平成18年度 松戸市教育施策方針  本日、平成18年3月定例市議会におきまして、「平成18年度松戸市教育施策方針」について、申し述べます。 「変革の時代であり、混迷の時代であり、国際競争の時代である。このような時代であるからこそ、一人ひとりの国民の人格形成と国家・社会の形成者の育成を担う義務教育の役割は重い。国は、その責務として義務教育の根幹、即ち、1.機会均等、2.水準確保、3.無償制を保障し、国家・社会の存立基盤がいささかも揺らぐ事のないようにしなければならない」 これは、昨年10月に出された中央教育審議会の「新しい時代の義務教育を創造する」という最終答申の総論の冒頭に掲げられた教育の目的・理念であります。 この目的・理念を達成するために、「1.目標設定とその実現のための基盤整備を国の責任で行った上で、2.市町村・学校の権限と責任を拡大する分権改革を進めるとともに、3.教育の結果の検証を国の責任で行い、教育の質を保証する構造に改革すべきである。」とする義務教育の構造改革を提言しております。 こうした構造改革により、国の責任で「ナショナル・スタンダード」を確保し、その上に、市町村と学校の主体性と創意工夫により、「ローカル・オプティマム(地方における最適な状態)」を実現する。国の責任と分権改革は「車の両輪」であり、両者が相俟って時代を切り拓く新しい教育を実現すべきである、と結んでおります。 私は、本市議会等でのご質問に対し、「松戸市の目指す教育の到達点は、一言で申すならば、国のナショナル・ミニマムの完全達成の上に、シビル・ミニマムを達成し、教育の上での松戸市のコーポレート・アイデンティティを確立することである」と申し上げてきました。図らずも「答申」において、国の「スタンダード」と地方の「オプティマム」という形で、一ランク上位の表現がされたことに、意を強くする、また、身が引き締まる思いでございます。 さて、本市におきましては、時代と次代を見据えた改革を実施するため「松戸市教育改革アクションプラン」を策定し、教育課題の解決に向けての取り組みを進めてきたところでございます。本市教育改革のコンセプトは、学校教育において基礎基本の定着を図り、確かな学力に裏付けられた責任感・社会性を身に付けた、次の時代を担う人材を育成する事を、主眼に据えております。 このコンセプトは、学校をはじめ各分野に浸透しつつありますが、未だ十分とは言えず、さらに今日の教育環境の急激な変化を考えますと、現在進めている事業も含めて見直しを図り、「不易と流行」の精神をもって、柔軟に展開していく必要があると考えております。そのためには、「スクラップ・アンド・ビルド」の発想による作業を進めるとともに、一定のスパンで計画を総括して、これを「ローリング」していくなど、変化に対応できるシステムを構築していくことが肝要であると考えております。 新年度は、これまで進めてきた「教育資源の整備」「学区制緩和の推進」「IT環境の充実推進」に関する教育改革の成果を、「学校支援」「新しい教育システム」「家庭と地域の教育支援」「新しい教育連携」として描く4つのプランの中に具体的に機能させ、教育改革の推進に結び付けていきたいと存じます。 分権時代の教育行政のあり様を思い描きつつ、学校にあっては、各校の自主性・自律性を重んじつつ、教育目標の具現化を通じ、「効果のある学校づくり」を奨励してまいります。そのための条件は、校長の強力なリーダーシップと授業研究に熱心な教師集団、子どもと正面から対峙し、問題から逃げない組織集団と意志の一致であります。アクションプランの推進を通して、よりよい学校づくりの支援をしてまいります。 一方、社会教育、社会スポーツ、及び文化・芸術を担う行政分野においては、それぞれの部門の目標達成に向けて努力するとともに、とかく希薄になりがちであると指摘されます学校教育との関係につきましては、学校教育を支援する方向で、一層の連携を図り、生涯学習社会の形成、すなわち「生涯に渡って学び続ける土台を築く松戸の教育」に寄与することを目指してまいります。  このような視点に立ちまして、各分野における主要な施策・事業につきまして申し述べます。 学校教育においては、「カリキュラムの質」「教員の質」「スクールマネジメントの質」が学校の教育力を決定する要素になると言われています。この三点から学校教育の喫緊な課題を見直し、組織の改編、目標管理手法、人事・研修システム、さらに教育資源の再配分を含めての条件整備を進めてまいりたいと考えております。特に、平成17年度、試行的に実施した学校・教職員の目標申告制度は、学校評価を含めて、学校が抱える課題とその解決のための実効的な手法として、また、学校活性化に向けての手段として期待できることが分かりました。このことに鑑み、新年度は、さらに試行の拡大を図ってまいります。長年、教育を提供する側からの発想に頼ってきた教育を、受ける側である保護者や子どもの求める、質の高い教育の場とする必要があります。このことは、子どもの学ぶ意欲を引き出し、知的好奇心を満足させる、いわゆる満足度の高い教育を提供することに外なりません。 さらに、スタッフ派遣については、制度開始から2年を経過し、児童生徒の4Rsの定着、特色ある学校づくりに大きな役割を担っております。