平成26年度施政方針
更新日:2014年2月21日
平成26年度の施政方針を以下のとおり掲載いたします。また、PDFファイルからのダウンロードも可能です。
なお、当日の演説と表現その他に若干の差異があることをご了承ください。
施政方針
本日、ここに、平成26年度予算案及び関連諸議案を提出し、ご審議いただくにあたり、私の新年度の市政運営に臨む所信の一端を述べ、市民の皆さま並びに議員各位のご理解を賜りたいと存じます。
始めに
市長就任以来、早や4年が経過しようとしております。
本年度は、市制施行70周年を記念して、いろいろなイベントに冠を付けさせていただきました。これは松戸が市になって70年という歴史を、ぜひ多くの方に祝っていただこうという思いからです。本当にありがとうございました。
また、1月12日開催の七草マラソンでは、「市制施行70周年」を記念して松戸市初のハーフマラソンを実施しました。今年は昨年より約1,700人多い6,026人の参加がありました。今回は、北海道から沖縄県まで、全国各地から多くのランナーが松戸を訪れ、実際に市内を走っていただきました。マラソン競技を楽しむことはもちろんですが、“松戸”という街を自らの足で知っていただくことができたスポーツイベントだったのではないかと思っています。
本年度はいろいろな仕事が進捗した一年間でした。「千葉大学・聖徳大学との包括的な連携に関する協定の締結」子育て、市民関係、経済、街づくり、教育などいろいろな分野で仕事が進捗した一年だったと思います。
まちづくりに対する基本的な考え方
次に、まちづくりに対する基本的な考え方について述べさせていただきます。
少子高齢化の進行に伴う人口減少社会の到来は周知の事実であり、早急な取り組みが必要です。とりわけ、生産年齢人口の減少は経済活動の停滞を招き、まちの活力の低下につながるとともに、社会保障においては、年金・医療・福祉などの社会保障関係費・扶助費などの更なる増加が見込まれます。また、歳入の根幹となる市税などの収入が落ち込み、財政硬直化などの状況は深刻になります。このような状況下において松戸市の活力を維持して持続的な発展をしていくためには、まず、第一に安心して子供を産み育てられる環境の整備が重要であり、特に子育て世代にとって、魅力あるまちづくりが必要であると考えています。
次に、高齢者の増加を活力の低下ととらえるのではなく、地域の特性や年齢構成なども考慮にいれながら高齢者が住みなれた地域で自立した生活が営めるような、施策にも取り組んでまいりたいと考えています。このような取り組みを進めることにより、単に人口規模の維持拡大を追求するだけではなく、市民の皆さまが生き生きとした生活を送ることができる成熟した社会の実現をめざしてまいります。
私はこれまで提唱してまいりました「子育て、教育、文化を軸とした都市ブランド創り」「人と人とのつながりを大切にするまち」を引き続き、様々な形で具現化してまいりたいと考えております。
子育て、教育、文化を軸とした都市ブランド創り
さて、子育て支援のうち保育所の待機児童対策は、最優先課題の一つと考えています。地域的な子育て世代住民の増加や共働き家庭の増加に伴う待機児童の解消への対応として、昨年9月に「待機児童解消対策計画」を策定いたしました。この計画に基づき、平成27年4月の開所に向けて民間保育園5ヶ所に対し、建設費の一部を助成いたします。
さらに、本年度、小規模保育事業所の整備を進めておりますが、新年度においても3ヶ所の小規模保育事業所の整備を図ります。
次に、教育施策につきましては、東部小学校区において児童数の増加が見込まれるため、松飛台駅前にある学校予定地に(仮称)関台小学校を平成28年4月開校をめざし、新年度は建設工事に着手します。
また、快適な教育環境を提供するために小学校及び中学校の冷房化設備の導入に向けた、教育施設の整備を進めてまいります。児童生徒などの安全性の確保、震災時の収容避難所などの応急活動拠点としても重要な役割を担う学校施設につきましては、安全で安心な学校づくりに向け、小学校及び中学校の校舎耐震改修工事などの施設の整備を引き続き実施します。
次に、文化施策についてでございます。
文化芸術の視点からまちを活性化することで、街の賑わいを取り戻し、また、子どもを生み・育てたくなる「文化の香りのする街・まつど」にする取り組みにつきましては、新たな市民文化の醸成を促し、既存の観光資源などを活用した、文化・観光・国際交流を融合した先駆的イベントを実施します。
