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平成19年度 教育方針と主要施策

平成19年2月22日、松戸市議会3月定例会本会議で教育長が発表した教育方針と主要施策です。

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 本日、平成19年3月定例市議会におきまして、「平成19年度松戸市教育施策方針」について、申し述べます。
昨年12月、教育基本法の改正案が成立し、我が国の教育改革は新たな一歩を踏み出しました。今日、様々な社会問題、さらに、教育に関わる厳しい課題が指摘されるなか、幅広い視野から抜本的な教育の見直しを検討する「教育再生会議」が内閣に設置されるなど、「教育の再生」が国政の最重要課題の一つとして、位置付けられているところでございます。

 振り返りますと、平成12年の教育改革国民会議以降、教育改革の視点は、「生涯学習社会の構築」を基本理念としつつも、深刻な教育課題への対応もあり、「公教育の改革」を重要課題としてきた経緯がございました。今回、新たに示された教育再生の基本方向は、これまでの改革を踏まえつつも、「社会総がかり」の全国民的な参画のもとに、教員の質の向上、教育内容・教育システムなどの改革を進めていくとともに、特に、これまでの改革が、実際の教育現場に十分に反映されていないという実態を鑑み、迅速に実行していくという「改革の具体的実践」を重視している点は、注視すべきであると考えます。
 教育行政に日々携わる立場といたしましては、こうした状況を厳粛に受け止めるとともに、「かけがえのない命の尊さを学び、豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間を育成する。そのために、学力と人間力を子どもに身に付けさせていく」という教育の理念・目標の実現に向けて、全力を傾注してまいる所存でございます。 

本市の教育改革は、「変化に対応することに留まることなく、自ら変化を創りだす」とのコンセプトのもと、これまでに、学校経営の質的転換、教育資源の整備、新たな教育システムの構築など、教育の最適化、すなわち「ローカル・オプティマム」の実現に取り組んでまいりました。しかし、今日の急激な教育情勢の変化、本市の教育行財政環境等も考慮しますと、改めて英知を結集した改革計画の理論構築が必要と考えます。例えて申し上げますならば、複数の課題に対して有効に機能する施策や子育て支援策などに見られますように、一つの課題に対して行政区分を超えて対応できるような総合的な施策も検討していく必要がございます。このことから、現在の教育改革計画に盛り込まれた施策や事業、さらに、全体計画につきましても、「有効性や効率性」、「課題に対する優先順位」などの観点から、一層の見直しを図ってまいります。
 このような視点に立ちまして、新年度の各分野における施策・事業について申し述べます。

 学校教育に関しましては、学力の低下、子どもの非行・犯罪、いじめ、不登校、学級崩壊などの問題は深刻さを増しております。まさに、学校・家庭・地域の一致協力した具体的な行動が不可欠でございますが、学校は、「教育責任の実施(信頼される学校づくり)」、「教育システムの整備(開かれた学校づくり)」の視点から、学校運営の改善・改革を積極的に推し進めていくことが肝要であると考えております。
 その主要手段の一つとして、「学校評価」は、学校運営の改善・改革に向けてのビジョンや政策を実現していく上で、重要な役割を担っております。本市では、全ての学校が学校評価制度を取り入れており、多少の温度差はあるものの、総体的な評価水準のアップと学校間の標準化が進んでおります。今後は、評価の客観性を一層高めるためにも、外部評価委員会設置の検討なども含めて、“より実効ある学校評価”の推進を図ってまいります。また、試行3年目を迎える「学校・教職員の目標申告制度」、本年から導入された「管理職を対象にした業績評価」につきましても、目標による管理に基づく学校運営システムの定着に生かしていくなど、学校課題に迅速・柔軟に対応できるよう取り組んでまいります。
 公教育再生の鍵は、「教員の質の向上」にあることは、論を待つまでもございません。指導力・専門性などはもとより、各教員が変化に対応した新しい学校づくりのノウハウを獲得・蓄積し、学校運営の改善に役立てることをねらいに、「組織マネジメント」などを重視した教職員研修事業計画を進めてまいります。

