子育て支援に関わる全ての皆さまに、この場をお借りして改めて感謝を申し上げます。
教育に関しては、「学びの松戸モデル」に基づき各種施策の推進を図っておりますが、国の教育振興基本計画等を参考にするとともに、本市が抱える教育を巡る課題に対応するため、見直しを図り、松戸らしい教育を進めてまいります。
子どもたちの安心・安全・快適な教育環境を確保するために、市立小・中学校及び市立松戸高校を含めた全校体育館の空調設備の整備工事を進め、始業前の昇降口が開くまでに登校した児童の見守りを市立全小学校にて実施するなど、社会環境の変化に対応した施策に取り組んでまいります。
多様な主体の連携や協働で学びを支えるために、スクールソーシャルワーカーによる支援体制の強化など、子ども一人一人の自立支援のため、より効果的できめ細やかな支援体制を構築してまいります。
文化・スポーツ・多文化共生
文化については、市民が本市の歴史・文化・伝統・芸術を学ぶことができるように、本市が所有する文化財や美術資料等を閲覧できる「松戸市デジタルミュージアム」の充実を図るほか、博物館のリニューアルに向けて基本設計等に着手してまいります。
また、市民が多様な文化芸術に触れる機会を創造していくため、多様なアーティストを招聘する「パラダイスエア」において、既存施設を利活用した拠点づくりを推進するとともに、本市の歴史や伝統を生かした国際芸術祭「科学と芸術の丘」においても、多文化共生の視点を融合し、アーティストと市民が共に育むことができる活動を増やしてまいります。
スポーツについては、年齢や性別、障害の有無に関わらず、多くの市民がスポーツを楽しむことができるように、各種スポーツ教室や大会を開催するほか、第二中学校校庭への夜間照明の設置や、旧根木内東小学校跡地への「(仮称)スポーツパークまつど」の整備に着手するなど、気軽にスポーツを楽しむ環境整備の充実を図ってまいります。
今年日本で初めて開催されるデフリンピックを応援するとともに、パラスポーツを普及啓発してまいります。
また、異文化理解の促進を図るとともに、多文化共生については外国籍の方々が本市で活躍できるように、経済や福祉など多様な連携を進めていくほか、ニーズ把握と施策充実を進めてまいります。
こうした多様な文化芸術及びスポーツ施策を生かし、総合的な施策の推進を図るため、「(仮称)文化スポーツ創造のまち推進方針」の策定に取り組んでまいります。
誰もがいきいきと暮らせるまちづくり
2つ目の視点は、「誰もがいきいきと暮らせるまちづくり」として、誰もが生涯を通じて、自らの健康に関心を持ち、心身ともに健康でいきいきと暮らせるまちづくりを進めています。
健康推進
まず、心身の健康の維持・増進に向けては、健康寿命の延伸を目指す新たな健康増進計画「健康松戸21フォー」(※計画名につく”フォー”は本来ローマ文字の4です。ホームページではローマ文字を利用しない方針のため”フォー”の表現になっています。)のもと、糖尿病・フレイルの予防、特定健診・がん検診の受診率向上に重点を置き、薬局における簡易血糖検査事業の拡充などに取り組んでまいります。また、インフルエンザ予防接種について、住民税非課税世帯の乳幼児に対する接種費用の一部助成を実施し、経済的負担の軽減を図ってまいります。
高齢者・介護支援
高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていくことができるように、医療・介護の緊密な連携に基づき、引き続き地域包括ケアシステムの深化・推進に取り組んでまいります。
増加する介護需要に対応するために、人材の育成・確保は急務であることから、外国人人材に対する支援の拡充などを行ってまいります。
また、加齢性難聴者への支援として、補聴器購入費の一部助成を含めた早期発見、早期受診等の一体的な対策を推進してまいります。
高齢者がいつまでも健康で生きがいや役割をもって、社会に参画できるよう、引き続きグリーンスローモビリティの活用や、リハビリ専門職との連携を通じて、介護予防を推進してまいります。
