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水質検査各項目の解説

更新日:2022年3月22日

各項目の解説は以下のとおりです。

水質基準項目

健康に関する項目

番号 水質項目 水質基準値 解説
基 01 一般細菌 100個/mL 以下  特定の菌またはーつのグループをさしているのではなく、培地(標準寒天培地を用いて36±1℃、24±2時間培養した時集落を形成する)上に集落を発生させる好気性細菌及び、通性嫌気性従属栄養細菌に対して与えられた名称です。寄生性のものや下水、堆肥、土壌等に生育している種類が多く、一般には無害な雑菌ですが、まれに、病原菌が混在することもあります。汚染された水ほど一般細菌が多く検出される傾向にあるので、水の汚染状況や飲料水の安全性を判定する指標となります。
基 02 大腸菌 検出されないこと  大腸菌はグラム陰性の桿菌で通性嫌気性に属し、環境中に存在するバクテリアの中で主要な種のーつで、腸内細菌であり、温血動物(鳥類、哺乳類)の消化器内、特に大腸に生息します。従って人畜の糞便等による汚染の高い可能性が示され、病原生物により汚染されている疑いが極めて高いと言えます。(遊離残留塩素 0.1mg/Lで5分、0.2mg/Lで瞬時に菌が死滅することから、消毒が正常なら検出されることはない)
基 03 カドミウム及びその化合物   0.003mg/L 以下  カドミウムは地殻中に約2mg/kg存在し、亜鉛とともに自然界に広く分布しています。また、自然水中に含まれることはまれで、鉱山排水や工場排水から混入することがあります。中毒症状は、急性中毒として咳、嘔吐、めまい、頭痛、肺炎等。慢性中毒として、異常疲労、貧血、骨軟化症等。過去のイタイイタイ病はカドミウム中毒症です。
基 04 水銀及びその化合物   0.0005mg/L以下  自然水中ではまれに水銀鉱床地帯に由来するほか、工場排水、農薬、下水などから混入することがあります。用途としては寒暖計、気圧計、医薬品、農薬等で、人に対する主な暴露経路としては大気、食品、水があります。大気中の水銀は極微量で、食品からの摂取量は1日約20μgと推定され、飲料水中に 0.0005mg/L 含まれていても、1日2Lの飲用では1μgと極微量です。
 人の健康影響としては無機水銀では口内炎、嘔吐、慢性下痢等、有機水銀では例えばメチル水銀の場合は水俣病の原因物質とされ、中枢神経が侵され、手足のしびれ、歩行困難、視覚・聴覚の不調等が起きています。 
基 05 セレン及びその化合物 0.01mg/L 以下  自然水中に含まれることもありますが鉱山排水、工場排水等の混入に由来するほか、工場排水、農薬、下水などから混入することがあります。用途としては整流器、半導体材料、殺虫剤等で、一般的には食品から暴露される量は1mg/L 未満とされています。
 セレンは生体微量必須元素で心筋障害などはセレン欠乏症と言われています。また、過剰摂取による障害は胃腸障害、皮膚障害、神経過敏症、貧血等があげられます。
基 06 鉛及びその化合物 0.01mg/L 以下  土壌中の鉛元素の存在は比較的少量です。河川水中には地質、工場排水、鉱山排水等に由来して溶存することがあります。また、水道水中に検出される鉛は、多くの場合、PH値(PH5程度)の低い水により溶解性は高く、PH値8ぐらいではわずかに溶けることから使用されている鉛管に由来するのは停滞水に限られます。
 鉛は蓄積性のある毒性物質であり、摂取した鉛は骨に蓄積され、小児のほうが吸収率が高く疲労感や消化器官障害、神経障害などの慢性中毒症状を引き起こします。
基 07 ヒ素及びその化合物 0.01mg/L 以下  環境中のヒ素は鉱山排水、塗料工場排水、農薬による汚染が原因となることが多いです。しかし、微量ではありますが広範囲に分布しています。
 ヒ素は蓄積性があり、急性中毒の症状は腹痛、嘔吐及び下痢等、慢性中毒の症状は皮膚の角化症、抹消神経炎などです。
基 08 六価クロム化合物 0.02mg/L 以下  自然水中ではほとんど検出されませんが、鉱山排水、皮革工場やメッキ工場の排水に由来します。
 単体のクロムは安定した極めて錆びにくい無害の金属で、鉄との合金がステンレスとして広く利用されています。
 クロムは人体を構成する必須元素の1つであり、体内に約2ミリグラム存在しています。サプリメントの成分として使われる場合は三価クロムの形で添加されます。
 六価クロムは極めて毒性が強く、慢性的に経口摂取すると肝炎がみられます。
基 09 亜硝酸態窒素 0.04mg/L 以下  水中の亜硝酸態窒素は主としてたんぱく質などの分解によって生じたアンモニア性窒素がさらに生物学的に酸化された結果生じるもので、汚水処理においては汚濁物質の浄化の程度を知る上の手がかりとなります。アンモニアが酸化して硝酸になる中間生成物であるため、比較的近い過去に糞尿等による汚染のあった可能性を示す指標ともなります。
 亜硝酸は毒性が強く、メトヘモグロビン血症、いわゆるチアノーゼ症状を引き起こします。
基 10 シアン化物イオン及び塩化シアン 0.01mg/L 以下  自然水中ではほとんど存在しません。メッキ工場、金属の精錬、写真工業等に使用され、河川や地下水を汚染する例があります。
 シアン化合物の毒性は青酸ガスや青酸カリとして知られている。中毒症状として頭痛、めまい、意識喪失等、高濃度に摂取すると呼吸停止により死亡する場合もあります。
基 11 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10mg/L 以下  無機肥料(硫安、硝安、尿素など)の使用、腐敗した動植物、生活排水、下水の汚泥処理、工場排水等に由来する。
 水や土壌中で科学的・微生物学的に酸化または還元を受け、アンモニア態窒素、亜硝酸態窒素及び硝酸態窒素と変化します。
 一般に浅井戸は深井戸等に比べ地下浸透による汚染の影響を受けやすく、硝酸態窒素が高い傾向にあります。
 毒性は亜硝酸態窒素と同じです。
基 12 フッ素及びその化合物 0.8mg/L 以下

