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平成20年度教育方針と主要施策

平成20年2月22日、松戸市議会3月定例会本会議で教育長が発表した教育方針と主要施策です。

ダウンロード用PDFファイルをこのページの一番下に用意しました。

ただいまより、「平成20年度松戸市教育施策方針」について、申し述べます。

1980年代より進められた社会構造の改革は、教育におきましても市場原理、自己責任原則をねらいとする規制緩和が進められてまいりました。

 この流れを受けながら、わが国の教育行政は個性重視への転換、学習指導要領の大綱的扱い、各種基準の弾力化と分権化を進めているところであります。学校選択制がその象徴であり、教育特区や民間人校長、学校の民営化など、均一から違い化を図る施策が推進されております。

しかし、旧来義務教育諸学校には、教育を通して公共・福祉を実現する使命もあり、「選ばれる学校」への転換は遅々として進まない状況であります。また、多様な施策をもって改革を進めているにもかかわらず、学力低下や規範意識の不足、いじめなども噴出させているわが国は、さらに学校不信、教員不信を強め、学校評価や教員評価制度の導入が図られているところであります。

 

めまぐるしく、しかも揺れ動きながら次々と施策が打ち出される教育界、特に公立義務教育が揺れの真っ只中にあると断言してもよかろうと思います。この揺れに対し先見あるコントロールをするのが市町村教育委員会と各学校長の見識であろうと考えているところでございます。

 学校に揺れをもたらしている一連の改革は、結局その収斂されるところは、「学校の自律」であるとみておりますので、外から学校に多様な問題を抱え込ませがちになる教育改革の流れを、学校が主体的に改革を内なる方向に転換して学校の自律を確立していくことが重要であると考えております。

教育改革アクションプランは、「自ら変化を創り出す」との考えで出発し、その時点で考え得る多くの施策をプランに盛り込み改革を進めてまいりました。

松戸版教育改革5年を迎える平成20年度は、これまで多様なプランをもって挑戦して見えてきた中から、学校が自律的経営を進め、学校の求心力がより高まるようプランを集中させてまいります。多様なプランの中から、一つの大きな方向に幾つか絞った施策を立て、周辺の課題解決も包含していくことが本市の次の方向であると考えております。

 具体的には、自校に通ってくる児童生徒の状況分析をし、そこから明らかになった課題に取り組み、その結果を評価して保護者、さらには地域にも伝えていく「自律的経営」を進めることであります。

その学校経営の自律を確かにしていくために、アクションプランで取り組んだ、次の施策を重点的に進めてまいります。

 第一はスタッフ派遣であります。スタッフ派遣は、基礎基本の定着に大きな成果を上げてまいりました。そのスタッフ派遣を通して学校経営の自律確立を図ってまいります。学校自律の核となるのは、自主性を持つ教育専門組織が学習活動の質を継続的に改善、向上させていく学習指導マネジメントの確立です。校長が中心となって策定したその実践プランの後方支援としてスタッフを派遣してまいります。新年度はスタッフ派遣の質・量とも拡大させ、基礎基本の定着と学校自律の支援を図るものでございます。

第二は学校選択制であります。松戸市の学校選択制は、保護者の学校選択と学校参加により、よりよい学校づくりを進めることにあります。保護者の選択制支持は88%を超え、それにつれ学校に足を運ぶ保護者も増加するなど、制度として定着しております。

 選択制は、学校の目標やビジョン、計画、成果が保護者から承認を受け、学校の正当性を確認していくことを促す制度であります。自校に入学した保護者の学校決定意図、学校に期待するものを的確にとらえた経営が、学校の自律を確かなものにしていくものと考えております。

第三は学校の自律を支援するため、従来の画一的な学校予算配分システムの転換を図ってまいります。

松戸方式による「学校予算の学校立案」に踏み込み、学校の自律的経営を進めるものであります。学校が進めようとしている重点課題に学校が自ら予算を立案し、有効活用していくことで自律確立の基礎を支え、教育効果を一層高めていくものとしていきます。

  

