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平成15年度 教育方針と主要施策

平成15年3月3日、松戸市議会3月定例会本会議で教育長が発表した教育方針と主要施策です。

 

ダウンロード用に e_houshin03.lzh を用意しました。(PDFファイルとテキストファイルをまとめた書庫ファイルです。ページ下よりダウンロードしてディスクに保存し、解凍してご利用ください。) 

本日、定例市議会において、平成15年度「施政方針」についての市長からの説明を受けまして、松戸市教育委員会として、平成15年度の教育方針と主要施策について申し上げます。
 現在、わが国の社会は、少子高齢化、グローバル化、高度情報化、国際化など誰もが経験したことのない急速な社会変化に直面しております。このような未来を予測することが困難な時代には、創造性に富み、人間性豊かで多様な人材を育成することが益々求められてまいります。
 国も今年の年頭の所感において21世紀にふさわしい教育のあり方を見据え、新しい時代を切り拓く、心豊かでたくましい日本人の育成を目指し、教育改革を強力に推進すると述べております。松戸市においても、この国の改革を注視しつつ、改革をより実効性のあるものとするべく、市民との協働により市の特性と地域の実情を加味した分権型の松戸市版教育改革の策定に取り組んでまいりました。1年余りにわたる検討議論の結果、漸く本市の今後の教育ビジョンともいうべき改革の視点とその視点に対する施策提言の取りまとめが終わりまして、先日松戸市教育改革市民懇話会から最終報告を受けたところでございます。
 では、最終報告について、その概要を申し述べさせていただきます。

 まず、教育改革を検討するうえでの課題認識としては、次の三点に集約されました。一つ目は、近年、教育の荒廃が一部で指摘されておりますが、教育が社会の営みと無関係ではありえないことから、その原因を特定の社会的単位、組織、団体のあり方に限定するのではなく、むしろ社会全体の問題として受け止めることが適切であるということでございます。二つ目は、確かな学力や豊かな心などを身に付け、生涯にわたって自分らしく、自己を追求し、自己実現を図ることは誰もが望むことであり、そのためには社会という実体の曖昧なものに期待を寄せるのではなく、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を見つめ積極的に責任を果たし、相互連携の充実を図りながらそれぞれの教育力を高め合うことが必要であるということ。そして、三つ目として、そのためには学校が地域に開かれ一層自主的・自律的な運営を進め、生涯学習、文化、スポーツなどの多様な取組みが積極的に展開されるよう、地域コミュニティの核となることが期待されるということであります。そして、この課題認識に基づき、改革の視点として、(1)児童生徒に基礎基本を定着させる学校教育を行う。(2)学校を拠点とした地域コミュニティづくりを推進する。(3)多様な支援を可能にする教育システムを構築する。(4)評価システムを構築し、教育情報を公開することなどについて具体的に取組み、生涯学習社会づくりを推進することが必要であるとし、さらに、この取組みにあたっては、確かな財源に支えられた総合的な対策を講ずることが不可欠であるとしております。
 1年有余の検討議論を振り返えりますと、多くの市民の教育に対する期待や危機感などが交錯する中で、まさに市民の方々との協働作業によりこの報告が結実したと実感しております。
 新年度は、教育改革の正念場、実行の年でございます。「今、求められているのは何よりも実行である」との認識のもと、「変化に対応することに留まらず、自ら変化を創りだす」との視点にたって、最終報告に掲げられた施策提言を尊重し、教育行政の主体性を確立しつつ教育施策の有効性を追求する一方、厳しい財政状況のもと、限られた資源の再配分による有効活用の視点も加え、具体的なアクションプランを早急に策定し、ご提示したいと存じます。
 地域の次代を担う人材を育成するという教育行政に課せられた責務を果たすため、第二次実施計画のスタートと教育改革の実行の年に際し、決意も新たにしまして、絶え間ない改善と改革に果断に取り組んでまいります。

 それでは、はじめに生涯学習の推進について申し上げます。
 まず、地域の教育力の向上を目指して学校を拠点とした地域づくりを推進するため、コミュニティスクールなどの新しい教育制度の研究をするとともに、新年度中には、その実践的研究の場として土曜日に地域コミュニティなどが地域の学習ニーズに応じて、子どもを含めた市民に対し、学習する機会と場を提供するサタディーコミュニティスクールを実施します。
 また、多様化する市民の学習ニーズに対応するため、市内にある大学との連携について調査研究に着手するとともに、公民館におきましては、これまでに主催した講座の修了者や今年度の講座受講者などによる市民自主企画講座の開催を支援します。
 さらに、もう一度基礎学力を履修したいと願う市民のニーズに応えるため、青少年会館において、新たに基礎学力の再履修のための学習講座を開設します。これらの取組みにより、市民への学習情報の提供と学習機会や場の拡充を図ってまいります。

