令和6年能登半島地震に伴う災害応援派遣職員報告会を開催しました
更新日:2024年1月25日
令和6年能登半島地震に伴い、松戸市では、被災地である石川県珠洲市・輪島市と、災害時相互応援協定を締結している富山県高岡市に職員を派遣しました。
被災地支援を遂行し帰庁した職員から現地状況の生の声を聴き、今後も被災地支援を効果的に実施できるよう、報告会を実施しました。
開催概要
日時
令和6年1月24日(水曜)15時から
場所
松戸市役所新館5階 市民サロン
出席者
- 幹部職員(市長、副市長、派遣職員が所属する部の部長など)
- 珠洲市応援職員(避難所対応3名、住家被害認定調査3名)
- 輪島市応援職員(市立総合医療センターDMAT隊員4名)
- 高岡市応援職員(被災家屋調査4名)
報告内容
石川県珠洲市への派遣職員報告(避難所運営支援)
千葉県が珠洲市の支援を受け持ったことに伴い、松戸市職員にも派遣要請があり、避難所運営支援のため1月13日(土曜)から1月17日(水曜)まで3名の職員を派遣しました。
珠洲市に避難所運営支援として派遣された職員と市長
支援の状況
- 支援物資の管理・受け入れやごみ、仮設トイレの管理、防犯対応などを実施
- 特に支援物資を特定の人が多く持ち出しすぎないよう気を配っていた
現地の状況
- 避難所は廃校になった小学校
- 体育館だけではなく、教室も複数使用して生活していた
- 最大約200人が避難していたが、支援に行った際は約60人になっていた
- 電気は使えたが水が使えず、派遣最終日にようやく仮設シャワーが設置された
- 石油ストーブはあったが、夜は気温が氷点下まで下がる厳しい寒さだった
被災者の様子
- 避難者は皆近所づきあいがある顔なじみ
- 農家の避難者が野菜を持ち寄るなど、助け合って生活していた
- 避難物資により食事はできていたが、塩分が多いものが多く、高血圧になってしまっている人が多かった
- 同じような食事が続いているため、肉や魚を食べたいという要望が多かった
- テレビで相撲や都道府県対抗駅伝を見て、地元出身者をみんなで応援していた
今後の教訓
- 地域のつながりが強いと避難所運営も円滑になる
- 災害食は塩分多めのものが多いため、避難者の健康管理に注意が必要
- 学校が再開されると子どもに笑顔が戻るため、学校の再開はなるべく早いほうが良い
- 被災地の拠点になる施設の耐震性は高いほうが良い
現地の写真
テレビがある談話エリア
救援物資配布場所
体育館の居住スペース
外の被害状況
石川県珠洲市への派遣職員報告(家屋調査対応)
珠洲市に対しては避難所運営支援に加え、罹災証明書発行に係る家屋調査のため、1月16日(火曜)から20日(土曜)まで3名の職員を派遣しました。
珠洲市に家屋調査対応支援として派遣された職員と市長
支援の状況
- 1月中に全家屋の調査を終了することが目標であったため、1日30件を目指して調査を行った
- 実際には天候などにより30件調査できないこともあった
- 応援職員の宿泊場所は市立図書館で、飲料水と暖房は十分だったが、水道が止まっておりトイレは男女兼用の仮設トイレが2基のみであった
- 食事は千葉県から支給される非常食のみ。お湯は使えたのでカップ麺を持参している職員もいた
- 寝具は松戸市支給の寝袋を使用した
- 家屋の被害度の判定状況をアプリで集約することができ、迅速に情報を本部と共有することができた
現地の様子
- 家屋の多くが木造で、約3分の1から半数は全壊という印象
- 港の近くの家屋は津波で全壊というより粉々になっていた
- 液状化も多くの場所で見られ、マンホールが高く浮き上がっている道路が多かった
今後の教訓
- 松戸市の住戸数は珠洲市の10倍以上なので、同レベルの被害を受けた場合家屋調査にはより多くの人手が必要になる
- 使用したアプリは石川県が開発したものだが、非常に有効なので全国に拡大したほうが良い。その際は端末のバッテリー容量や耐水性が高いほうが良い