地域共生・障害福祉
地域共生社会の実現に向け、地域力の強化に取り組んでおります。その一環として地域の中での孤立を防止し、社会とのつながりづくりに向けて、地域の誰もが参加できる第3の居場所、「まつどDEつながるステーション」活動の支援を引き続き行ってまいります。
また、障害があっても安心して生活が送れるように、「まつど3つのあいプラン」に基づき支援施策を展開しておりますが、重症心身障害児が療育や生活の自立のために支援を受けることが出来る施設が、より開所時間を延長しやすくなる仕組みを導入することで、家族のレスパイトや就労支援を促進してまいります。
医療
本市の充実した医療提供体制を市民が活用しやすいように、医療機関マップの改訂を行い、医療機関の場所を探しやすくするとともに、かかりつけ医・薬局を持つことを推進してまいります。
市立総合医療センターは、東葛北部保健医療圏の基幹病院として、三次救急や周産期・小児医療、また感染症や災害対応等の政策医療を担っておりますが、安定した医療提供体制を維持するために病床稼働率の向上など経営改善に努めてまいるとともに、別棟の建設については、昨今の建築費高騰の状況を注視しつつ、経営計画の見直しも含め検討してまいります。
また、より多くの市民の皆さまに総合医療センターの機能や役割を知っていただくために、引き続き診療内容などの情報を紹介する「ペアレター」を発刊することや、医師や看護師等が地域に伺うパートナー講座等の開催を増やしてまいります。
居心地の良い魅力的なまちづくり
3つ目の視点は、「居心地の良い魅力的なまちづくり」として、主要駅周辺の市街地整備、住宅政策の更なる推進に加え、交通ネットワークの整備、都市計画道路整備を含めた市内道路整備、公園の整備及び緑地の保全、河川整備、下水道整備等、総合的なまちづくりを進めております。
松戸駅周辺
まず、松戸駅はJR東日本及び新京成電鉄が進める改良工事において、工事の進捗率が50%を超え、来年には駅構内の混雑解消に向けた幅員14メートルの新たな東西自由通路の使用を開始する予定です。駅南側の新しい駅ビルについては、再来年に開業予定です。
来年はJR常磐線および松戸駅開業130周年となる節目を迎えます。松戸駅は本市の顔とも言える駅ですので、連携を図って進めてまいります。
松戸駅改良工事に合わせて、新たに西口及び東口に公衆トイレを設置し、東西のペデストリアンデッキの改修も図るとともに、駅周辺では来訪者等の回遊性の向上、良好な景観形成に資する公共サインの設置工事を実施してまいります。
さらにこのようなことを踏まえ、民間活力によるまちづくりを推進・誘導し、にぎわいの再生に取り組むため、市として優先的に推進すべきと考える官民連携の取り組みと、市の支援体制等を示す「松戸駅周辺まちづくりビジョン」を作成してまいります。
松戸駅東口側松戸中央公園一帯の新拠点ゾーンは、緑を生かしながら災害対応やにぎわいの拠点とするため、令和4年度から土地区画整理事業を進めています。
なお、昨年市議会で市役所用地としてゾーン南側の国有地を取得する案が可決され、国から用地を正式に取得しました。間もなく旧松戸法務総合庁舎などの解体工事を始める予定です
新庁舎整備としては、「新庁舎整備基本計画」の策定に取り組むとともに、図書館など公共施設再編の検討も進めてまいります。
また、松戸駅周辺の新たな魅力の創出として、豊かな生態系が築かれている「江戸川・ふれあい松戸川」では、憩いや安らぎを提供してくれる水辺空間の形成を検討してまいります。旧松戸宿の坂川では、歴史と文化を生かし、自然と調和した散策路の景観形成の整備を図っており、「坂川ながるるプロジェクト」では、引き続き、実証実験やシンポジウム等を行い、検証結果を踏まえ、恒常的なにぎわい創出の仕組みを検討してまいります。
新松戸駅周辺・北小金駅周辺・常盤平地域
新松戸駅周辺地区は、東側地区の整備として、地域の皆様と共に区画整理事業を進めています。あわせて常磐線快速列車の新松戸駅停車に向け、関係機関と協議を続けてまいります。