 次に、学校教育の推進について申し上げます。
 児童生徒に基礎基本を定着させるため、特色ある学校づくりの推進と、学区ゾーン制を前提とする学校選択制など新しい教育制度の設計に取り組みます。ここで目標に掲げた基礎基本とは、読み(reading)、書き(writing)、計算(arithmetic)の「3Rs」に、社会生活を営む上で基本的に必要な責任(responsibility)を加えた「4Rs」でございます。学校教育の充実に向けた制度設計の研究はもとより、特に責任を身に付けさせるためには、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を果たし、互いに密接に連携することが重要であり、このことにも重点を置いて取り組んでまいります。
 今や社会問題となっております児童生徒の不登校や心の悩みの問題について適切な対応を図るため、これまでスクールカウンセラーを中学校に配置してきましたが、新年度は近隣市町に先駆けまして、21校全中学校の完全配置を実現します。
 高度情報化の進展に対応するため、これまで教育における情報化を推進してまいりました。小中学校の情報教育における環境整備は、セキュリティ対策や有害情報対策の一元管理を目指し、光ファイバーケーブルの敷設と各学校間のネットワーク化を促進してまいりました。
 新年度は、前年度に引き続き、パソコンを児童生徒が一人1台使用できるようにコンピュータ教室の42台化を進めてまいります。
 また、千台余りの学習用ノートパソコンを譲り受けまして、各普通教室や図書室などに導入を図り、教室では「松戸市高志教育振興基金」を活用して年次計画によりプロジェクターを購入し、映像による学習ができるようにしてまいります。
さらに、学習手段としてコンピュータやインターネットを有効活用することができるように教員の指導力の向上を図り、児童生徒の発表能力の向上と、より一層のわかる授業を実現させることができるものと考えております。
 市立高校においては、高度情報化社会に適応し、貢献できる人材を育成するため、これまで整備した教室等のコンピュータ、校内LAN設備、インターネット接続システムの活用とともに、前年度導入した図書館管理運営システムの本稼動により、生徒の情報収集及び情報活用能力の向上を図ってまいります。
 さて、情報化を推進するに当たって注意しなければならないことは、高度情報社会の光と影でございます。情報リテラシーの大切さを痛感するところであり、これからも情報リテラシー教育の一層の向上を進めてまいります。

 次に、学校施設の整備は、新年度は幸谷小学校の児童の急増によりまして、教室の不足が生ずることから、校舎増築工事を実施します。
また、児童生徒の安全確保と教育環境の向上を図るため、校舎耐震改修工事を実施します。実施校は、高木第二小学校及び常盤平中学校を予定しております。
 市立高校におきましても、図書館の増床及び冷房工事を実施するなど施設の充実を図ります。
 学校設備の面は、小学校給食の充実を図るため、磁器食器などの導入について計画的に取り組んでまいります。
 さらに、児童生徒に国際理解の促進を図るとともに、資源の有効活用など環境教育を推進するため、小中学校において更新により不用となった机椅子をカンボジア王国からの要請に基づき、外務省「リサイクル草の根無償制度」を活用しまして、前年度に引き続き無償供与します。
 幼児教育については、子どもたちの教育において極めて重要な役割を担っていることを踏まえまして、今後とも幼稚園に対する園児補助金などの支援を行ってまいります。

 次に、生涯にわたるスポーツ活動の支援についてですが、生涯にわたる市民スポーツの振興を図るため、この3月末までには、今後の松戸市のスポーツ振興の要となるスポーツマスタープランを策定します。また、市民がスポーツを通じて健康の維持、増進と体力の向上を図れるようにするため、スポーツ指導者の派遣支援と学校施設の開放事業の促進に取り組んでまいります。
 青少年の健全育成については、こどもたちの自立心の涵養を図るため、毎年21世紀の森と広場で開催し、子どもの祭典としてすっかり定着しております「松戸市こども祭り」が第30回を迎えることとなり、市制60周年にも当たることから新年度は内容を充実します。

 次に多様な文化・芸術の創造についてですが、新たな文化を創造するため、「齋藤邸」に整備しました竹紙工房が、竹紙を使った個性的で良質な市民文化の創造の場として本格的に稼動します。
 郷土松戸に対する理解を深めるため、博物館におきましては、開館10周年記念特別展として「川の道江戸川」を開催します。江戸川は、江戸時代、江戸と関東各地や東北地方の人・物・文化を結ぶ大動脈として大きな役割を果たしてきました。この展覧会では江戸川を様々な視点からとらえ、江戸川流域の人々の生活史を明らかにします。松戸の歴史に関わりの深い江戸川についての展示ですので、多くの市民の皆様にご覧いただきたいと思います。
 戸定歴史館では、企画展「1867パリ万博と徳川使節団」を開催します。これは実兄の将軍徳川慶喜の名代として昭武が出席した万博に関する展示であり、当館における長年の研究成果を市民の皆様に紹介するものでございます。
 なお、松戸徳川家当主である徳川文武氏と松戸市の間において同家が所蔵しております美術工芸品446点、写真2540点、文書1031点の合計4017点に上る貴重な資料について、譲渡に向けて合意が整いました。また、先日は同氏から、パリ万博後の各国歴訪の折に、スイス大統領から贈られた徳川昭武肖像入り金の懐中時計をはじめとする歴史的に貴重な資料を寄贈していただきました。これらの大変貴重な資料により、さらに郷土松戸に関する研究が深められると存じます。徳川文武氏には感謝するとともに御礼を申し上げます。

 以上、新年度の教育方針と主要施策についての概要を申し上げました。財政事情の厳しい中、市民の多様な学習ニーズに応え、生涯を通して生きがいのある生活が築かれるように、また、子どもたちが創造性に富んで、人間性豊かに成長できるように、各事業の推進に職員とともに全力で取り組んでまいります。議員各位の今後一層のご指導ご鞭撻と市民の方々のご理解とご協力をお願いします。

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