 自然水中のフッ素は地質に由来します。自然界に広く分布する蛍石はフッ化カルシウムが主成分であるため、温泉地帯の地下水、河川水に多く含まれることがあります。(蛍石は光化学材料、レンズ等幅広く使用されている)フッ素を添加している水道水を供給している事例が海外にはあるそうですが、日本にはありません。
 フッ素は虫歯抑制効果があると言われていますが、摂取しすぎると骨格フッ素中毒症等の障害が発生します。

基 13 ホウ素及びその化合物 1mg/L 以下  自然水中に含まれることはまれですが海水にはある程度存在し、植物にとって必須元素であり、特に海草中に多く含まれます。
 ホウ素は単体ではなく化合物であるホウ酸塩として広く分布し、合金製造、精錬、ガラス製造、医薬品、防腐剤等広く使用されています。
 健康影響については食欲不振、嘔吐、皮膚障害等があげられます。
基 14 四塩化炭素 0.002mg/L 以下  フロンガスの原料、機械器具の洗浄や不燃性溶剤、ドライクリーニング等に使用されています。(揮発性有機塩素化合物)クロロホルム様臭気の無色の溶液で土壌に浸透すると、土壌吸着性は低く地下水を汚染します。
 健康影響については発がん性の可能性があるとされています。
基 15 1,4-ジオキサン 0.05mg/L 以下

 水と混和する無色の液体で、1,1,1-トリクロロエタンの安定剤や溶剤として使用されています。
 また、非イオン海面活性剤(ポリオキシエチレン系)の不純物として存在することも知られています。(揮発性有機化合物)
 健康影響については色々な腫瘍を誘発することがわかってきています。発がん性の可能性があるものに分類されています。
 水道水の汚染としては工場等の流出事故等が考えられます。

