戸定が丘歴史公園の基本設計について
更新日:2013年11月25日
全体計画
- 本計画地は大きく保全エリア(戸定館および庭園、松雲亭区域、斜面樹林)と整備エリア(台地化上尾根)により構成される。
- 保全エリアについて以下の方針に基づいて保全・活用を図る。
戸定館
- 公民館としての利用はやめて、明治期の貴人の生活空間に触れられる場として公開し、保全・活用を図る。
庭園
- 原則として一般来園者の立入りを禁止し保全を図る。ただし特別な催事(月見の会、茶会等)を庭園内で開催するなど日本の伝統的文化に触れる場としては活用する。又、可能な限り作庭当初の姿に戻すよう、適切な処置を施す。
松雲亭
- 現在の利用形態(茶室)を継続する。ただし生垣、築地等に囲われ、独立した空間として意識される松雲亭区域を計画地全体と融和するよう計画する。
斜面樹林
林床に補植等を行い、林相の回復と土砂流出を防止する。
- 整備エリアについては、尾根上を通る主園路に枝上に連結する3つの広場(中央広場、松雲亭横の広場、芝生広場)で構成されている。
- 全体の演出は明るい中央広場から戸定館と松雲亭にはさまれた閉鎖的な雰囲気の園路を通り、また明るい小広場に出て、さらに大きな緑陰空間である「クス」の巨木の下を経て、また大きな広がりのある梅苑へと明暗のコントラストをもった空間構成をはかっている。
主要施設計画
中央広場
- 戸定館、資料館、松雲亭等の園内の各建築物への利用者特に小・中学生の団体見学者等が、集合離散の場として利用できるように計画した芝生の広場である。
松雲亭横の広場
- 松雲亭の東側斜面の竹林の台地上にも植えて雰囲気をなじませ、竹林に囲まれた小広場を創出する
- さらに、松雲亭と広場を飛石で結ぶ事により、全体として松雲亭も公園内施設であることを強調している
- 広場内には四阿を設け休養のスペースとするが、茶会等にも使用できる構造とする
- 広場南側の「クス」の大木へ至る平場は、大刈り込みによる造形美と開花を楽しむ場とする
芝生広場
- 計画地南端は、本計画地内では唯一拡がりを感じられる場所であり、休養、散策、花見等多目的な利用のできる芝生広場を設ける
- 芝生広場内には梅苑、四阿、舞台としても利用できる見晴らし台を設け、細園路によりそれらをむすんでいる。
梅苑
- 日本人が古来から親しんできた花であり、「ウメ」を主木として植栽し、花見の楽しめる場を設ける。
四阿
- 梅苑の休養スペースとして四阿を設けているが、梅の木の趣に馴じむように骨太の木材を組み合わせたものとする。
見晴台兼舞台
- 斜面樹林の梢ごしに江戸川への眺望が得られる芝生広場西側に、展望スペースを設ける。築山の頂部と下部には石貼りのテラスを設け、列柱により上部と下部を連結する。通常時は休養展望スペースとして利用するが催事時には舞台としても利用できるよう計画する。
造成計画
- 基本的には造成は行わず、現況の地形や植生を極力活かした計画とする。
- ただし、敷地北端の管理事務所・資料館用地部分については建築計画に合わせた造成を行う。
- その際の残土の一部を南側広場に盛土して、眺望ポイントを設ける。
植栽計画
- 現況の斜面樹林は保全し、台地の尾根及び南側平場(芝生広場)については新植を行う。
- 現況樹林は、高木層については比較的良好な状態であり、補植等の必要はないものと思われるが、林床は裸地化し荒れているため低木地被類等の補植を行い、修景効果を高めると共に土砂の流出を防止する。
- 植栽の全体イメージとしては、既存の雑木林(春の芽吹き、晩秋の落葉)、紅葉(秋の紅葉)をはじめ春を告げる梅苑、ツツジ類の開花等、四季の移ろいを目で確かめられるような計画とし、「花の名所」づくりをはかる。