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広報まつど2022年12月15日号 武田 司さん

更新日:2022年12月15日

美術をもっと身近に

漆芸家 武田 司さん

「より良いものを作りたいと思っていたら、今まで制作を続けていました」と笑顔で話すのは、市内在住の漆芸家・武田司さん。作品は、下地に使う漆を盛り上げ、レリーフのように凹凸を出し、限られた色を巧みに使い、金や銀、卵の殻や貝を貼った繊細な線や面によって時間を重ねて創り出されます。作品の中に絵画性を強く感じるのは、根本に綿密なデッサンの技術があるから。
「漆の技法を使いモチーフを筆で描くように螺鈿や蒔絵の技術を用いて描いていくというイメージですね」と、制作中は同じサイズの大下図を隣に置いたままにしておくそうです。「観賞する人の想像のしやすさも大事にしています」というように、人や自然など身近な物をモチーフにすることが多く、人を引きつけるリアルでありながら抽象的な表現には「漆芸作品だからという特別感を持たずに、観た人に単純に絵画として楽しんで観賞してもらいたいんです」という想いが込められています。
 同じく漆芸家である父が苦労を重ねる姿を身近で見てきた分、漆の世界は憧れだけで飛び込めないことを知っていた武田さんですが、「体調を崩した父を手伝いたくて、技術をきちんと覚えようと思いました」と技術の継承を決意しました。幼少から父の制作の様子を見ていたこともあり、才能は早期に開花し、大学を卒業した翌年の1993年には「日本現代工芸美術展」で初入選。その翌年に「日展」で初入選をして以降、両展で毎年入選し、今年は日本現代工芸美術展で東京都知事賞を受賞しています。
 作家としての活動を行う中で、美術館に行く人が減少している現実を危惧するようになったという武田さん。「子どものころから芸術に触れる機会を与えてこそ、豊かな心で文化を楽しめる人になっていく」と考え、学校で児童に漆芸技術の体験授業の機会を設けるなど教育現場へのアプローチも行っています。「レストランや庭園が目当てでも良い。遊園地に行くような気軽な気持ちで子どもを美術館に連れて行ってほしいですね」と、今の子どもが大人になった未来のことまで考えた、武田さんの挑戦はこれからも続きます。

白露-玄鳥去る-
「白露-玄鳥去る-」2019年 改組 新 第6回日展 特選

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広報まつどNo.1753 2022年12月15日号

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