第四は学校評価でございます。自律の構造は、実行を託した者へ権限を委譲する。そして実行を託された者は、質の高い取り組みと評価を行うことであります。学校評価におきましても、この視点から取り組むことが求められます。学校の自律及び裁量権拡大は、学校の教育活動、成果や課題を、子どもの成長を第一義に関与すべき保護者に示すことが強く求められるものであります。さらにその学校に関わる方々の評価を取り入れながら、経営方向を確かなものにしていくために、これまで培ってきた学校評価の水準をより一層高める方向で推進してまいります。

学校の自律を目指した「スタッフ派遣」「学校選択制」「学校予算の学校立案」「学校評価」のプラン集中は、学校と子ども、親の三者を近づける作用が期待できます。学校と保護者が教育課題を共有して質の高い学習指導を目指して、地域人材を学習指導に活用する、学校を軸とした学びのコミュニティ形成を見据えております。

 公立義務教育の改革は単純な市場原理に委ねることによってのみ達成されるものではなく、参加と協働を学校の内外に構築することが、欠くことのできないものになっていくと確信しているところでございます。

     

地域の参加と協働を得て松戸の教育モデルを構築するパイロットスクールは、お陰さまで21年度開校に向け、教育内容の本格的準備に入ることになりました。パイロットスクールの四つの基本方針を具現化し、生徒ニーズにフィットさせる、良質なカリキュラムづくりを進めます。

学校におきましては、教員プロジェクトが授業時間と指導法を中心に多角的な検討を進めており、教育委員会といたしましても物心両面の支援をしているところでございます。

なお、これらの取り組みから、市内小中学校へ波及するポイントも明らかにさせ、パイロットスクールの取り組みが松戸市全体の財産になるよう進めてまいります。

「適正規模適正配置の推進」は、学校規模のひずみを是正するための施策でありました。計画策定時、小学校児童数の格差は4.87倍でありましたが、小学校3校が統合され格差は3.58倍、中学校の格差は3.51倍に納まり、小中学校ともに格差是正が進み、教育改革の基盤整備がなされてきたと考えております。しかしながら、本市の児童人口の推移は、地域によってばらつきが大きく、今後の動向を引き続き、注視してまいります。

なお、中部小学校附属幼稚園は、園児の減少が続き、将来復活の可能性も少なく、平成20年度入園児の卒園をもって休止することの検討を深めてまいります。

これまで「学校の自律」を促す教育改革アクションプランについて総括的に述べましたが、さらに学校教育について申し述べます。

本市児童生徒は、運動や音楽などの芸術面で素晴らしい活躍をして、全国的に注目されていることは、ご案内のとおりでございます。子ども達の努力と指導者の努力が相俟っての成果であると考えております。

しかしながら喜んでばかりではおりません。「全国学力、学習状況調査」の結果は、ほぼ全国平均でありましたが、学力状況と生活状況の関連を分析したところ、学習が視野にない生活を送る子どもは、学力を落ち込ませていることが明らかになりました。さらに、朝食を確実に摂らない子ども、規範意識を確立していない子どもも学力を低下させていることも明らかになり、学力二極化の兆候もみられところでございます。

このことは、教育委員会が着手してきた読み、書き、計算、責任を中心とした基礎的事項の重要性を再確認させられたところでございます。

また、教育基本法には教育の目標が謳われ、わが国の教育の新たな方向が定まってまいりました。この目標を実現するためには、社会総がかりで、あらゆる分野の人々が努力しなければなりませんが、学校教育においては体系的な教育を組織的に進め、その具現を図るべきと考えます。

学校教育の体系は、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習で構成され、これらが目指すねらいを達成させる指導の充実が具現の大原則であります。それに加え、松戸市が最重要施策として推進している食育を小学校低学年より充実させ、家庭への啓発、働きかけを効果あるものにして、食育を浸透させ、学習意欲、規範意識を高めていくべきものと考えます。

一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な教育的支援を進めていく特別支援教育の推進は、新年度、学校支援員配置の在り方を研究するなど、引き続き充実を図ってまいります。 

子どもの安心・安全、スクールガードによる見守り活動は、市民の皆様が学校へ目を向け、学校へ足を運んで下さっていることに敬服しており、学校支援地域本部の研究実践も含め、一層の支援を進めてまいります。