基 16 シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L 以下  無色透明な可燃性液体で水には難溶の揮発性有機塩素化合物ですが有機溶媒には可溶です。(揮発性有機塩素化合物)
 主に熱可塑性樹脂、染料抽出剤、溶剤に使用され、環境中の汚染は製造過程等に起きると考えられます。
 土壌吸着性は低く地下に浸透し、トリクロロエチレンと共存している場合が多いです。
 人に対する影響は麻酔作用以外の報告はありません。
基 17 ジクロロメタン 0.02mg/L 以下  無色透明な不燃性液体で水には多少可溶であります。抽出剤、塗料剥離剤、アセチルセルロース等の溶媒に使用されています。
 環境中の汚染は工業的な用途に使用されるところから、大気中に揮散し、光分解され土壌に浸透すると吸着され難く、生分解性も低く、地下水を汚染する可能性があります。(揮発性有機塩素化合物)
 急性毒性では神経系症状が主要で、発がん性の可能性があるものの、人に対しての発がん性は証拠不十分です。
基 18 テトラクロロエチレン 0.01mg/L 以下  無色透明な不燃性液体で主にドライクリーニング、フロン製造原料、金属部品脱脂洗浄等に使用されています。
 地下水が汚染された場合、数ヶ月、数年間にわたり残留します。(揮発性有機塩素化合物)
 発がん性の可能性があるものの、人に対しての発がん性は証拠不十分です。
基 19 トリクロロエチレン 0.01mg/L 以下  無色透明の液体でクロロホルム様の臭いがし、常温では分解されません。(揮発性有機塩素化合物)
 主にドライクリーニング、金属部品脱脂洗浄、その他の溶剤に使用されます。
 大気中に放出された場合は数日間で分解されますが土壌中では分解が遅く地下に浸透し地下水を汚染し、地下水中では数ヶ月から数年間残留すると言われています。
 健康影響については嘔吐、腹痛、神経障害等、その他発がん性の可能性があるとされています。
基 20 ベンゼン 0.01mg/L 以下  無色透明の液体で芳香臭を有する水より軽い液体で水には難溶で有機溶媒に可溶です。(揮発性有機塩素化合物)
 染料、合成ゴム、合成洗剤、各種有機合成化学品の原料等に使用されています。
 水中では生物によって数日から一週間ぐらい緩やかかに分解されます。
 人に対する影響は急性毒性麻酔作用、慢性中毒初期症状は頭痛、めまい、食欲減退、眼炎、気道粘膜の炎症等、中毒が進行すると神経系統に支障をきたし、血液変化により白血病を引き起こす原因となります。
基 21 塩素酸 0.6mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムに含まれる不純物に由来するものと考えられます。消毒剤を長期間貯蔵すると、その分解により塩素酸が生成し、濃度上昇が考えられます。特に高温化では顕著になり、適正な温度管理が必要となります。
塩素酸を含む物質として、塩素酸ナトリウムがありますが、爆薬、染色、漂白等に使用されます。
健康影響については、メトヘモグロビン血症、いわゆるチアノーゼ症状を引き起こします。また、腎不全等にも関連します。
基 22 クロロ酢酸 0.02mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する消毒副生成物が殆どです。
 健康影響については皮膚、粘膜障害等様々な影響が見られます。
基 23 クロロホルム 0.06mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する消毒副生成物でトリハロメタン(クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム)の成分の一つです。用途としては工業用フッ素系冷媒の原料、麻酔剤、消毒剤等広く使用されています。
 健康影響については肝臓、腎臓の機能障害で発がん性の可能性があるとされています。
基 24 ジクロロ酢酸 0.04mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する消毒副生成物が殆どす。
 健康影響については目、皮膚、気道に対する腐食性を示しています。
 現在、抗がん剤として臨床試験が続けられています。
基 25 ジブロモクロロメタン 0.1mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する消毒副生成物で、トリハロメタン(クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム)の成分の一つです。
 用途としては工業用クロロフルオロメタン(冷媒)の原料、麻酔剤、消毒剤等広く使用されています。
 健康影響については消化管により吸収され、肝臓で酸化されて毒性を発現すると推定されます。
基 26 臭素酸 0.01mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムに不純物として含まれる臭素が酸化されて生成すると考えられます。また、オゾン処理で酸化され生成することもあります。
 用途としては臭素酸ナトリウムは分析用試薬、毛髪のコールドウェーブ用薬品として使用されています。
 健康影響については目、皮膚、気道、消化管を刺激し、チアノーゼ、腎不全、脳障害を生じることがあり、臭素酸の化合物である臭素酸カリウムは発ガン性があるとされています。
基 27 総トリハロメタン 0.1mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する消毒副生成物で、トリハロメタン(クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの総和)と言われています。水道水から頻度が高く検出されます。
 一般的にクロロホルム濃度が最も多く生成される傾向にありますが、水温、pH値、残留塩素濃度等に影響を受け、状況も変化します。
 健康影響についてはトリハロメタン構成物質と同じといえます。
基 28 トリクロロ酢酸 0.2mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する消毒副生成物が殆どです。
 特有臭のある潮解性のある固体で、極めて水によく溶けます。
 健康影響については目、皮膚及び粘膜に対し腐食性、刺激性があります。発ガン性については分類されていません。
基 29 ブロモジクロロメタン 0.03mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する消毒副生成物で、トリハロメタン(クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの総和)の構成物質の一つです。
 健康影響については高濃度摂取で麻酔作用があると見られ、発ガン性については可能性があるとされています。
基 30 ブロモホルム 0.09mg/L 以下  浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する消毒副生成物で、トリハロメタン(クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの総和)の構成物質の一つです。
 健康影響については毒性により局部粘膜刺激があり、蒸気吸入によって肝障害を引き起こします。発ガン性については分類されていません。
基 31 ホルムアルデヒド 0.08mg/L 以下