また、松戸アートラインプロジェクトについては、「暮らしの芸術都市」に名称を変え、日常生活と芸術の接点を探るアートの裾野を広げた活動に取り組んでおります。芸術家の創造的な活動を地域が応援し、市民と交流しながらまちづくりやアートについて一緒に考えていける土壌を育んで行くための地域の運営体制「松戸まちづくり会議」を支援します。
人と人とのつながりを大切にするまち
私は、市民の皆さまがそれぞれの地域社会の中で、お互いに助け合いながら生きていくということを共有することがとても大切なことだと思っています。
また、近年は、地域が元気になる活動やソーシャルビジネスに対する社会的認知度の向上など、人々の社会に対する意識に新しい兆しがみられます。
「市民の皆さま一人ひとり」が社会に目を向け、主体的に地域をよくしていこうとする意識が更に高まる必要があると考えています。
本市では、人と人とを結びつけ、人の活動を支援してまいります。
元気なまちづくり
松戸駅周辺も変わり始めています。
松戸駅周辺の活性化につきましては、多様な都市機能が集積する快適で活力のある中心拠点としての強化や、水や緑、歴史などの地域資源を活かした魅力ある街づくりを推進するため、平成24年度から2ヵ年かけて「まちづくり基本構想」の素案を作成しております。今後、広く意見を求め成案化を図るとともに、優先度の高い事業につきましても、整備計画の検討を進めてまいります。
また、松戸駅につきましては、JR東日本を中心に、駅のバリアフリー化も含めた駅舎の改良工事や、新たな駅ビル建設が進められております。すでに準備のために西口交番が移転しており、平成31年度の完成をめざして新年度から本格的な工事が予定されています。本市でも、駅舎改良の完成時期にあわせて、東西デッキにエレベーターやエスカレーターなどのバリアフリー整備を進めてまいります。
松戸駅周辺の中心市街地の活性化につきましては、空きテナントへの入居を促進するための補助を行い、中心市街地の商業活性化を図ります。
松戸駅周辺の景観形成に関しましては、駅舎改良工事の着手と併せ、松戸市の正面玄関である駅周辺の景観の改善に取組んでまいります。
戸定が丘歴史公園は、平成3年の開園以来、市内外の多くの方が訪れる本市を代表する施設であり、その中の戸定邸は国の重要文化財に指定されています。昨年3月には、この貴重な公園に隣接する福島県学生寮の跡地、約2,500平方メートルを取得しました。現在、公園の拡充整備のあり方について千葉大学園芸学部の先生方をはじめ、有識者の方々のご協力をいただきながら検討しています。すでに戸定邸の庭園は、千葉県の名勝に指定されていますが、今後は、さらに跡地を加えて国の名勝指定をめざして行きたいと考えています。千葉県内においては、唯一野田市の高梨氏庭園が、国の名勝指定を受けていますが、この指定を受けることにより、知名度がさらに上がり、本市の風格・魅力の向上につながることと考えています。
経済状況
さて、我が国経済の動向につきましては、景気はゆるやかに回復しています。また、先行きについては、輸出が持ち直しに向かい各種政策の効果が下支えするなかで、家計所得や投資が増加し、景気の回復基調が続くことが期待されております。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなるとともに、消費税率引上げに伴う駆け込み需要及びその反動が見込まれています。
国においては、大震災からの復興を加速させるとともに、デフレからの早期脱却と経済再生の実現に向けて全力で取り組んでいるところです。このため、「経済財政運営と改革の基本方針」に基づき経済財政運営を進めるとともに、「日本再興戦略」の実行を加速化し、強化するとしております。また、経済の好循環の実現に向け、「好循環実現のための経済対策」を含めた経済政策パッケージを着実に実行するとしております。本市では常にその動向を注視し、迅速に対応を図ってまいります。
平成26年度松戸市当初予算
次に、本市の平成26年度予算についてご説明申し上げます。
新年度の一般会計予算は、4月から予定されている消費税率の引き上げに伴う地方消費税交付金の増や臨時的な負担軽減対策費を含め、本年度より6.4%増加の1,360億4,000万円を計上いたしました。
まず、歳入につきましては、回復の兆しが見えてきていることや消費増税を前にした住宅建築の駆け込み需要をそれぞれ勘案し、市民税は、前年比 1.3%増、固定資産税は2.3%増としました。その結果、市税は前年度比1.7%増の664億円を見込み計上しております。
