イスラム陶器等の寄贈(令和2年3月)
奥井俊美氏(故人)が収集されたコレクションが当館に寄贈されました
流山市在住の奥井俊美氏(故人)が収集してきたコレクション、313点が令和2年3月、当館に寄贈されました。
寄贈品は、広く西アジア地域(イラン・エジプト)、東南アジア地域(タイ・ビルマ・ラオス)の新石器時代(BC5000年頃)から19世紀頃までの考古美術資料であり多岐にわたります。しかしその中核は8から14世紀のイランの陶器(いわゆるイスラム陶器)で、約80点あります。
当館では松戸市に関わる歴史・民俗・考古資料を収蔵していますが、ガンダーラ仏教美術品をはじめとするシルクロード地域の考古・美術資料も所蔵しております。この度、奥井氏のコレクションが加わることになり、当館資料が発展し既存資料の更なる有効活用が期待できると思われます。
現在、寄贈品の分析・調査を行なっているところです。313点と多数ですので終了するにはかなり時間がかかりそうです。調査途中ですが、ここでは、寄贈品の中からイスラム陶器を選び紹介します。
鳥文鉢(ちょうもんばち)・群鳥文鉢(ぐんちょうもんばち)
鳥文鉢・群鳥文鉢は鉢の内面に鳥が描かれています。鳥文鉢は一羽の鳥が大胆に描かれているところに特徴があります。鳥はコウライキジの仲間ではないかと言われています。鳥文鉢2にも内面の中央に鳥が一羽描かれています。群鳥文鉢には鳥文鉢と似た鳥が様々な文様に混じって複数描かれています。
鳥文鉢1 10から11世紀 イラン 口径31.3センチメートル
鳥文鉢2 9から10世紀 イラン 口径13.3センチメートル
群鳥文鉢3 9から10世紀 イラン 口径20.3センチメートル
群鳥文鉢4 9から10世紀 イラン 口径18.5センチメートル
色絵人物文鉢(いろえじんぶつもんはち)
色絵人物文鉢は人物が丸顔で描かれるところに特徴があります。ミナイ手陶器とも呼ばれ、製作された当時は高級陶器として富裕層の人々が所有していたと考えられています。
11世紀 イラン 口径25センチメートル
12から13世紀 イラン 口径14.8センチメートル