 浄水処理過程で消毒剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムと水道原水中のフミン質等の有機物と反応して生成する可能性があります。ホルムアルデヒドを40~50%含む溶液は「ホルマリン」といいます。
 用途としては農薬、消毒剤、防腐剤の原料等があります。
 健康影響については急性毒性があり、皮膚、眼、粘膜に強い刺激があります。また、シックハウス症候群の原因物質の一つとして関心も高く、シャワー等の吸引暴露も考慮して基準が設定されています。

性状に関する項目

番号 水質項目 水質基準値 解説
基 32 亜鉛及びその化合物 1mg/L 以下  自然水中亜鉛濃度は微量で鉱山排水、工場の排水に由来する汚染、亜鉛メッキ鋼管からの多量溶出により、白濁し、味を悪くします。
 用途は真鍮の合成材料、乾電池、トタン板の製造等です。
 健康影響については毒性が低く、 5~6mg/Lで急性中毒の例があり、症状としては腹痛、嘔吐、下痢等です。亜鉛は生体の必須元素で1日必要量15mgです。
 基準は味覚や色への影響を考慮し設定されました。
基 33 アルミニウム及びその化合物 0.2mg/L 以下  地球上に広く存在し、地殻では酸素、ケイ素についで3番目で、金属元素として多く存在しています。
 浄水処理における急速ろ過に用いる凝集沈殿剤(硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等)にも含まれます。
 健康影響については神経毒性があることが確かめられていますが溶解性が低く摂取してもほとんど吸収しません。また、食品等に広く含まれことから飲料水由来の摂取量は少ないと言えます。
 アルツハイマー病の指摘が一時ありましたが現在では否定されつつあります。基準の設定は白濁や異味を考慮しています。
基 34 鉄及びその化合物 0.3mg/L 以下  地殻中に広く、溶解性、不溶解性で存在しています。
 健康影響についてはほぼ無毒ですが鉄分が多い水は不快な臭みを与え、酸化された水は赤水の原因になり生活用水として好ましくありません。しかし、浄水工程において、除鉄・除マンガン処理をしていますので問題はありません。生体の必須元素で、欠乏すると貧血症状になります。1日必要量5mg~10mg程度です。
 基準の設定は着色による障害や異臭味等の障害を考慮しています。
基 35 銅及びその化合物 1mg/L  以下  自然水中銅濃度は鉱山排水、工場の排水、農薬散布に由来する汚染と銅管を使用した給湯器等からの溶出により、濃度の上昇や着色障害等が考えられます。
 用途は銅線、銅管、合金、貨幣、暖房器具、農薬等です。 健康影響については生体の蓄積性がないため慢性中毒の恐れは少ないです。また、成人の必須要摂取量2mg程度で、欠乏すると貧血症状が現れます。
 高濃度の水を摂取した場合の急性中毒としては吐き気、腹痛、肝臓・腎臓障害等がありますが人に対する毒性は低いと言えます。
基 36 ナトリウム及びその化合物 200mg/L 以下  すべての自然水中、環境に存在し、生活排水や工場排水により濃度が増加します。
 用途はナトリウム化合物の合成、原子炉の冷却材、光電管ナトリウムランプ等です。
 健康影響については過剰摂取による高血圧症が懸念されますが食品由来と比較すると極めて少ないです。欠乏すると筋肉のけいれんや血圧低下意識障害等が考えられます。
 成人の必須要摂取量約500mgと言われています。塩分量に換算すると1.27gとなります。厚生労働省の日本人の食事摂取基準で食塩摂取量の目標値は男性9g未満、女性7.5g未満です。
 基準の設定は高濃度になると水の味に影響するため、その点を考慮しています。
基 37 マンガン及びその化合物 0.05mg/L 以下  自然水中のマンガンは地質に由来する部分が多く、配・給水中にマンガンが含まれると酸化されたマンガンが管壁に付着し、管内流速・流向の変化により付着物が剥離し、黒い水が流出します。しかし、浄水工程において、除鉄・除マンガン処理をしますので問題はありません。
 用途としては乾電池、アルカリ乾電池等に使用されています。
 健康影響については過剰摂取による神経症状、頭痛、関節痛、全身けん怠感等が見られますが人に対する毒性は低いです。また、成人の必須要摂取量4mg程度で、欠乏すると貧血や生殖機能障害等が現れます。
 基準の設定は水の着色を考慮したものです。
基 38 塩化物イオン 200mg/L 以下  自然水中の塩化物イオンは地質に由来し広く存在し、生活排水、し尿、工場排水等の混入により濃度が増加します。また、地層を形成する土壌や岩石に微量に含まれ、溶出しやすいことから地表水、地下水等に常に多少の塩化物イオンは含まれています。(地下水10~20mg/L、下水約500mg/L、し尿約5000mg/L)
 健康影響については過剰摂取による高血圧症が懸念されますが食品由来と比較すると極めて少なく、塩化物イオン自体の毒性は無いともいえます。
 従って、基準の設定は味等の低下や鉄に対する腐食を考慮し設定されています。
基 39 カルシウム,マグネシウム等(硬度) 300mg/L 以下  水中のカルシウムイオンやマグネシウムイオンの量をこれに対応する炭酸カルシウムに換算したもので、WHOの表記によると0~60mg/Lが軟水、60~120mg/L中程度の軟水、120~180mg/L硬水、180mg/L以上が非常な硬水として分類されていますが、一般的には60mg/L以下が軟水、それ以上が硬水とみなされています。自然水中の硬度は主に地質に由来しますが、生活排水、工場排水等による影響も多少考えられます。硬度の高いものは石鹸等の洗浄効果を低下し、調理用水としても不適当で緑茶、コーヒー等の味を悪くします。一般に市販されている飲料水は軟水のものが多く、外国産等は硬度の高いものもあります。