歳出につきましては、民生費が9.4%増加し、構成割合は47.6%と最も大きく、次いで衛生費が11.3%、土木費の9.8%の順となっております。それぞれの主なものといたしましては、民生費では、臨時福祉給付金、子育て世帯臨時特例給付金、小規模保育支援業務、民間保育所建設費補助金、障害者関連事業などを計上しております。衛生費では、和名ヶ谷クリーンセンター基幹整備事業の最終年次分、新たに高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチン予防接種業務など、土木費では、自転車駐車場関連事業、公園照明灯のLED化事業、橋りょう長寿命化計画に基づく橋りょう補修業務などを計上いたしました。
財源が厳しい中ではありますが、健全財政の確保を基本とし、出来る限り次世代への負担を抑制すると共に、「市民が主役の魅力あるまつど」の実現に向けて、必要な施策には積極的に投資をしてまいる所存です。
続きまして、後期基本計画の政策展開の方向に沿って、新年度の主要な施策について、ご説明申し上げます。
第1節 連携型地域社会の形成
「連携型地域社会の形成」をめざす施策について申し上げます。
地区の各種団体が連携し、地区の課題を解決していく方策につきましては、地区との連携を図りながら、モデル地区の試行に取り組んでまいります。
協働のまちづくりの取り組みにつきましては、協働事業提案制度では、農家の人手不足の解消を図るため、ボランティアを養成し、農家とのマッチングを行う事業に負担金を交付します。
また、市民活動助成制度では、学校を拠点とした地域での防災訓練の実施などを通して自主防災の重要性を周知する事業など、8件の市民活動に助成金を交付します。
市民センターのバリアフリー化につきましては、八ヶ崎市民センターに、エレベーターや外部スロープなどを整備いたします。
第2節 豊かな人生を支える福祉社会の実現
続きまして「豊かな人生を支える福祉社会の実現」をめざす施策について申し上げます。
子育て支援施策につきましては、国の制度改正に対応するとともに、松戸市の子ども・子育て支援の新たな方針を定める計画を新年度中に策定し、子育て環境の総合的な整備を図ります。また、幼児教育への支援として、私立幼稚園児補助金を増額し保護者負担の軽減を図るとともに、長時間の預かり保育を実施する幼稚園への補助により、実施園の増加と保護者負担の軽減を図ります。
保育所の耐震改修につきましては、耐震化計画に基づき北松戸保育所については移転建て替え、コアラ保育所については既存建物の耐震改修工事をめざし、実施設計を行ないます。
児童虐待への対応については、1歳6か月児健診、3歳児健診の未受診世帯を対象に家庭訪問を実施し、子育て環境の確認を行うとともに、家庭相談員・母子自立支援員・婦人相談員を増員することにより虐待の早期発見と対応の充実を図ります。
放課後児童クラブについては、児童の安全確保を図るため、学校外に設置している施設の移設を進めており、新年度は常盤平第2小学校並びに八ヶ崎小学校の2ヶ所について小学校の敷地内に移設します。 また、放課後KIDSルームについては新たに3ヶ所の小学校に拡大し、学習支援や遊びなどの活動を行うとともに、小学生の放課後の居場所の充実を図ります。
青少年育成支援施策については、まつど・こどもフォーラムの子どもたちの意見を基に企画・実施した「森のこども館」事業について、新年度もさらに拡大・継続し、21世紀の森と広場の豊かな自然を生かし、子ども達が自由に遊びや体験を行うことのできる事業を実施いたします。
健康増進・疾病予防につきましては、昨年に引き続き、30歳・35歳の女性の子宮がん検診に加えて、HPV(ヒトパピローマウイルス)検査を実施し、より正確に早期の発見に努めてまいります。また、肺炎球菌ワクチンの予防接種につきましては、国の定期予防接種化を注視しつつ、新たに65歳以上の方に対して、費用の一部を助成します。さらに、新たな取り組みとして、自殺予防対策である国の「地域自殺対策緊急強化基金」を活用し、パソコン・携帯電話でストレス度などが気軽にチェックできるメンタルヘルスチェックシステム「心の体温計」を導入し、心の健康の保持に努めます。また、感染症対策の一環として、本年度、新型インフルエンザ等対策に対する市の行動計画を策定し、併せてマニュアルなどを整備し、市民生活に不安を招かせぬよう最大限努めてまいります。
食育につきましては、新たに第二次計画を策定し、食育を着実にステップアップできるよう推進してまいります。
国民健康保険につきましては、保険給付費などが増大しておりますが、一般財源を投入し、保険料の据え置きを図ります。また、国民健康保険や後期高齢者医療保険の被保険者に対して、特定健康診査の受診勧奨を引き続き行うとともに、受診のできる場所や日数を増やすなどの機会の充実を図り、更なる受診率の向上をめざします。
高齢者