北小金駅周辺地区については、歴史的な背景を生かして「歩ける街並みづくり」を目指し、食べられる景観づくりである「エディブル・ガーデン」を市民参加のもと、整備計画等のワークショップを実施します。
また、北小金駅の南口は、昨年度「北小金駅南口東地区市街地再開発組合」が千葉県の認可を得て設立され、市街地再開発事業が来年度から本格化していきます。北口は地元の要望を受けて、協議を進めているところです。
常盤平地域においては、昭和30年代から始まった大規模な土地区画整理事業により整備されたため、建物の高経年化と人口減少・高齢化などの課題が顕在化しております。一方で、豊かなみどりや良好な景観を有し、暮らしやすい住宅地としての魅力もあることから、「人とみどりが つながる広がる ときわだいら」をコンセプトに、魅力を生かしたまちの再生や、団地の再生に向けて、地元住民やUR都市機構とともに検討してまいります。
住宅政策
ライフスタイルやライフステージにあった住まいへの支援としては、子育て世帯が市内に住む親世帯と近居又は同居するための住宅取得に関する支援を拡充することで、さらなる若い世代の転入促進と定着化を推進してまいります。
交通・道路
快適に移動・アクセスできる交通ネットワークの整備としては、シェアサイクルの拡充、駐輪場のデジタル化を推進し、コミュニティバス新路線の実証運行、自動運転の地域実装に向けた実証調査を続けるとともに、将来に向けた持続可能な公共交通及び移動施策の在り方を検討するために、「松戸市地域公共交通計画」を策定してまいります。
北千葉道路の整備促進としては、早期全線開通に向けて、引き続き、千葉県や近隣市と協力、連携を図ってまいります。
戦後の復興期から、その後の常盤平団地をはじめ、沿線開発による人口急増期を経て、現在までともに歩んでまいりました「新京成電鉄」が本年4月から「京成電鉄」に合併され、「京成松戸線」となります。また、市民の大切な『足』として活躍してきた「松戸新京成バス」は、「京成バス千葉ウェスト」に再編されます。
これまでの「新京成電鉄」並びに「松戸新京成バス」に対する深い感謝の念を表するとともに、新たな運営主体と連携して取り組んでまいります。
みどり・公園
みどりのあるライフスタイルを楽しむために、新たな公園整備としては、新松戸駅東側の街区公園の整備や、六実中央公園の再整備に着手し、遊具の更新に合わせて、誰もが一緒になって遊ぶことができるインクルーシブ遊具の導入も図ってまいります。また、今年度から取り組んでいる公園整備を推進するためのガイドラインを策定してまいります。
緑地保全の取り組みについては、引き続き森林環境譲与税を活用し進めてまいります。
上下水道
水道事業では、震災等が発生した場合においても水道水を安定的に供給するため、基幹管路や避難所等の重要施設へ供給する管路を優先し、水道管の耐震性の向上を図ってまいります。
下水道事業では、未普及対策として、高塚新田地区の令和8年度からの工事着手に向け、引き続き千葉県及び市川市との協議や調査設計業務を実施し、準備を進めてまいります。
また、下水道施設の持続的な機能確保を図るため、ストックマネジメント計画に基づく調査及び、改築更新を進めてまいります。
地域経済が活力にあふれ、自分らしく働けるまちづくり
4つ目の視点は、「地域経済が活力にあふれ、自分らしく働けるまちづくり」として、本市の各種産業の環境整備と振興に努め、市の経済活性化を促すとともに、働きたい人が生きがいを持って自分らしく働けるまちに取り組んでおります。
事業者支援
まず、事業者の稼ぐ力を高めるために、成長段階に合わせた切れ目のない支援を、引き続き実施してまいります。
創業相談窓口である松戸スタートアップオフィスと、経営相談窓口である松戸ビジネスサポートセンター「ビジまど」の連携を強化することで、お互いの経営資源を最大限に活用し、伴走支援体制の再構築を図ってまいります。
また、デジタル化の取り組みに対する補助を拡充し、市内事業者の生産性向上や売上拡大、人手不足解消に向けた支援を実施してまいります。