 用途により軟水と硬水を使い分けることが推奨されています。ちなみに当市の水道は使い分けの必要のない程度のものです。(おいしい水の要件指標値10~100mg/L)
 健康影響については硬度の高い水を飲用し続けると、胃腸を害し下痢等を引き起こすこともありますので、その辺を考慮した基準を設定しています。
基 40 蒸発残留物 500mg/L 以下  水道水中の蒸発残留物とはカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、ケイ酸等の無機塩類が主で浮遊物質、溶解性残留物の総和で表します。しかし、水道水には基本浮遊物質が含まれることはないのでミネラル分とフミン質等が考えられます。従って、基準を超えても健康影響はほとんどありませんが、多く含む場合も極端に少ない場合も味をまずくしますので、その点を考慮した設定になっています。(おいしい水の要件指標値30~200mg/L)
基 41 陰イオン界面活性剤 0.2mg/L 以下  家庭雑排水が直接または下水処理場を経由して河川へ流入することにより広く環境中に存在します。しかし、当市においては原水は深井戸による地下水でその影響は無いと言えます。
 用途としては合成洗剤、化粧品、医薬品、製紙等に多く使用されています。
 健康影響については通常の状況では問題ないとされています。基準は水の泡立ちを考慮して設定されています。
基 42 ジェオスミン 0.00001mg/L以下  河川及び貯水池等で繁殖する藍藻類のプランクトンや放線菌により産生されるカビ臭や異臭味等を呈する原因物質です。
 基準の設定はカビ臭等を感じないレベルを考慮しています。
基 43 2-メチルイソボルネオール 0.00001mg/L以下  河川及び貯水池等で繁殖する藍藻類のプランクトンや放線菌により産生されるカビ臭や異臭味等を呈する原因物質です。
 基準の設定はカビ臭等を感じないレベルを考慮しています。
基 44 非イオン界面活性剤 0.02mg/L 以下  家庭雑排水が直接または下水処理場を経由して河川へ流入することにより広く環境中に存在します。しかし、当市においては原水は深井戸による地下水でその影響は無いと言えます。
 高濃度の酸・アルカリ水溶液中でも強く界面活性能を示し陰イオン界面活性剤と併用して広範囲に使用されています。
 用途としては陰イオン界面活性剤と類似しています。界面活性能とはマヨネーズの中の卵が油や酢等を混ぜ合わせる効果や人体における胆液の食べ物の消化、油を取り込みやすくする効果と同じと言えます。
 健康影響については通常の状況では問題ないとされています。基準は水の泡立ちを考慮して設定されています。
基 45 フェノール類 0.005mg/L 以下  自然水中に含まれることなく、汚染源は化学工場等の排水やアスファルト舗装道路の洗浄排水等に影響を受けます。
 用途としては防腐剤、消毒剤、または医薬品、合成樹脂、爆薬等の原料として使用されています。
 ベンゼンや芳香族炭化水素に水酸基が置換された化合物の総称で、健康影響については中枢神経系麻痺、皮膚、粘膜等に腐食作用があります。
 消毒により生成するクロロフェノール類は低い濃度でも不快な臭気を与えるので、基準の設定はその辺を考慮しています。
基 46 有機物質(全有機炭素(TOC)の量 3mg/L 以下  水中に存在する有機物に含まれる炭素の総量をさし、直接的な汚染の指標となります。
 この数値が低い程、おいしい水としての評価は高くなります。
 従って、基準の設定は味を良くすることを考慮しています。
基 47 pH値 5.8~8.6  高いpH値、低いpH値でも、眼の炎症や皮膚障害の悪化、胃腸の炎症等を引き起こす可能性があります。また、pH値8以上で塩素消毒の効果が低下し、pH値が低下すると酸性が強くなり腐食等の影響により、赤水等が発生する可能性もあります。
 従って、快適な水質と水道施設の腐食等の防止の観点から基準値を設定しています。
基 48 異常でないこと  水道水中に含まれる物質(溶解性物質)や濃度によって水の味は左右されますので、水質の変化を知る上で重要です。
 例えば、無機物質が多いと不快味を与え、有機物質等は臭みを与え、給水管からの鉄等の溶質により渋み等の不快を与えることも考えられます。
基 49 臭気 異常でないこと  味と同じようなことが原因で塩素臭以外の臭いが発生することがあります。
基 50 色度 5 度 以下  水道水の色の程度を示すものでフミン質(有機化合物質)や金属類により色を生成します。
 通常、適正な水処理が行われていれば着色することはありませんが、配管等の経年劣化によりサビが生じると赤水になったりします。
 基準は色を判別できる限界付近となります。
基 51 濁度 2 度 以下  水道水の濁りの程度を示すものでフミン質(有機化合物質)や金属類により濁りを生成します。
 通常、適正な水処理が行われていれば濁りが発生することはありませんが、蛇口のパッキングの劣化等による異物、配管等のサビよる異物等が考えられます。
 また、クリプトスポリジウム対策指針で、浄水処理におけるろ過器の出口で0.1度以下に定められていますので、通常では基準を超えることはありません。

