第八章 和解への遥かなる道のり 天皇との30年

第八章 和解への遥かなる道のり 天皇との30年

 公的な世界から離れ、趣味に没頭して生きる慶喜のもとへ、かつて彼を朝敵とした天皇から、和解への微妙なるサインが送られます。
 明治維新の時に剥奪された官位が、明治5年の従四位(じゅしい)を皮切りに、正二位(しょうにい)、そして、同21年には将軍時代を上回る従一位(じゅいちい)にまで昇るのです。さらに、明治15年には慶喜の実質的な長男・厚が華族に列せられ、同29年には彼の9女経子(つねこ)が伏見宮家に嫁ぎ、慶喜は皇族の縁戚となります。いずれも慶喜の心事を思っての天皇からの礼遇であったと思われます。
 明治30年末。ついに、慶喜は上京を決意します。天皇に謁見するためでした。謁見が行われたのは、明治31年3月。二人が和解をするためには、30年もの年月を必要としたのです。

イラストレーション 黒鉄ヒロシ

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