放射線治療科
更新日:2024年7月12日
放射線治療科について
放射線治療科部長 小林 裕樹
- 放射線治療科では悪性腫瘍と一部の良性腫瘍に対する放射線治療を行っています。
- 病気を消失させるための根治的治療や、つらい症状を改善するための緩和的治療など放射線治療には様々な目的があります。疾患や目的に応じて使用される放射線の量や回数、それによる効果や悪影響も変わるため、ある患者さんがうけた治療の内容がそのまま別の患者さんに当てはまるわけではありません。
- 当科では効果や悪影響のバランスを考えて、一人一人の患者さんにとってよりよい治療となるようプランを立て、また治療中はそのプランを最後まで続けていただけるようなケアを心がけています。
- 当院は安全かつ高精度な放射線治療の基準を満たす施設として、日本放射線腫瘍学会(JASTRO)の認定施設に認定されています。
受診案内
- 放射線治療科の新患外来は月曜・火曜・金曜になります。
円滑に治療を行うために、新患の方の受診には事前の予約とこれまでの診療内容や治療目的が記された紹介状が必要となります。また、いただいた情報や画像などの内容を確認したうえで治療の方針を検討するため、来院してから診察が始まるまで30分以上かかることもあります。お手数ではございますが、お早めの来院をお願いいたします。 - 治療には準備が必要なため、通常は受診した当日に治療を始めることはありません。初診日には主に治療についての説明と日程についての相談を行います。治療にご納得できるよう丁寧な説明を心がけていますが、その分お時間をいただくこともありますので、診察後の予定など余裕をもってお越しください。
- 放射線治療科には担当する病床がなく、治療は外来での通院となります。治療期間中の入院を希望される場合には、先に該当する疾患の担当科へご紹介いただき病床を確保してから当科を受診していただきます。
受診に関する関連リンク
主な診療
放射線治療(外照射)について
- 当科には放射線治療専用のCT1台と放射線治療装置(リニアック)1台があり、毎年300~400人の患者さんが放射線治療を受けられています。乳がんや肺がんなどの悪性腫瘍を中心に、放射線治療が適応とされるほとんどの疾患に対して各科と協力し対応いたします。
- 治療を始める前に放射線治療専用のCTを撮像します(これまで撮影したCTがあった場合でも新たに撮影する必要があります)。また、併せて体に治療の目安となる線を描きます。
- 撮影したCTをもとに立案したプランによって治療を行います。通常の放射線治療であればCT撮像後1、2日で治療が開始できますが、後述の高精度治療の場合は開始まで1週間程度のお時間をいただくこともあります。
- 治療のときには治療装置から発生したX線や電子線が1、2分ほど体に当たりますが、当たっても痛みを感じることはなく、また放射線が体に残ることもありません(レントゲン検査をイメージしてみてください)。
- 多くの場合平日1日1回の治療を繰り返し行います。治療回数は病気の種類や治療の目的などによって変わり、通常の治療では多くの場合終わるまで1、2ヶ月かかりますが、症状をとる目的の治療(緩和照射)などでは1回や1、2週間で治療が終わることもあります。
- 治療は時間予約制となっており、原則として毎回同じ時間に治療を受けていただきます。送り迎えやお仕事のご都合に合うようできるだけ調整しますが、同じ時間帯に多くの患者さんが治療をうけているなどご希望にそえない場合もあることをご了承ください。
- 治療中はだいたい週1回のペースで担当医による診察があります。治療について困ったことや気になることがあれば遠慮なくご相談ください。
当院の放射線治療の特色~「来てよかった」と思われる治療をめざして~
高精度治療について
当院の放射線治療装置は通常の放射線治療に加えて『定位放射線治療(SRT)』や『強度変調放射線治療(IMRT)』といった高精度治療に適した性能を有しており、それぞれ病状に応じて医師と医学物理士が協力して適切に計画し実施しています。
画像1:通常の放射線治療
画像2:IMRT
前立腺癌に対する通常の放射線治療(画像1)とIMRT(画像2)による放射線治療の例です。IMRTでは前立腺(赤い線に囲まれた範囲)にあたる放射線の量が減ることなく、周囲の組織に当たる放射線の量を減らすことができています。