水質基準項目と同時に検査する項目

  水質項目 指標値 解説
クリプト対策項目 嫌気性芽胞菌 0個/mL(定量下限値)  基準項目ではありませんが大腸菌と並んでクリプトスポリジウム対策指針の1項目で原水の汚染の判断材料となるべき項目です。消毒剤と接触しても芽胞を形成し、極めて高い耐久性があり、他の菌が死滅しても生き残る可能性が高いので検出されることは汚染されている可能性も高まります。
おいしい水の要件 水温 最高20℃以下  冷たいと感じられる水は生理的においしいと感じられることと、水温が低いことにより、カルキ臭等の臭いが薄れることによる、おいしさの度合いが増すことがあります。

水質管理目標設定項目(27項目中25項目)

番号 項目 目標値 区 分 解説
目01 アンチモン及びその化合物 0.02mg/L以下 重金属 工場排水等の混入やニッケルメッキの溶出により検出される可能性があります。アンチモンはレアメタルの一種で工業材料として多岐にわたる用途に用いられています。
 健康影響としては皮膚や粘膜への刺激性があり、劇物に指定されている物もあります。しかし、慢性中毒等の知見は極めて少ない状況にあります。
目02 ウラン及びその化合物 0.002mg/L以下(暫定) 放射性物質  自然界に比較的広く存在する元素で金、銀よりも多いです。用途としては核燃料として使用されることは知られています。この半減期は数億年~数十億年と言われています。
 天然のウランの毒性についてはあまりよく知られていなませんが、放射性物質なので肝障害や発ガン性が言われています。
目03 ニッケル及びその化合物 0.02mg/L 以下 重金属  工場排水等の混入やニッケルメッキの溶出により検出される可能性があります。用途としては耐食性が高くメッキ等に使用され、ステンレス鋼や硬貨の材料等にも使用されています。
 金属アレルギーを引き起こしやすい金属の一種で、発ガン性が認められる科学物質とされています。
目05 1,2-ジクロロエタン 0.004mg/L以下 一般化学物質  塩化ビニルの原料や殺虫剤等に使用される有機化学物質です。発ガン性の可能性があると指摘されています。

