第七章 時代への凝視 アマチュアカメラマンへの変貌

幕末期から政治的な意味合いが感じられるような数多くの為政者のポートレイトを残している慶喜。明治26年頃からは、自らカメラを手に取り、連日のように写真撮影に打ち込むようになります。
アマチュアカメラマンへの変貌です。
明治30年、静岡を離れ、東京に転居してからも、彼の写真撮影は続きます。
論理的な構図による端正な写真。クローズアップの手法を使った芸術写真の先駆のような写真。江戸から東京へと変貌しつつあった都市の空気までをも感じさせるようなスナップ写真。彼の残した写真は数百枚にものぼります。
維新後、深い沈黙を貫いた彼の強固な意志は、変貌する時代への凝視となって、印画紙の上に焼き付けられたのです。
イラストレーション 黒鉄ヒロシ
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