 「学力向上対策」といたしましては、基礎基本、いわゆる「4Rsの定着」に向けて、児童生徒の学力達成度の現状把握に努め、「調査・分析・評価・改善」という一連の流れに、スピード感を持って取り組めるようにします。実態把握の方法の一つでもある学力調査は、今後、全国学力調査が予定されており、本市も参画の準備を進めておりますが、併せて独自の研究も進めてまいります。さらに、学習指導の一層の充実を図るために、「学力向上プロジェクト」を立ち上げ、指導体制や指導方法の研究、松戸版学習指導テキストなどの教材開発を通して、各学校の取組みを支援してまいります。

 本市教育課題の解決に寄与する教育モデルの構築を目指した「小金中学校パイロットスクール事業計画」は、保護者や地域の皆様、議員各位のご理解・ご協力をいただきまして、新年度には、施設の整備に着手する予定でございます。平成19年度は、様々な試行モデルを繰り返し、最適なプランの組み合せを選択する上で、重要な年度でございます。教育プログラムや運営システムの改編に成果を上げている市内研究学校の研究実践や、本市独自のスタッフ派遣制度を活用した新たなモデル研究とも連動させて、計画の実効性を高めるとともに、市内小中学校への波及効果を確実に期待できる計画に練り上げてまいります。

 授業時数や授業内容の削減を契機に、学力低下を心配する意見が世論をにぎわせてきたことは周知の通りでございます。いわゆる“ゆとり教育”に対する後退ムードの広がりの中、教育改革の方向性は、その見直しを示唆しております。特に、各学校における授業時数の確保は、児童生徒の学力向上を図る上で重要な課題でございます。本市としても、今後、長期休業や放課後の時間などを活用した学習支援、あるいは、学期制の見直しなども含めて総合的な検討を進めてまいります。
 特別な支援を必要とする児童生徒の教育は、ノーマライゼーションの理念に基づき、生涯にわたる自立と社会参加をねらいとした「特別支援教育」が、本格的にスタートする年度になります。一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な教育的支援を進めていく必要があることから、新年度は、金ヶ作中学校に特別支援学級を新たに開設するとともに、通常の学級に在籍する軽度発達障害の生徒を対象にした「通級指導教室」を栗ヶ沢中学校に新設します。加えて、自立活動や学習補助の指導、進路に関する有効な相談支援を行ってまいります。

 「いじめ問題」は、益々深刻さを深めております。もとより、「いじめの根絶」が究極の目標でございますが、“今、出来ることを着実に行っていく”ことが何よりも大切であり、日頃から子どもの変化や表情を見逃さない学校、柔軟かつ早急に問題を解決できる学校体制を強化していくとともに、“いのちを大切にする教育”を一層充実してまいります。昨年12月より、教育委員会内部に、新たな相談窓口を設けたところでございますが、引き続き関係機関・各課等との連携を密にしたきめ細かな相談活動を展開してまいります。また、教育委員会、スクールカウンセラー、学校関係者等による「専門家会議」を強化し、“いじめ防止プログラム”など効果ある具体策を策定・実施してまいります。一連の取組みが、一過性のものにならぬよう学校関係者、保護者・地域の皆様と一丸となって課題対応にあたってまいる所存でございます。

 不登校児童生徒への対応は、「校内不登校支援教室」の全小中学校設置を推進してまいります。また、「松戸市適応指導教室(ふれあい学級)」では、ここ数年、中学校3年生の9割以上が学校復帰できるなど、きめ細かな支援により、大きな成果を上げております。今後は、新たな教室開設も視野に入れながら、事業を充実させてまいります。さらに、研究段階ではございますが、臨床心理学などを学んでいる学生ボランティアの協力を得て、支援教室の運営や相談活動、学習支援などにあたる取組みを展開しているところでございます。課題対応に向けての新たな支援資源として、制度化を図ってまいります。
 今、子どもに“生きる力”を身に付けさせていくことが、一層求められる時代にきております。「知育・徳育・体育」の一歩手前として、食育を推進していくことも有効な手立てであり、まさに“生きる力の基礎基本”とも捉えることができます。各学校においては、子どもの実態や特質、さらに、松戸市食育計画と連動して、組織的・計画的に食育の推進が図れるようにしてまいります。

