広報まつど2022年5月15日号 榎本喬司さん
更新日:2022年5月15日
マーマレード作りを通じて障害者の生活を変えたい
社会福祉法人ウィンクル 職業指導員 榎本 喬司さん
「うちのマーマレードは、苦くならないように実を房から一つひとつ取り出しています」と語るのは、障害者を受け入れる市内の就労継続支援B型事業所「あるば」で利用者と一緒にマーマレードを作る榎本喬司さん。
「マーマレード作りを本格的に始めたのは去年からです」と話す榎本さん。ウィンクルでは元々、水俣病の風評被害を受けていた農家を支援するために甘夏を購入していました。そのまま販売していた甘夏の違った食べ方として、マーマレードに加工して、試食を店頭で提供したところ好評でした。「これまで、除草や内職などを請け負っていましたが、安定的な仕事ではありませんでした。マーマレード作りなら、利用者の作業工程が多く、工賃の向上も図れると考えました」。工賃は施設の活動による収益で支払う決まりになっているため、できる仕事が多いほどありがたいそうです。また、「水俣の甘夏はノーワックスで農薬をほとんど使っていないので、丸ごと食べられ、マーマレード作りに向いています」と言います。増粘剤などの添加物を使用しておらず、味と品質へのこだわりを感じます。
「甘夏の収穫時期は2~3月なので、水俣から年間を通じた調達はできません。そんな中、民家の庭先に果実がなっているのを見て、買い取ることを思い付きました」と言い、チラシで呼び掛けたそうです。結果としては快く寄付してくれる人ばかりで「寄付された方からは誰かの役に立てるのがうれしいと言われます」と榎本さんも笑顔を見せます。甘夏以外、鬼ゆずやレモンなどの柑橘類もマーマレードにしているそうです。また、「高い木で収穫できない柑橘類がある場合、松戸市の近隣であれば収穫しに行くので電話で相談してほしいです」と言います。
今後の目標は、工賃の引き上げ。「利用者1人当たり月の工賃は2万円程度。それでも県内では平均以上ですが、5~6万円まで引き上げたい。障害年金とあわせて月12万円程度になり、自分で働いたお金で生活できるようになります」と、榎本さんは言います。「今後は、食品加工業に挑戦したいと考えています。野菜の洗浄や皮むき、カットなど、利用者のできる仕事が多そうだと感じたからです。専用の工場を作り、地元の農家と連携した取り組みを計画しています。事業を拡大し、収益を増やすことで、工賃の引き上げが可能になるかと考えています」。これからも利用者の自立に向けて、榎本さんの絶え間ない挑戦は続きます。
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