また、新年度より小中学校全校にAED(自動体外式除細動器)を配備し、児童・生徒の不測の事態に備えます。

 

教師や子どもたちの情報リテラシーや情報モラルの向上を支援する拠点としての教育情報センターは、学校支援の役割を重視し、学校の指導に関するニーズ対応、教育委員会からの多様な指導情報を網羅する研究を具体的に進めてまいります。

次に、社会教育は、市民一人一人が生涯のそれぞれの時期やニーズに応じ、自発的・主体的な学習活動ができるということが肝要であります。多様で継続的な学習への取組みを支援するために市内の大学と連携した「大学連携講座」や家庭の教育力を高める支援としての「家庭教育学級」、学習への再挑戦を支援するための「基礎学力再履修講座」を引き続き開設し、充実を図ってまいります。

図書館におきましては、生涯学習資源の拠点施設として本館・分館の特色を生かし、市民に積極的な情報提供をし、生涯学習基盤の整備に努めてまいります。

また、財団法人松戸市おはなしキャラバンは、設立当初の目的を達成したこともあり、先日の財団の理事会の結論を踏まえ、20年度末を目途に廃止する方向で関係機関と協議を進めてまいります。なお、長年築いてきた読書推進活動などは図書館など既存組織が継承発展させてまいります。

文化の振興は、市民の自主的かつ多様な文化活動や地域に根ざした文化事業を行っている団体への支援を行うとともに、市内にある指定文化財等を広く市民に紹介し、文化財に対する理解を深め、保護意識の高揚を目的とした事業を行ってまいります。

また、文化会館を中心とした文化施設において、芸術文化の鑑賞、発表など市民参加の場の提供や、様々な舞台芸術を紹介して地域文化の活性化を図り、市民文化の創造に寄与してまいります。

博物館においては、開館15周年を記念し、市内縄文時代遺跡を中心に紹介する、「縄文時代の東・西(ひがし・にし)」と題した特別展を開催します。また、徳川昭武の養育や教育の総責任者であった人物の文書や関連資料を紹介する企画展、「(仮称)徳川昭武と教育係・山髙信離(やまたか のぶあきら)」を戸定歴史館において開催します。

次に、スポーツの普及・振興でございます。スポーツは明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や心身の健全な発達に必要不可欠なものであり、個々のライフステージに合った環境で、市民が気軽にスポーツに親しめる環境の一層の充実に努めてまいります。

スポーツ施設の整備は、矢切の給水施設、「ちば野菊の里浄水場」の一部を県から借用し、「野菊の里スポーツ広場」として新年度秋から本格的に供用を開始します。なお、スポーツを通じての豊かな地域環境形成をはかる「総合型地域スポーツクラブ」については、設立を目指す地区並びに活動拠点となる施設の選定作業に入ってまいります。
 

また、平成22年に開催されます「ゆめ半島千葉国体」は、自転車競技トラックレースとフェンシング競技が本市で開催されることとなりました。新年度は、松戸運動公園体育館の改修工事を実施するなど、開催に向け遺漏なきよう進めてまいります。

  分権と自律が求められる時代の流れの中で果敢に教育改革アクションプランを策定して4年がすぎ、変えなければならないものを変えてまいりました。またさらに、変えて進むべく行き先も明らかになってきたところでございます。

一方、国においても変えなければならないものを法改正という形で進めており、教育行政に関しましては、地方分権を推進し、教育委員会体制の充実と責任体制を明確にするという視点から法改正がなされました。

その一つとして地方分権を推進する目的で教育委員定数の弾力化が図られたことがございます。これを踏まえ新年度において教育委員定数を現在の5名から6名に増やすための条例案を本議会に上程させていただきました。体制の充実に見合う責任の明確化に努力してまいります。

なお、このほかの一連の法改正は、その背景及び課題、その先に行きつく姿を的確にとらえ、松戸市の現状分析を加えて、松戸市教育委員会が主体的に対応していく所存であることを申し述べまして、平成20年度教育施策方針説明とさせていただきます。   

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