第九章 悠久なる時の流れ 江戸の終焉

明治天皇との謁見後、慶喜は急速に名誉回復を遂げていきます。明治33年には天皇のそば近くに仕える特権を与えられた麝香間伺候(じゃこうのましこう)となり、同35年には五爵の最高位である公爵を授けられました。
これにより、慶喜の名誉回復は果たされたと言えるでしょう。一切の弁明をせず、沈黙を貫き通した男の生き方が明治国家に受け入れられたのです。
大正2年11月、慶喜は明治という時代を見届けて亡くなります。葬儀は上野寛永寺に特設された斎場で、実家の水戸徳川家にならい神式で行われました。
彼の死は、江戸という時代の終焉をも意味していたのでしょう。最後の将軍に相応しいその葬列は、あたかも過去から未来への悠久なる時の流れを象徴するかの様でした。
イラストレーション 黒鉄ヒロシ
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