 次に、教育環境の整備は、「教育活動の質の維持」、「安心・安全な学校づくり」の観点から、また、「教育施策との連動」という意味合いからも重要な課題であり、教育の情報化の推進や学校施設の整備などに、計画的に取り組んでまいります。4年目を迎える学校選択制は、児童生徒・保護者の様々な事情への反映や学校活性化の状況などに関する幅広い調査を実施するなど、一定の期間をもって総合的な検証・評価を行い、松戸市の学校選択制のあり様について、検討を深める年とします。

 子どもの安心・安全対策は、実践的な防犯訓練等の実施、また、地域や保護者の皆様や関係各機関のご協力もございまして、子どもたちの登下校時の安全確保、防犯意識の向上など、安全に関わる環境形成に成果が見受けられます。特に、「松戸市警防ネットワーク事業」の一翼を担う、スクールガードによる見守り活動には、多くの期待が寄せられており、一層の支援を進めてまいります。引き続きご理解・ご協力をお願いします。

 次に、社会教育・文化の振興は、市民の自発的・自主的な行動が醸成されることを主眼に、各種生涯学習講座などを開催しております。多様で継続的な学習への取組みを支援するために、市内の大学と連携した「大学連携講座」や家庭や地域の教育力を高める支援の一環としての「家庭教育学級」、学習への再挑戦を支援するための「基礎学力再履修講座」を引き続き開設してまいります。さらに、図書館の本館及び市内4ヶ所の大型分館において、「祝日開館」を実施するなど、生涯学習基盤の整備に努めてまいります。
 “子どもの居場所づくり”の新しい動きでもある「放課後子どもプラン」は、関係部局とによる「松戸市放課後子どもプラン推進検討会議」を設置したところでございます。実施に向けては、ニーズの把握や実態分析、既存事業との関連性などの検討が必要であり、引き続き計画案の策定やモデル事業について、調査研究を進めてまいります。

 また、新年度は、より多くの方々に、松戸の歴史や文化に触れていただくために、「旧松戸宿の本陣」や「徳川慶喜家の人々」をテーマにした企画展を開催するとともに、本市文化財の情報を紹介する「文化財マップ」を作成し、文化財に対する理解や関心を深め、松戸市民の“コーポレート・アイデンティティ”を高めていただけるようにしてまいります。また、文化・芸術活動では、市民自ら行う創造的な活動を支援していくとともに、松戸ゆかりの優れた作家の美術作品・資料を紹介する美術展を開催します。
 本市市民スポーツに関しましては、スポーツを通じての豊かな地域環境形成のために、「総合型地域スポーツクラブ」の設立を目指すとともに、市民スポーツの振興を図ることを目的とした基金の創設についても調査研究を進めてまいります。なお、平成22年に開催が予定されております「ゆめ半島千葉国体」につきましても、新年度より担当室を設置して、遺漏無きよう準備を進めてまいります。

 地方分権化や構造改革が進む中、教育行政のあり様についても多くの論議がなされております今日、教育現場における活性化、改革実行の是非は、まさに教育行政の責任・関与のあり方が強く関わってくるものと認識しております。しかし、一方で、今回の教育基本法の改正法にも盛り込められましたように、「子どもを育む家庭、または、地域の大人の在り方」も看過できない課題であり、家庭・地域、そして学校がそれぞれの役割や責任を自覚し、社会全体で協力して、“子どもの豊かな成長”を育んでいくことが大切なことであると考えます。
 「不断の努力」をもって、新たな教育施策の実現に邁進してまいりますので、議員の皆様をはじめ、市民の皆様のより一層のご支援、ご協力をお願い申し上げて、平成19年度の「教育施策方針」とします。

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