目08

トルエン 0.4mg/L 以下    シンナー、接着剤、塗料の材料として多く使用されている有機化学物質です。
 健康影響としては急性中毒として中枢神経系の影響、頭痛、めまい、慢性中毒としては平衡障害、言語障害等の症状が現れます。発ガン性については可能性は低いと考えられています。
目09 フタル酸ジ(2-エチルヘキシル) 0.08mg/L 以下    健康影響としては急性中毒として中枢神経系の影響、頭痛、めまい、慢性中毒としては平衡障害、言語障害等の症状が現れます。発ガン性については可能性は低いと考えられています。
目10 亜塩素酸 0.6mg/L 以下 無機物質  水処理において使用されていない薬品等で、検査項目から除外しています。
目12 二酸化塩素 0.6mg/L 以下    水処理において使用されていない薬品等で、検査項目から除外しています。
目13 ジクロロアセトニトリル 0.01mg/L 以下(暫定) 消毒副生成物   不安定で分解しやすい物質です。水道水中で分解し一部ジクロロ酢酸になります。水道水の滅菌処理する際に有機物質と消毒剤の塩素が反応して生成します。基準項目のジクロロ酢酸の項目参照。
目14 抱水クロラール 0.02mg/L 以下(暫定)    生成する過程は上記に同じです。この物質の効能は脳の神経の働きを抑える作用で眠りを導く薬として使用されますが、過量投与により、ふらつき、めまい感、呼吸抑制等に注意が必要となります。
目15 農薬類 1以下(検出値と目標値の比の和)  農薬  農薬114項目の総称で評価値の10%を超えて検出される可能性のある物が設定されています。
目16 残留塩素 1mg/L 以下 におい  水道水の衛生を確保するため、水道法では塩素等による消毒を行うことが定められており、その消毒効果のある状態で残っている塩素量のことです。濃度の高さにより臭いの原因にもなります。
 当市においては管末で残留塩素濃度 0.1mg/L以上0.4mg/L以下を目標にして塩素濃度管理しています。(おいしい水の要件指標値は0.4mg/L以下)
目17 カルシウム、マグネシウム等(硬度) 10mg/L以上100mg/L以下 味覚  カルシウム、マグネシウムの合計量を硬度としています。硬度は主として地質に由来し、硬度の高い水、低い水、人の味覚に与える影響は様々です。
 当市の水道水の硬度は80mg/L前後で軟水と硬水の中間と言う表現を使わせていただいています。(おいしい水の要件指標値と同じ)
目18 マンガン及びその化合物 0.01mg/L 以下  基準項目と同じ解説になりますが目標値は基準値より厳しい数値に設定されています。
目19 遊離炭酸 20mg/L 以下 味覚  水中に溶けている炭酸ガスのことで、従属性と侵食性があり、カルシウムやマグネシウム等の炭酸水素塩として水中に溶存させるのに必要なものが従属性遊離炭酸で、それ以上のものを侵食性遊離炭酸と言うことになります。水に清涼感を与えますが、多くなると刺激が強く、水道施設に対し腐食の要因となります。(おいしい水の要件指標値3mg/L~30mg/L)
目20 1,1,1-トリクロロエタン 0.3mg/L 以下 におい  工場排水等の混入により地下水で検出されることがあります。中枢神経に影響を与え意識低下を引き起こし、高濃度により不整脈を生じます。発ガン性については明白な知見は認められていません。また、高濃度に含まれると異臭味の原因にもなります。
目21 メチル-t-ブチルエーテル(MTBE) 0.02mg/L 以下 一般化学物質  ガソリンに添加される有機化学物質で味や、臭いに影響を与えることを考慮して定められています。
目22 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 3mg/L 以下 味覚  有機物の指標として基準項目とは別の測定法により求める量です。(おいしい水の要件指標値と同じ)
目23 臭気強度(TON) 3以下 におい  定量的に臭気の強度を表すものであります。(おいしい水の要件指標値と同じ)
目24 蒸発残留物 30mg/L以上200mg/L以下 味覚  基準項目と同じ解説になりますが目標値は基準値より厳しい数値に設定されています。
目25 濁度 1度以下 濁り  基準項目と同じ解説になりますが目標値は基準値より厳しい数値に設定されています。
目26 pH 7.5程度 腐食  基準項目と同じ解説になりますが目標値は基準値より厳しい数値に設定されています。
目27 腐食性(ランゲリア指数) マイナス-1程度以上とし、極力0に近づける    水の腐食性の度合いを表す指標で、負の数値が大きくなるほど腐食の傾向は強くなります。
目28 従属栄養細菌 2,000個/mL 以下 細菌  河川や湖水等の水道原水中では一般細菌よりも多く存在しているため、浄水処理や消毒過程での適正な処理の評価をする上で有効でなおかつ、貯水槽や配・給水管内の遊離残留塩素の消失に伴ってこの菌の増加が考えられるので、清浄な状況の浄水か確認するのにも有効です。
目29 1,1-ジクロロエチレン 0.1mg/L 以下 一般化学物質  揮発性の合成有機化合物で河川等ではすぐ蒸発するため汚染の度合いは少ないですが、地下水の汚染の検出事例がありました。また発ガン性の可能性の指摘もありますが実績と知見から水質基準から変更となったものです。
目30 アルミニウム及びその化合物 0.1mg/L 以下 軽金属  基準項目と同じ解説になりますが目標値は基準値より厳しい数値に設定されています。
目31 ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA) 0.00005mg/L以下 有機化学物質  現在では特定の用途を除き製造・輸入・使用等が禁止されています。
 健康影響としては血中総コレステロール値の上昇や幼児におけるワクチン接種時の抗体応答の低下が懸念されています。