また、スタッフ自身が教職員やスクールカウンセラーとの連携指導のもと、長期欠席であった生徒の居場所づくりや適応指導に効果を上げたという事例が複数校から報告されております。今後も、さらに事業効果を高められるよう創意工夫を加えていくとともに、学校支援体制の充実に努めてまいります。また、各学校の個別教育支援計画の推進を支援してまいります。  次に、学校適正規模・適正配置に基づく小学校統合につきましては、保護者や議員各位のご理解とご協力により、新たな学校としてのスタートから早や1年が経過しようとしております。当初危惧されていました子ども同士の人間関係なども、私ども大人が憂慮するよりも、よほど逞しく過ごしており、そのことに改めて感心いたす次第であります。各学校より、概ね順調に推移しているとの報告を受けており、今後も児童が安心して学校生活が送れるよう支援し、その推移を見守ってまいります。 「閉校小学校3校の跡地」につきましては、現在、暫定的にご利用を頂いておりますが、本格的な活用につきましては、総務企画本部・財務本部・生涯学習本部からなる検討委員会において検討を重ねており、本年度末をもって委員会としての方向性が示される予定でございます。 中学校における適正規模・適正配置につきましては、本年3月をもって小金中学校の3年生が卒業することによりまして、新年度からは、小金中学校と新松戸北中学校の学区の全生徒が新松戸北中学校に通うこととなります。その後、小金中学校の新築・改修工事を経て、新松戸北中学校から小金中学校へ移転する計画でございます。諸般の事情により、当初計画より遅延しておりますが、平成21年4月を目処に、開校の準備を進めて参ります。新たな中学校は、先駆的・先導的な教育活動を展開する「パイロットスクール」でございます。今後、開校に向けて最大限の努力を傾注する所存でございます。何卒、ご理解とご支援をお願い申し上げます。 次に、学校施設の安全と教育環境の向上を図るために、小学校2校、中学校1校の校舎及び中学校1校の屋内体育館耐震改修工事を行い、児童生徒の安全確保と、地域防災拠点としての安全整備を、引き続き図ってまいります。 また、昨今、児童生徒が犯罪に巻きこまれる事件が相次いでおります。関西地方での小学校の事件以降、本市では関係機関のご指導・ご協力を頂きながら、不審者侵入時の「学校危機管理マニュアル」を作成し、「危機対応訓練」などを行う一方で、全児童に「防犯ブザー」の配布を行うなど、各学校に指導・助言をし、危機管理対策に努めてまいりました。各学校におきましても、「集団下校の実施、安全マップの作成、職員による引率、見回り、巡視」など、地域の方々のご協力を得ながら、独自の安全・安心確保の対策に取り組んでおります。 しかしながら、「安全」というものに対しては「これで充分」というものはございません。何より、地域や保護者の皆様並びに関係機関のご協力が不可欠でございます。メール送信システムなども活用しながら、今後も学校・家庭・地域・関係機関との連携をより緊密にして、安全対策に努めてまいりたいと考えておりますので、更なるご理解・ご協力をお願い致します。 次に、社会教育・文化の振興につきましては、市民の自発的・自主的な行動が醸成されることを主眼に、生涯学習講座などを開催しております。多様で継続的な学習への取り組みを支援するために「図書館の夜間開館の拡大」や、家庭や地域の教育力を高める支援の一環として「中学校版家庭教育学級講座」を引き続き開設してまいります。さらに学習への再挑戦を支援するために「基礎学力再履修講座事業」を展開するなど、生涯学習基盤の整備に努めてまいります。  また、平成17年度は世界文明と日本文化との係わりや科学との係わりを通して、市民文化の振興に努めてまいりました。エジソン展は、多数の子どもや大人が訪れ、成功裏に終わりました。なお、「産・学・官、協働の成果、学社連携の見本」という、関係者の評価もございました。 新年度は、松戸市出身イラストレーター「日暮修一氏」の活動足跡を紹介する企画展や、根木内歴史公園開園に合わせた、「戦国の城を探る」と題する記念企画展を開催し、身近な文化との係わりから、市民の自発的な活動の醸成を図ってまいりたいと存じます。  次に、市民スポーツ活動につきましては、平成17年度に「全国高等学校総合体育大会が開催され、本市2会場においても若人の祭典が催されました。来る平成22年には「国民体育大会」が千葉県で開催されます。今回の経験が大いに生かされるものと期待しております。新年度は、「スポーツ振興マスタープラン」の主要施策であります、市民の生涯にわたるスポーツ活動を支援するとともに、地域におけるスポーツ環境の充実のために、「総合型地域スポーツクラブ」設立に向けての準備を進めてまいります。  松戸市を取り巻く極めて厳しい行財政環境がなお続く状況下にあっては、教育行財政環境の一層の合理化・効率化を推進していかなければならない事に変わりはございません。  一方で、今後とも今日の教育問題・課題に取り組み、新たな教育ニーズに対応すべく必要な施策に取り組んでまいります。あらためて「勇気・決断・実行」の精神をもって、努力を傾注してまいる所存でございます。  市民の皆様をはじめ、議員各位のご協力・ご指導をお願い申し上げ、平成18年度の「教育施策方針」といたします。 7