多様な働き方(若者・女性・子育て・高齢者・障害者)
様々な主体が自分らしく働ける環境づくりとして、テレワークや職住近接の働き方を実現するための場としてサテライトオフィスの立地促進のほか、幅広い世代に対し、就労支援を行ってまいります。
妊娠・出産や介護を機に離職した女性の再就職や就労継続のための相談窓口として、「まつど女性就労・両立支援相談」をハローワーク松戸など関係機関と、引き続き連携して実施してまいります。
また、ほっとるーむなどの子育て支援施設を活用したコワーキングスペースは、子育て世帯の皆様からご好評を頂いているため、引き続き実施してまいりたいと考えております。
一般就労への移行を目指す障害のある方については、就労定着支援事業所向け説明会を開催するなど、企業への周知を行うとともに、高齢者については経験と能力を活かせるよう、シルバー人材センター等関係団体と連携した就労機会の確保等、引き続き支援してまいります。
農業
農業振興に関しては、松戸産農産物のブランド力及び生産性向上のため、さらなる農家への支援を行うとともに、農業資材費等においても価格の高止まりの状況が続いていることから、引き続き経費の一部を補助してまいります。
安全で安心して暮らせるまちづくり
5つ目の視点は、「安全で安心して暮らせるまちづくり」として、快適な生活環境を保全し、市民の暮らしをいつでも守る安全安心なまちづくりを進めております。
危機管理
近年、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模災害の発災が懸念されますが、被害を軽減するために、地域ごとの自主防災を推進し、市指定避難所におけるマンホールトイレの整備、情報伝達手段の拡充、備蓄等の確保等に引き続き努めてまいります。
火災・救急救命
火災被害の軽減に向けた火災予防、安心できる消防体制に向けては、老朽化した二十世紀が丘消防署の建て替えに着手してまいります。
市民の生命をつなぐ救急救命体制の充実としては、ひっ迫する救急車の出動要請に対応するため、松戸市立総合医療センターをはじめ医療機関との連携を一層強化し、必要なときに対応できる救急搬送体制の整備に努めてまいります。
市民安全
市民の安全・安心を確保するため、市設置型の防犯カメラ並びに市民参加型街頭防犯ネットワークカメラの2つの事業を展開し、設置台数は県下最大であり、さらに子供の見守りや夜間パトロール等、市民や事業者と連携した取り組みの成果として、刑法犯認知件数は過去10年間で半減しました。来年度は、街頭に加え、新たに公園や自転車駐車場への防犯カメラを設置し、地域の治安向上につなげてまいります。
松戸駅周辺の客引き対策としては、街頭巡回等を拡充することで、より一層、客引き行為等の防止を強化してまいります。
特殊詐欺対策としては、従前の対策に加え、松戸市公式LINE等を活用して市民への注意喚起を図ることにより新たな詐欺対策にもしっかりと対応してまいります。
消費者対策に関しては、市民の皆さまの安全と安心を確保するため、悪質商法による消費者被害の未然防止と救済を図るための取り組みを今後も継続してまいります。
人と環境にやさしいまちづくり
最後、6つ目の視点は、「人と環境にやさしいまちづくり」として、松戸市民全員が、安心して住みやすく、満足していただける持続可能なまちの実現に向けた取り組みです。
SDGs推進
持続可能なまちづくりとして、SDGsを共通言語とした産学官民連携を促進するとともに、企業・団体等がSDGsに係る取り組みを宣言・登録する「まつどSDGsキャラバンメンバーシップ制度」については、登録者数が150件を超え、さらなる拡大と連携推進に努めてまいります。
また、常盤平団地エリアの豊かなみどりを活用する健康プログラム「TOKIWALK(トキウォーク)」など大学や地域と連携した取り組みを、引き続き実施してまいります。
ゼロカーボン・環境
ゼロカーボンシティの実現に向けては、市民が主体の「松戸市環境未来会議」において、市民自ら行動する脱炭素への取り組みを議論していただき、行動指針として取りまとめてまいります。