- 調査を優先して被災者と十分に話せないことがあったが、対話を求めている被災者も多かった
- 応援職員が多く集まっていたが仮設トイレが足りておらず、職員用の仮設トイレの備えも必要
災害応援派遣報告(珠洲市住家被害認定調査)(PDF:261KB)
現地の写真
倒壊した家屋
ひび割れた道路
富山県高岡市への職員派遣(被災家屋調査)
平成24年に松戸市と災害時相互応援協定を締結した富山県高岡市からの要請に基づき、1月6日(土曜)から1月12日(金曜)まで4名の職員を派遣しました。
高岡市に被災家屋調査支援として派遣された職員と市長(1名欠席)
支援の状況
- 石川県よりも被害が小さい分、一目で全壊とわかる家屋が少ないため1軒当たりの調査に時間がかかった
- 高岡市の職員と一緒に調査に回り、主に家屋の専門知識が必要な業務を担った
- 応援職員は派遣時点では松戸市のみだった
- 中心地は被害が小さく、店舗も普通に営業できる状態なので、ホテルに宿泊することができた
現地の状況
- 被害が大きい地域は特に液状化が酷く、電柱が沈んでいたり、道路と家の間に大きな段差ができて車が出せなくなっている所もあった
- 液状化により、古い家屋については被害が余計に大きくなっていたという印象
- 床などが傾いていても住むことには問題ない家屋が多かったが、住民は不安が大きく、職員と話すことができて安心しているようだった
- 現地の住民からは、もっと酷い地域があるのに来てもらって申し訳ないという言葉をいただいた
今後の教訓
- 早期に応援に行くことで早期に対応できたことが多かったため、被災地から遠い他自治体の迅速な応援は重要
- 被害が大きい能登半島地域のみが報道されていたため、富山県の情報を得るのが困難だった
現地の写真
地震により割れた床
地震によりはがれた壁
液状化により沈んだ電柱
液状化により沈んだ土地
石川県へのDMAT隊員派遣
千葉県DMAT調整本部からの要請に基づき、1月11日(木曜)から18日(木曜)まで、松戸市立総合医療センターのDMAT隊員(医師1名、看護師2名、薬剤師1名、理学療法士1名)を輪島市保健医療調整本部に派遣しました。
石川県に派遣された総合医療センターDMAT隊員と市長(1名欠席)
支援の状況
- DMATとしては5次隊で、主に輪島市役所内の本部で物資調整の担当を行った
- 避難所、病院、福祉施設でそれぞれ感染症が増えているという状況で到着した
- 各施設をDMAT隊員が定期的に回っており、その中で急ぎで必要だと判断された物資の発注を受けてその調達や配送を行っていた
- インフルエンザ、新型コロナウイルスに加えてノロウイルスの患者が増えてきていたので、消毒用の次亜塩素酸の調達を優先的に行った
- 隊員のうち3名(医師・看護師・理学療法士)は輪島市立病院での夜間発熱外来の対応も行った
- 発熱者の半数はインフルエンザか新型コロナウイルス感染者だった
現地の医療職の状況
- 宿泊は初日だけ車中泊や空港泊だったが、翌日からホテルに宿泊できた
- 現地の医療従事者も被災者であるため、帰る家がなく職場から一度も帰っていない人もいた
- 輪島市内には救急対応を行える病院が市立病院しかないため、患者を金沢市に搬送することもあったが、道路状況が悪いため、搬送先まで通常2時間かかるところ4時間かかるような状況だった
- 現地の医師会や薬局などが非常に協力的だった
今後の教訓
- DMATの派遣の際に薬剤師が必須とされていないため、薬剤師の派遣が遅れてしまっていた
- 初動ではDMATと行政が別々に支援を行っており、連携するのに時間がかかった
- 避難所で感染症にかかった人を隔離することができず、蔓延を防ぐことができていなかった
現地の写真
物資調達を行う様子
DMATと行政職員の打ち合わせの様子
関連リンク
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