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黒鉄ヒロシ戸定ギャラリー
「われわれは薩摩の悪党の海岸を通過した」。フランスからの帰国の船上での、昭武のフランス語日記の一文です。彼にしては珍しい激情の言葉であり、その無念さがうかがわれます。 その時日本では、榎本武揚(たけあき)ら旧幕臣達が、東洋最強をうたわれた旧幕府海軍を率い北海道を占領、新政府軍に最後の抵抗を続けていました。昭武は、上海に寄港した時、榎本武揚からの使者を迎えます。榎本軍の指導者になって欲しいという要請でした。旧幕臣達の旗頭として、フランスに近い昭武を迎えれば、外交交渉上も優位に立てるという榎本のしたたかな計算もありました。 危険すぎるという理由でこの申し出は断られます。そして、帰国した昭武は、逆に新政府から榎本軍討伐を命じられるのです。歴史の矛盾と皮肉でした
イラストレーション 黒鉄ヒロシ
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