さらに前立腺がんの治療では泌尿器科と協力して、前立腺と直腸の間にハイドロゲルスペーサー留置を実施し、治療によるダメージの軽減に努めています。(画像3)
※直腸がんの術後や腫瘍が前立腺外へ浸潤している場合など、留置術の適応外となることもあります。
画像3:ハイドロゲルスペーサー留置術
前立腺(赤い線に囲まれた範囲)と直腸(青い線に囲まれた範囲)の間にハイドロゲル(白くみえる部分)を留置した例。前立腺と直腸の間がひらくことで直腸へのダメージ軽減が期待できます。このハイドロゲルは半年ほどで自然に吸収され体内に残りません。
乳がん術後照射での皮膚マーカーレス放射線治療について
一般に、放射線治療では治療用CTで計画した通りに放射線をあてるため、患者さんの体や固定具に書いた目印(マーク)をもとに治療時の体位を調整する必要があります。
画像4:以前の 乳がん術後マーキング例
例えば、乳がんの術後放射線治療では、これまで黒い線で書かれた目印(マーク)を治療期間中(約3週間から6週間)消さずに使用していました。このとき胸元や脇の近くに直接マークを描くため『着る服によっては描かれたマークが見えてしまう』『服や下着に色移りする』『マークの線が汗で消えたりかぶれたりする』などの問題がありました。(画像4)
当院では2024年春から乳がんの術後照射の患者さんを対象に、体表面モニタリングシステムを使用してマークに頼らない(マーカーレス)放射線治療を実施しています。これにより治療開始直後からマークを消すことができるため、これまでよりも自然な日常生活を送れるようになりました。(画像5)
画像5:モニタリングシステム稼働中画面
※手術をした場所に追加で放射線を当てる場合など、一部の患者さんでは一時的にマークが必要になることもあります。
※乳がん術後照射以外でのマーカーレス治療については適宜適応を拡大していく予定です。
治療計画用に撮影したCTと実際に治療するときの体位にずれがないか確認しながら治療を行います。
症状緩和目的の放射線治療について
当科は腫瘍による出血や疼痛などのつらい症状に対する放射線治療(緩和照射)にも積極的に取り組んでおり、約4人に1人の患者さんが症状の緩和を目的として治療を受けられています。一般に症状の緩和効果はがんの種類の影響をうけにくいことが知られています。また放射線の量をある程度まで抑えても十分な効果が得られるため、副作用は患者さんが自覚できないレベルや薬が必要にならないレベルですむことが多いです。治療回数や日程などについても患者さんの実情にできるだけ合うよう調整しますので、通院に不安のある患者さんも是非ご相談ください。
その他の診療について
泌尿器科と連携し、骨転移のある去勢抵抗性の前立腺がんに対する放射性医薬品(塩化ラジウム)の体内投与による治療を実施しています。なお適格基準や診療体制の関係から、治療の実施や日程についてご希望に添えない場合があることをご了承ください。またこの治療は当院泌尿器科の依頼を介してのみ実施しています。当科へ直接のご相談やご質問、ご依頼には対応しかねますことご容赦ねがいます。
塩化ラジウムによる治療については以下のサイトもご参照ください。
院外紹介患者さんの画像検査のうちMRIに関しては、検査当日にまず当科外来を受診し検査の説明をさせていただきます。
検査に関する診断医のレポートは後日郵送いたします。
スタッフ紹介
小林 裕樹(部長、平成15年卒)
専門分野 | 放射線治療一般 |
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資格 | 日本医学放射線学会放射線科専門医 |
主な所属学会 | 日本医学放射線学会 |
福島 正秀(部長代理、平成9年卒)
専門分野 | 放射線一般 |
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資格 | 日本医学放射線学会放射線科専門医 |
金澤 亜希(非常勤医、平成21年卒)
専門分野 | 放射線一般 |
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資格 | 日本医学放射線学会放射線科専門医 |
医学物理士
1名
病院広報誌に掲載中
お問い合わせ
松戸市立総合医療センター
千葉県松戸市千駄堀993番地の1
電話番号:047-712-2511 FAX:047-712-2512