また、電動バイクの購入及び、配達ボックスの設置への補助制度を新設するとともに、森林環境譲与税を活用し、都市間協定を締結した鳥取県倉吉市及び、鴨川市と二酸化炭素吸収量を本市の二酸化炭素排出量と相殺する「カーボンオフセット」を目的とした森林整備を実施してまいります。
新焼却施設については、これまで実施してきた施設整備調査の結果を踏まえ、基本構想を令和6年度末に策定し、引き続き環境影響評価等の実施等、具体的な検討を進めてまいります。
人とペットが共存する社会の実現に向けては、飼い主のいない猫の不妊・去勢への支援を拡充するなど、取り組んでまいります。
地域イメージ向上
「まつどシティプロモーション推進方針」に基づき、SNS等を活用した魅力発信にも注力し、市内外で「まつどファン」を増やしてまいります。
本市の魅力を発信する「ふるさと納税」については、寄付額が令和4年度をピークに減少傾向にあり、市税の流出も拡大していることから、引き続き返礼品の開拓を図るとともに、「企業版ふるさと納税」と併せて強化し、本市の魅力を効果的に伝えてまいります。
また、若い世代が、松戸で働き、結婚、子育てをするといった具体的なイメージを描けるように、若者を対象としたライフデザインセミナーの開催や市内の子育て家庭への訪問体験を実施するなど、ライフデザイン形成を支援し、本市で暮らし続けていく魅力を伝えてまいります。
公共施設再編
公共施設等については、持続可能な行財政運営の下で、時代の変化に合わせた公共サービスの提供を目指し、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことにより、将来的な財政負担の縮減と平準化を図り、公共施設等の最適な施設規模と配置のトータルマネジメントを推進してまいります。
また、新たに公共施設等の照明の一括LED化を進めるための調査を実施いたします。
以上、主要な施策と、その概要を申し上げました。
令和7年度予算
これら一連の施策を推し進めていくために、本市の令和7年度予算案について説明いたします。
一般会計予算総額は、前年度比約110億3,000万円、6.0パーセント増、過去最大となる1949億8,000万円を計上いたしました。
過去に類を見ない資材価格の高騰や賃上げ等の影響により、歳出予算が著しく増加する中、市税や地方交付税の増収効果は、翌年度以降となることから、例年にない大変厳しい予算編成となりました。
このような状況の中「物価高騰緊急応援予算」として、1学期の小・中学校の給食費完全無償化など子育て世帯への支援を拡大するとともに、新規事業を含め将来の発展や税収増につながる事業に対し、引き続き適切な投資を行ってまいります。
おわりに
本市は東京に隣接する生活都市として発展してきましたが、同時に自然と暮らす豊かさを実感できるまちづくりと、市民によるみどりの活動を進めてきたことで、いまも水やみどりの資源が豊かに残っています。
こうした取り組みが評価され、第36回全国「みどりの愛護」のつどいが、21世紀の森と広場及び森のホール21で6月7日に開催されます。開催趣旨である「緑を守り育てる運動を積極的に推進する」という機運の醸成を図り、未来に貴重なみどりをつないでまいります。
今年は戦後80年の節目の年にあたり、本市では世界平和都市宣言から 40周年を迎えます。平和の大切さを改めて考えてもらえるよう、記念事業を実施いたします。
また、市立松戸高等学校では、4月に創立50周年を迎え、1万8千人以上の卒業生を輩出しております。これまでの歴史に想いを馳せ、次世代につなげる記念事業を実施してまいります。
最後になりますが、こうした先人たちが築き上げてきたまちづくりに深く感謝し、次世代につながる50万人が暮らす都市としてふさわしいまちづくりに多様な主体とともに全力で取り組んでまいります。
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