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広報まつど2025年5月15日号 千葉大学大学院園芸学研究院附属宇宙園芸研究センター長・高橋秀幸さん

更新日:2025年5月15日

松戸から園芸で宇宙へ

千葉大学大学院園芸学研究院附属宇宙園芸研究センター長 高橋秀幸(たかはしひでゆき)さん

「2030年代には100人から1,000人程度が月の上で暮らすと考えられています。そこで必要となる宇宙での食料生産が、私たちの研究テーマです」と話すのは千葉大学松戸キャンパスにある宇宙園芸研究センター長の高橋秀幸さん。「地球から月まで食べる物を運ぶには1kgあたり1億円もの費用が掛かります。そのため、月で生活するには食べる物を現地で作る必要があります」と宇宙園芸の必要性を話します。
高橋さんは自然豊かな山形県で生まれました。地元の農業高校在学中に農業クラブの大会で入賞を果たします。「今思うと私の研究人生が始まるきっかけだったのかもしれません」と 高橋さんは当時を振り返ります。その後教員を目指して山形大学に入学しましたが、修士課程で研究の面白さに魅了され東北大学の博士課程に編入学します。そこでは研究室に寝袋を持ち込んで、四六時中顕微鏡をのぞくほど研究に没頭します。そして同課程在籍時に高橋さんが書いた接触形態形成(植物が接触などの刺激により形態を変化させる現象)についての論文がアメリカの同分野の権威である教授の目に留まり、NASAから研究費のサポートを受けた重力宇宙生物学の研究をアメリカで行うことになります。こうして高橋さんは宇宙環境と植物との関わりについての研究に踏み込んでいきました。

その後はアメリカと日本を往復し、日本ではまだ草創期であった同分野の研究にまい進します。日本宇宙生物科学会の活動に貢献するほか、提案した研究が宇宙実験に採択され、日本人初の女性宇宙飛行士である向井千秋さんらによって行われました。研究者としてさまざまな功績をあげた高橋さんは、東北大学教授を退官したあと、千葉大学に開設された宇宙園芸研究センターのセンター長として招かれます。同センター長就任後も引き続き研究に取り組み、人類の宇宙空間での生活実現に向けて研究者の道を突き進んでいます。
「近い将来に月などの宇宙空間で人間が生活するための礎を築きたいです。そして、個人的には千葉県名産の落花生と重力との関係も興味があります」と今後の目標を語る高橋さんの知への興味は尽きません。月で栽培したピーナッツでビールを一杯!という日はそう遠くないかもしれません。
※高橋さんの「高」の漢字は正確には「はしごだか」です。

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