水質検査項目等の確認区分(水質業務指標)

水質検査によって、主に以下のような事項の確認を行うことができます。

区分 確認事項 項目名
原水の水質 地下水における自然由来の水質悪化 3、カドミウム及びその化合物
4、水銀及びその化合物
5、セレン及びその化合物
6、鉛及びその化合物
7、ヒ素及びその化合物
8、六価クロム化合物
9、亜硝酸態窒素
10、シアン化物イオン及び塩化シアン
11、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
12、フッ素及びその化合物
13、ホウ素及びその化合物
34、鉄及びその化合物
36、ナトリウム及びその化合物
37、マンガン及びその化合物
38、塩化物イオン
40、蒸発残留物
46、有機物質(全有機炭素(TOC)の量)
47、pH値
49、臭気
50、色度
51、濁度
(塩素要求量)
(嫌気性芽胞菌)
土壌汚染に由来する水質悪化 3、カドミウム及びその化合物
4、水銀及びその化合物
5、セレン及びその化合物
6、鉛及びその化合物
7、ヒ素及びその化合物
8、六価クロム化合物
9、亜硝酸態窒素
10、シアン化物イオン及び塩化シアン
11、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
12、フッ素及びその化合物
13、ホウ素及びその化合物
14、四塩化炭素
15、1,4-ジオキサン
16、シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2-ジクロロエチレン
17、 ジクロロメタン
18、テトラクロロエチレン
19、トリクロロエチレン
20、 ベンゼン
32、亜鉛及びその化合物
33、アルミニウム及びその化合物
39、カルシウム、マグネシウム等(硬度)
47、pH値
1、一般細菌
(従属栄養細菌)
(農薬類)
(塩素要求量)
病原性生物による水源の汚染 2、大腸菌
(嫌気性芽胞菌)
薬品注入施設 (薬品)次亜塩素酸ナトリウム 薬品注入量の適正 22、クロロ酢酸
23、クロロホルム
24、ジクロロ酢酸
25、ジブロモクロロメタン
27、総トリハロメタン
28、トリクロロ酢酸
29、ブロモジクロロメタン
30、ブロモホルム
31、ホルムアルデヒド
47、pH値
49、臭気
50、色度
51、濁度
(残留塩素)
(塩素要求量)
薬品管理の適正 21、塩素酸
26、臭素酸
[次亜塩素酸ナトリウムの使用量]
[次亜塩素酸ナトリウムの注入率]
ろ過施設 正常なろ過水 33、鉄及びその化合物
36、マンガン及びその化合物
47、味
48、臭気
49、色度
50、濁度
(残留塩素)
(逆洗水)
給水施設(配水管) 正常な水道水 毎日検査(色、にごり、残留塩素)
(水温)
給水(浄水) 水質基準項目<全項目1~51>
(従属栄養細菌)
(残留塩素)

・表中の番号は水質基準項目の検査項目番号です。
・( )については基準項目外の検査項目です。
・[ ]は浄水場運転における設定項目です。

お問い合わせ

水道部 工務課

千葉県松戸市二ツ木2003番地の1
電話番号:047-341-0430 FAX:047-349-0881

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